日経新聞のWebサイトに、「日本らしい自然エネルギー発電」ということを考えさせられる記事があった。
日経新聞:商船三井が海洋温度差発電 25年稼働洋上風力より安く (有料会員記事)
先日の福島沖地震の発生で、東京電力管内の一部地域が停電するということがあった。
その後、東京を中心に大規模停電が発生する可能性がある、として「節電のお願い」をすることになった。
「福島第一原子力発電所事故」以来、代替として使われ始めた火力発電所が、地震により十分な稼働ができないという状況に陥ったためだった。
このような状況に陥ると、都市におけるエネルギー事情の脆弱さを感じることになる。
もちろん「福島第一原子力発電事故」以来、「自然エネルギーへのシフトチェンジ」ということが、盛んに言われるようになったが、「自然エネルギー」の筆頭のように言われていた太陽光発電もここにきて、「耐用年数を経過した太陽光パネル回収・再利用」という問題や、山を削ったような場所に無理やり設置した為、大雨による土砂災害という問題などもクローズアップされるようになってきた。
他にも、大きなプロペラを回す風力発電についても、地域住民とのトラブルがあったり、故障したプロペラがそのままの状態になっている、といった問題も起きている。
「自然エネルギー」であれば、なんでも良いという時代ではなくなりつつある、ということでもある。
そんな中で商船三井が、海洋温度差発電を洋上風力発電よりも安価に提供できる、という話題は「海洋国・日本」向きなのでは?という気がしている。
大きなプロペラを要する洋上風力発電の場合、台風などが多い日本ではどうなのだろう?という、疑問を持っている。
陸地でも、故障したプロペラを十分に直すことができずに、放置するようなケースもあるのに、洋上となればそのようなトラブルはもっと増えるのでは?と、考えるからだ。
まして、年々強い暴風雨を伴う台風が増えてきているのに、耐えられるのだろうか?という懸念もある。
もし「海洋温度差発電」が、そのようなリスクが少ないのであれば、「日本向き海洋発電」ということになるだろう。
他にも以前から言われている、「地熱発電」などの可能性も忘れてはいけないだろう。
ここ数年鬼怒川温泉などでは、廃業した大型ホテルなどの建物が廃墟と化し、そこへ無断侵入をする輩による破壊や放火のようなコトも起きているという。
このようなすでに所有者を失ったような廃墟化した大型ホテルの取り壊しを自治体がするのか?という問題も起きている。
(法的な部分と事業化については、越えなくてはならない問題点は数多くあるとは考えているが)このような廃墟化した大型ホテルの取り壊し費用を自治体が一部負担する代わりに、地熱発電によって得られる収益で補填するような方法で、電力会社と共同で開発する、などの方法が取れれば事業化することも可能のような気がするのだ。
それだけではなく、アンモニアを燃焼させて発電する技術を日本は持っている、といわれている。
EMIR:アンモニア発電とはどんな技術?ポスト炭素燃料開発の今
日経新聞:アンモニア発電、日本が技術支援 インドネシアと覚書 (有料会員記事)
日経新聞:アンモニア発電、環境負荷を低減 三菱重工が開発へ (有料会員記事)
アンモニアを使うにあたり、クリーンなアンモニア製造技術の研究も進んでいる。
日経新聞:アンモニア、製造コスト半減 出光が24年までに新製法 (有料会員記事)
日経新聞の記事が並んでしまったが(笑)、何も欧米のスタイルを日本で展開するよりも、このような日本が得意とする「発電システム」を積極的に利用することが、「日本らしいエネルギーシステム」という気がするのだ。