今日は将棋とは関係ないことを書く予定だったが、やはり以下の記事にする。
15日(水)は「第3期マイナビ女子オープン予選抽選会」に参加するべく、東京・将棋会館へ向かった。
午前11時30分、JR千駄ヶ谷駅前で、LPSA金曜サロン手合い係の植山悦行七段、会員のR、W両氏と待ち合わせをし、合流後、まずは昼食。テレビ「裸の少年」(少女ではない)で紹介されたステーキ専門店で、植山七段に美味しいランチをごちそうになる。
腹もくちて午後12時40分すぎに将棋会館2階の会議室へ入ると、けっこう人がいる。今回の抽選は先着48名である。正直、平日の昼間だからすぐには満員にならないだろうと高をくくっていたが、あにはからんや整理券をもらえるかどうかの微妙な局面になっており、なんと私たち3人でちょうど48人目であった。
その後も何人か来ていて、あぶれた人は10名ぐらいいた。ウサギとカメではないが、かなり危ないところだった。
今回の抽選方式は、第2期で本戦に進出した女流棋士会所属の12選手(連盟シード)を①グループ、本戦入りできなかった女流棋士会所属の20選手(連盟一般)を②グループ、LPSA所属の12選手を③グループ、フリー選手・アマチュア代表計4選手を④グループとし、先着順に、まずはクジ(色紙)を引きたいグループを選択していく、というものだった。
私たちドンジリの3名にグループ選択の余地はなく、残った②グループを必然的に選ぶことになった。ちなみに私たちの前2名も、②グループだったようである。
整理券をもらう順番にも意味があり、若い番号からクジを引いていく。ということは、「48」の整理券をもらった私は、クジ選択の余地すらない。つまり「外れ1位」の他力本願しかないのだ。なんということか。
先日のコメント欄にも書いたが、私が色紙を戴きたい順番を書くと、女流棋士会は山口恵梨子女流1級、中村桃子女流1級、本田小百合女流二段、熊倉紫野女流初段、上田初美女流二段、藤田綾女流初段。LPSAは船戸陽子女流二段、中倉宏美女流二段。アマ枠は成田弥穂女子アマ王位、というところ。
この中で②グループに相当するのは、山口女流1級、中村女流1級、藤田女流初段である。確率3/20で、彼女らのクジが最後まで残るのを、祈るしかないのだ。
ところで私は先ほどから「クジ」を連呼しているが、これは先日書いたような、抽選箱からクジを引くのではなく、横長のテーブルの上に、封筒に入った色紙が4つの山に分けて置かれており、それを各自が選んでいくのだ。しかもこの色紙は、先日予想したような小ぶりなものではなく、通常の大きさの、厚みのある立派なものだった。
トーナメント表には、4グループとその数字が、右から順番に割り振られている。
だからたとえば、表の一番右は「連盟一般①」となっているので、この場合は②グループの山から色紙を選択し、中に入っている選手が、その枠に入るというわけだ。
抽選会の時間になったが、その前に私たちには、特別対局室で指されている矢内理絵子女王-岩根忍女流二段戦の観戦が許された。48名を2グループに分け、3分ほどの観戦である。第1グループの24名が4階に向かい、私たちは2階の階段付近で待つ。と、そこに目の覚めるような美少女が現れた。
あれっ!? や、や、山口恵梨子ちゃんではないか!! あ、ああ、なんか言わなくちゃ! しかし声が出ない。こちらがおろおろしていると、彼女は彼方へ去ってしまった。千載一遇のチャンスだったのに、なな、なんてこった!!
