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「ルッキズム」考

2024-02-02 20:32:50 | 仕事のコツ

先月28日に麻生太郎副総裁が、福岡県芦屋町の講演会で「(上川外相について)そんなに美しい方とは…」と言ったという話題が、まだまだ続いている。
RKB(YouTube):上川陽子外相の容姿「そんなに美しい方とは」麻生太郎氏がまた……能力高く評価しつつ名前も言い間違え 

この報道がされ始めた頃、「麻生さんの暴言がまた…」という意見と「女性を容姿で判断する、古い価値観」と言った意見などがあったように思う。
いわゆる「ルッキズム(=容姿や身体的特徴などで人を判断する)」という批判だった。
それがいつしか、反論をしない上川外相にまで「なぜ反論しないのか?」という、意見まで出るようになった。

麻生さんの発言は、如何にも昭和のオジサンの言葉という気がするのだが、だからと言って反論をしない上川外相に「なぜ反論をしないのか?」という問いかけをするのは、筋違いのような気がする。
何故なら、昭和のOL達はそのような言葉を投げかけられても「常に、にっこり笑って、仕事で成果を出す」ということを、してきたからだ。
そのような体験があるからこそ、「どんな声もありがたい」という言葉で、回避しているのだ。
日経新聞:上川陽子外相「どんな声もありがたい」麻生氏の容姿発言に 

しかしそれは昭和という時代の話であって、今麻生さんのような発言をすれば「セクハラ」と言われることは目に見えているし、言われても当然だろう。
残念ながら、麻生さん位の年齢になってしまえば、「なぜこんなに言われなくてはならないのか?」という疑問を持っているだろうし、今日の謝罪の言葉にしても、今回の件を収める為の謝罪なのでは?と、感じている。
そもそも現在の自民党が置かれている立場は、「裏金問題」で追及され、岸田政権だけではなく自民党そのもの危機だからだ。
そこに、副総裁という役職者の「セクハラ発言」が加われば、自民党のダメージはより大きくなってしまう。
そのことを気にしての謝罪と考えるのが、妥当な気がする。

ところでこの「ルッキズム」ということについて、もう少し考える必要があるのでは?と、感じている。
それは、世間一般的にポジティブな意味で使われている言葉にも「ルッキズム」表現があるからだ。
例えば、見目麗しい男性に向けて使われる「イケメン」。
この言葉もまた、「ルッキズム」の象徴のような言葉なのでは、ないだろうか?
そして「イケメン」という言葉があるのであれば、当然対義語となる言葉もあるはずだ。
面と向かってそのような言葉を言う人は、少ないと思うし、例えショックを受けていたとしても、「男がそんな言葉で、くよくよするな」と、言われるのがオチだろう。

これらの言葉に共通することは、「発言者の主観によるところが大きい言葉」ということだ。
ということは、発言者が違えば同様の言葉を使わないかもしれない、ということでもある。
このような「主観による言葉」は、キャッチコピー等をつくる場合、用心すべき言葉でもある。
それは「受け手となる生活者に不快感を与えかねない」からだ。
まるで言葉狩りのように思えるかもしれないが、「主観による言葉」というのは、それだけ情報発信をするときにリスクの多い言葉である、ということなのだ。

「主観による言葉」は、一見素直な心の発露のようにも思えるのだが、実は思慮に欠ける言葉でもある。
コミュニケーションにおける最大の力となる「言葉」だからこそ、思慮が必要なのだ。



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