午前中の日経新聞Webサイトを見ていたら、「トランプ大統領」の名前が、様々な記事の見出しに登場していた。
ウクライナのゼレンスキー大統領との「公開口論」から、日を置かずに「ウクライナに対する武器供与の一時停止」、「カナダ、メキシコへの関税」、「通貨誘導を日本はしている」発言、米国の原油増産に対するサウジなどのOPECプラスへの減産の呼びかけ・・・などなど、様々な政治・経済の分野で、トランプ大統領の「自国ファースト」あるいは、トランプ大統領自身の突発的発言(?)が、記事として取り上げられている感がある。
まず、ウクライナ情勢に関していうなら、トランプ大統領のゼレンスキー大統領との「公開口論」直後には、EU諸国がウクライナ支持を表明していた。
日本の立場は、微妙なところになったな~というのが、石破総理はこのことに言及していないようだ。
ただ、「G7参加国として歩調を合わせていくことが重要」という考えのようなので、今後石破総理(というよりも、日本政府か?)の動きが、世界から注目されるようになるかもしれない。
もし、そのような事になると、面白くないのはトランプ大統領本人かもしれない。
カナダ・メキシコだけではなく、「自国ファースト」を掲げるトランプ大統領は、主要な経済関係国に対して「関税率アップ」を指示している。
bloomberg:トランプ大統領、4月2日に輸入農作物への関税発動‐詳細示さず
このようなトランプ大統領の動きは、本当に「自国ファースト」となっているのだろうか?
1950年代からトランプ大統領が登場するまで、米国は「世界の警察」と言われてきた。
「世界の警察」と言っても、取り締まるというよりも紛争・戦争に参加することと圧倒的に強い経済力を持って、世界の安全保障の中心にいた、といった方が良いのかもしれない。
ただ、過去米国が関係した戦争などに関していうなら、決して「米国完全勝利!」という訳ではない。
1950年~1953年までの「朝鮮戦争」は、終結ではなく「停戦」状態となり今現在も続いている。
なにより米国にとって衝撃的であったのは、1955年~1975年までつづいた「ベトナム戦争」の実質的敗北だろう。
元々この地域は、フランス領でその後日本を含む列強国の植民地となり、その植民地支配からの独立を目指したことから始まったはずだ(現代世界史で教えているのかな?)。
そして1975年南ベトナムの中心都市・サイゴンが陥落したことで、米国はベトナムから手を引くことになった。
ミュージカル「ミス・サイゴン」はこのサイゴン陥落の混乱を舞台にしていることは、ご存じの方も多いと思う。
しかし、この2つの戦争は、米国内の軍事産業に大きな利益をもたらし、圧倒的な経済力をもたらすことにもなった。
日本は敗戦国として加わることなく、米国軍の基地的役割を担うことになり、それが皮肉な事に戦後の経済復興の一つとなった。
そのような過去の背景もあり、日本が米国に追従してしまうのは、ある程度仕方ない、というのがこれまでの政府の立場だったような印象を持っている。
その雰囲気が、今回のトランプ大統領の独善的(?)政策により、大きく変わろうとしているのでは?という気がしている。
最悪の場合は、「欧州対米国」のような経済的、政治的対立が起きるかもしれない。
当然、「米国対中国」の経済的問題も世界経済に与える影響は大きいだろう。
その時、戦後80年という時を経て、日本がどのような立ち位置で、世界と交渉できるのか?それが問われているようにも思える。