半分うなだれつつ、4階の対局場に入る。私たちはズラッと下座に位置した。矢内女王は瞑想している。凛とした対局姿だ。岩根女流二段はナナメ後ろから拝見する形になる。3月9日の挑戦者決定戦から4ヶ月、また「しーちゃん」の対局姿を観られるとは思わなかった。両者のどちらも応援しているが、岩根女流二段はカド番だ。本局で絶対に一番を返してほしいと思う。
会議室に戻り、午後1時15分ごろ、ついに運命の抽選会が開始された。
室内前方のスクリーンにはトーナメント表が映し出され、その両脇には、30名近くの出場選手が参列した。関東在住の、ほとんどの選手が集まったのではあるまいか。なにしろ優勝賞金500万円を争奪する勝負の、第一歩である。なんの予定もないのに、「家でのんびりしています」という選手がいたら、その選手は「女王」はおろか、予選すら通過できないだろう。
私たちは横1列に8人ずつ座っているので、列ごとに前へ出てきて色紙を取る。それを一旦封筒から出したら、係の人に渡し、会場の全員にその選手名を示す。これを6セット繰り返すわけだ。こうしてみると48名の予選参加選手が、まことにキリのいい数字であることが分かる。
繰り返すが私の目当ては、すでに山口女流1級、中村女流1級、藤田女流初段の3名に絞られた。しかし私には、誰かが最後まで残ってほしい、と念じるしか術はない。
まず、「連盟一般③」で、早くも藤田女流初段の色紙が引かれる。藤田女流初段には女流棋士スーパーサロンでお世話になっている。あのピンクの衣装には胸がときめいたが、ここで取られた。
続いて「連盟一般⑥」。なんとここで山口女流1級の名前が読み上げられ、私は椅子からズリ落ちた。前に座っていたR氏が、気の毒そうに私を見る。なんてこった…同じ取られるにしても、もうちょっと長い時間、夢を見させてくれなかったものか…。
気落ちする私に追い打ちをかけるように、「連盟一般⑦」で中村女流1級の名前が呼ばれ、私は目の前が暗くなった。4つのグループを合わせて、わずか15人目。その瞬間、私の夢は儚く潰えたのだった。
その後のことはあまり記憶にないのだが、最後に残った「連盟一般⑳」は、野田澤彩乃女流1級だった。
ただ負け惜しみを言うわけではないが、私は彼女のファンである。「将棋マガジン」で連載していた「アヤノの挑戦」は愛読していたし、昨年の将棋ペンクラブ大賞贈呈式では、野田澤女流1級の色紙を頂戴している。女流棋士会ブログでの仕事もしっかりしているし、「週刊将棋」創刊と同じ生年月日というのもいい。
また抽選後の「今期の意気込み」で野田澤女流1級自身も述べていたことだが、彼女は前期、大ポカで不本意な敗退をした。残りクジとはいえ、「私が引いた」女流棋士である。野田澤1級には、昨年の分を合わせて、しっかり頑張ってほしいと思う。
ちなみに、「連盟シード」「LPSA」「アマ・フリー」の最終枠は、それぞれ上田初美女流二段、中倉宏美女流二段、成田弥穂女子アマ王位であった。ほかの3グループに、私のひいきの選手が残るとは、なんという巡り合わせか。
考えてみるに、結局今回の「敗因」は、なんとしても意中の選手の色紙をゲットする、という意気込みの差だったと思う。もし私が心から山口女流1級の色紙が欲しければ、整理券を配る数十分前から、会議室前で待っているべきだったのだ。整理券をもらえなくてもいい、という甘い考えを持った時点で、今回の勝敗は決していたと言える。
ついでなので、八つ当たり気味に、ここで苦言を呈しておこう。
今回の予選参加選手は48名だったが、中に1枚、まっさらの色紙があった。女流棋士会のある棋士が、揮毫を拒否したのである。今回の色紙は、名目上「選手の好意による揮毫」となっている。しかしマイナビ予選に参加する以上、スポンサーの意向には最低限応えるべきである。「揮毫拒否」の選手を説得できなかった女流棋士会は情けないし、該当選手には猛省を促したい。
ちなみにこれを引いたお客さんには、矢内理絵子女王のサインが入った著書がプレゼントされた。こちらのほうがよっぽど「お宝」である。
もうひとつ。この日は館内で清水市代女流名人・女流王将を拝見したが、抽選会場には姿を見せなかった。
むろん今回はシードなので、挨拶に来る義務はない。しかし清水さんは、女流名人と女流王将の2タイトルを持つ、女流棋界の大看板である。抽選会に無関心とも取れる行動には、首を傾げざるを得なかった。一目だけでも姿を見せてくれれば、抽選会も一段と盛り上がったのに…と、残念に思った。
抽選会も終わり、引き続き第3局の解説会が3時からあるので、私たちは一時退室する。大勢の女流棋士がおり、私たちはしばしの間、2階廊下のそこここで歓談を始めた。あっちこっちに知った顔の女流棋士がいる。なんて豪華絢爛なんだろうと思う。
と、植山七段が「一公君、こっちこっち」と呼ぶ。行ってみると、山口恵梨子女流1級が、私を見てニコニコしている。
あ、あ、あ、恵梨子ちゃん!!
