先日、「原発事故などの危険な場所向けのロボットコンテスト」が、米国で行われ日本チームが散々な結果であった、という報道があった。
exciteNews:ロボットコンテスト 韓国1位、日本は10位のトホホ<週刊朝日>
この記事だけを読むと、日本の準備不足のような印象を受けるのだが、どうやら実情は違うらしい。
記事中に、「予選トップで通過した東大発ベンチャーSCHAFT社がGoogleに買収された」という一文がある。
ご存じの方も多いと思うのだが、1位通過したロボットを製作したSCHAF社は、昨年の暮れGoogleに買収されている。
日経新聞:Google、ロボット事業に参入 東大発VBを買収
日経の記事では、Googleの新規事業の一つとして買収をされたようにも思えるのだが、実は経産省などからの支援が受けられず、Googleの買収に応じた、という話がある。
このような情報に詳しい知人によると、経産省側が「ロボット開発については、一区切り」という判断がされ、支援が中止になった、という背景がありGoogleからの話に乗らざる得なかった、というのだ。
この話を聞いて「ロボット開発や産業化の将来性」という視点が、経産省には欠けていたのかな?という気がしたのだ。
今回は「災害ロボット」というペンタゴン主催のコンテストだったが、これから先「災害」という点だけではなく、様々な分野でのロボットの活用が求められてくるはずなのだ。
その大きな理由は、日本の「人口統計(=人口ピラミッド)」を見れば、一目瞭然だからだ。
国立社会保障・人口問題研究所:人口ピラミッド
統計としてよく使われる「人口ピラミッド」だが、この「人口ピラミッド」を見ることで、ある程度日本の将来像が予測できる。
今現在でも問題になっている「少子高齢化」が、ますます進んでいくということが、この「人工ピラミッド」からわかるはずだ。ということは、様々な分野での「人手」が不足(今でも、人手不足といわれている事業分野はたくさんあるのは、ご存じのとおりだ)が予測される。
一方、増えてくるのは現役世代を退いた高齢者だ。
この「現役を退いた高齢者」を、どうみるのか?というのが、重要な点だ。
例えば、医療という面で考えて見ると、現在、認知症の人が80代になると4人に1人とか、5人に1人という割合になっている、といわれている。
認知症の高齢者を介護する家族の苦労は、想像以上のもので、一昨年、認知症の男性が線路に入り人身事故を起こし、遺族に高額な賠償金を請求する判決があった。
中日新聞:認知症男性、電車にはねられJR遅延 波紋呼ぶ賠償命令 (その後、減額はされたが「家族が見守りを怠った」という指摘はそのまま。遺族の介護状況などを踏まえた内容にはなっていない)
このような現状を解決する一つの方法として、ロボットの活用ということを考えれば、経産省が支援継続をする意義は十分にあったと思う。
「限定的な発想」が、支援の打ち切りとなったように思われると同時に、「先を見通す」ために様々なデータを読み解く力がなかったのでは?という気がする。
「先を見通す」と言っても、占いのような方法ではなく、様々な公的機関から発表されているデータを読み解くことで、予測することができる。
それを、「事業分野に生かすことができることはないか?」という発想や視点が、重要なのではないだろうか?
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