日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「KーPop」という輸出産業

2023-06-13 19:53:17 | マーケティング

日経新聞のWebサイトを見ていたら、「日本のクールジャパン」とは大きく違うな~と、感じさせる記事があった。
日経新聞:BTSデビュー10周年、K-Pop輸出は1000億円越え 

韓国内での音楽の市場規模は、元々小さい。
その為、早い時点で日本デビューを目指し、活動を始めるアイドルグループはBTSが登場する前からあった。
特に、女性アイドルグループなどは、20年近く前から日本でデビューし、人気を獲得してきた、という経緯があったように思う。
ただ、女性アイドルグループという特性なのか?20代になると、メンバーそれぞれの方向性の違いから、活動中止などが相次いだという記憶がある。

そのような中で登場してきたのが、男性アイドルグループの「防弾少年団(現BTS)」だ。
女性アイドルグループにも言えたことだが、彼らは極力「韓国らしさ」を表現していない。
日本でデビューするのであれば、楽曲は日本語が中心の歌詞だった。
それが、日本より大きな市場規模を持つ米国へ進出する、という目標に代ると、歌詞は全て英詞となり、活動の拠点も米国へ移した。

これが、日本のJ‐Popと大きな違いだろう。
日本のミュージシャンやバンド、アイドルグループは、活動の中心はあくまでも日本であり、海外ツアーをするにしても日本の国内ツアーの延長という感じなのではないだろうか?
まして、ここ3,4年は「コロナ禍」にあり、海外に行くことすらできない、という状況だった。

J‐Popが何故海外志向ではないのか?と言えば、日本国内の音楽・エンターティメント市場が大きいからだろう。
米国に次ぐ市場規模を持っている、と言われるほど日本の音楽・エンターティメント市場は大きいと言われている。
無理に海外に進出しなくても、日本国内の活動だけでも十分、という考えが日本の音楽関係者やエンターティメント関係者にある、ということでもあると思う。

だからと言って、本当に今の音楽市場は国内だけにとどまっているのか?と言えば、そうではない。
例えば、何気なく見ているYouTubeにアラビア語(と思われる)楽曲が流れてくるコトがある。
アラビア語圏でのミュージシャンが、プロモーションビデオを制作し、YouTubeを通して全世界に広告として展開しているのだ。
このような、日本で音楽活動を展開する予定の有無が分からない国々のミュージシャンであっても、YouTubeを通して世界展開を始めようとしているのが、今の世界的な音楽市場・エンターティメント市場なのでは?と、印象付けるには十分なYouTube広告なのだ。

逆に、日本のミュージシャンやバンドが公開したMVを、海外の方々が見るという「リアクション動画」も、頻繁に見る事ができる。
もちろん、この時のMVは日本語の歌詞なのだが、翻訳表示ができるため、視聴者の言語に合わせて視聴することができる。
今やネットの世界では、「国内市場」という枠がない、という状況なのではないだろうか?
その状況を支えているのが、YouTubeではなくネット配信サービス、という点も忘れてはいけないだろう。
ネットの配信サービスを利用すれば、音楽市場そのものの国境がなくなってしまう。

もちろん、米国の音楽賞などを受賞するためには、活動拠点を米国に移し、英語の歌詞にするなどの策が必要だ。
何よりも、米国の音楽・エンターティメント界の重鎮と言われる方々のサポートが無くては、難しいだろう。
それほど、米国の音楽市場の中でもポップミュージックの世界は、偏重的な部分がある。
もし、日本政府が本気になって、J‐Popを「クールジャパン」の一つとして位置づけ、積極的に展開をするのであれば、海外の音楽・エンターティメント業界に詳しい人物だけではなく、法務的にも詳しい人材が必要になる。

このような、下地つくりから始めなくては、J‐Pop が輸出産業に成長していかないだろう。
とはいえ、今海外から注目されている日本人ミュージシャンやバンドが数多くいる、という現在をチャンスととらえる必要もあるのではないだろうか?




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