封切り前から話題になり、今や「社会現象」ともいえる状況となっているアニメ「鬼滅の刃 無限列車編」。
公式サイト:劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
封切り直後から、話題となり僅か1ヵ月弱で200億円の興行収益を突破、累計観客動員数も1,500万人を超すほどだ。
ジブリ映画以外でこれほどヒットしたアニメ映画というのは、これまでなかったのでは?という、気がしている。
これだけの大ヒットをする要因は、既にコミックスとして人気があり、それがテレビでアニメ化され、満を持しての映画化ということもあると思うのだが、映画館に足を運んでいる人たちがテレビアニメでファンになった子供たちだけではなく、その親、その祖父母という3世代の観客動員という、これまでとは違う動員構成となっている、という点でも特異な気がしている。
そして劇場版のヒットは、日本だけではなくアジア諸国や米国にまで及んでいる、という点で考えるとその勢いの凄さに、驚くばかりだ。
そして映画だけがヒットをしていると思われがちだが、実は主題歌も米国のヒットチャートを駆け上がっている。
billboard:LiSA「炎」が米ビルボード・グローバルチャート トップ10入り
詳細については、リンク先のビルボードの記事を読んでいただきたいのだが、このグローバルチャートの1位となっているBTSは韓国の男性ポップグループで、歌詞そのものが英語のものだ。
それに対してLiSAの「炎」は、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編に合わせ、日本語でのリリースとなっているはずだ。
米国での映画のヒットもあってのことではあるが、日本語の楽曲が米国のヒットチャートのトップ10入りする、というのは坂本九さんの「上を向いて歩こう(海外でのタイトルは「スキヤキ」)」以来ではないだろうか?
米国での公開状況が分からないので、映画そのものに字幕や吹替がされているのかもしれないのだが、主題歌に関していえばおそらく映画の世界観を表現するために字幕付きかもしれないのだが、LiSAさんの「炎」がそのまま使われているのでは?と、考えている。
とすれば、米国内で劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を見て、主題歌が気に入ってストリーミングで聞いている人たちが、日本語という言語の壁を飛び越えて楽しんでいるのでは?と、思っている。
政府が大手広告代理店を使って、「COOL JAPAN」のキャンペーンをするよりも遥かに大きな効果を上げているのが、今の日本のアニメであり、その代表となっているのが「鬼滅の刃」ということになると思う。
もちろん「鬼滅の刃」の前には、ジブリ作品があり、「キャプテン翼」等海外でも大ヒットしたアニメや(日本の)カワイイの代表である、サンリオのキティーちゃんなどの存在があっての、映画の大ヒットであり、主題歌の大ヒットだ。
ただ、LiSAさんの「炎」のヒットは、ストリーミングチャートを賑わしている若いミュージシャンたちにとって、自分たちの音楽マーケットが、日本国内ではないという意識付けをするのではないだろうか?
そう考えると、「鬼滅の刃」というアニメが切り開いたグローバルマーケットは、様々な影響を与え「言葉の壁」さえも、乗り越えていく可能性を感じさせているように思うのだ。