私は胸の鼓動が早まるのを感じた。
(つづく)
15日(水)は「第3期マイナビ女子オープン予選抽選会」に参加するべく、東京・将棋会館へ向かった。
午前11時30分、JR千駄ヶ谷駅前で、LPSA金曜サロン手合い係の植山悦行七段、会員のR、W両氏と待ち合わせをし、合流後、まずは昼食。テレビ「裸の少年」(少女ではない)で紹介されたステーキ専門店で、植山七段に美味しいランチをごちそうになる。
腹もくちて午後12時40分すぎに将棋会館2階の会議室へ入ると、けっこう人がいる。今回の抽選は先着48名である。正直、平日の昼間だからすぐには満員にならないだろうと高をくくっていたが、あにはからんや整理券をもらえるかどうかの微妙な局面になっており、なんと私たち3人でちょうど48人目であった。
その後も何人か来ていて、あぶれた人は10名ぐらいいた。ウサギとカメではないが、かなり危ないところだった。
今回の抽選方式は、第2期で本戦に進出した女流棋士会所属の12選手(連盟シード)を①グループ、本戦入りできなかった女流棋士会所属の20選手(連盟一般)を②グループ、LPSA所属の12選手を③グループ、フリー選手・アマチュア代表計4選手を④グループとし、先着順に、まずはクジ(色紙)を引きたいグループを選択していく、というものだった。
私たちドンジリの3名にグループ選択の余地はなく、残った②グループを必然的に選ぶことになった。ちなみに私たちの前2名も、②グループだったようである。
整理券をもらう順番にも意味があり、若い番号からクジを引いていく。ということは、「48」の整理券をもらった私は、クジ選択の余地すらない。つまり「外れ1位」の他力本願しかないのだ。なんということか。
先日のコメント欄にも書いたが、私が色紙を戴きたい順番を書くと、女流棋士会は山口恵梨子女流1級、中村桃子女流1級、本田小百合女流二段、熊倉紫野女流初段、上田初美女流二段、藤田綾女流初段。LPSAは船戸陽子女流二段、中倉宏美女流二段。アマ枠は成田弥穂女子アマ王位、というところ。
この中で②グループに相当するのは、山口女流1級、中村女流1級、藤田女流初段である。確率3/20で、彼女らのクジが最後まで残るのを、祈るしかないのだ。
ところで私は先ほどから「クジ」を連呼しているが、これは先日書いたような、抽選箱からクジを引くのではなく、横長のテーブルの上に、封筒に入った色紙が4つの山に分けて置かれており、それを各自が選んでいくのだ。しかもこの色紙は、先日予想したような小ぶりなものではなく、通常の大きさの、厚みのある立派なものだった。
トーナメント表には、4グループとその数字が、右から順番に割り振られている。
だからたとえば、表の一番右は「連盟一般①」となっているので、この場合は②グループの山から色紙を選択し、中に入っている選手が、その枠に入るというわけだ。
抽選会の時間になったが、その前に私たちには、特別対局室で指されている矢内理絵子女王-岩根忍女流二段戦の観戦が許された。48名を2グループに分け、3分ほどの観戦である。第1グループの24名が4階に向かい、私たちは2階の階段付近で待つ。と、そこに目の覚めるような美少女が現れた。
あれっ!? や、や、山口恵梨子ちゃんではないか!! あ、ああ、なんか言わなくちゃ! しかし声が出ない。こちらがおろおろしていると、彼女は彼方へ去ってしまった。千載一遇のチャンスだったのに、なな、なんてこった!!
半分うなだれつつ、4階の対局場に入る。私たちはズラッと下座に位置した。矢内女王は瞑想している。凛とした対局姿だ。岩根女流二段はナナメ後ろから拝見する形になる。3月9日の挑戦者決定戦から4ヶ月、また「しーちゃん」の対局姿を観られるとは思わなかった。両者のどちらも応援しているが、岩根女流二段はカド番だ。本局で絶対に一番を返してほしいと思う。
会議室に戻り、午後1時15分ごろ、ついに運命の抽選会が開始された。
室内前方のスクリーンにはトーナメント表が映し出され、その両脇には、30名近くの出場選手が参列した。関東在住の、ほとんどの選手が集まったのではあるまいか。なにしろ優勝賞金500万円を争奪する勝負の、第一歩である。なんの予定もないのに、「家でのんびりしています」という選手がいたら、その選手は「女王」はおろか、予選すら通過できないだろう。
私たちは横1列に8人ずつ座っているので、列ごとに前へ出てきて色紙を取る。それを一旦封筒から出したら、係の人に渡し、会場の全員にその選手名を示す。これを6セット繰り返すわけだ。こうしてみると48名の予選参加選手が、まことにキリのいい数字であることが分かる。
繰り返すが私の目当ては、すでに山口女流1級、中村女流1級、藤田女流初段の3名に絞られた。しかし私には、誰かが最後まで残ってほしい、と念じるしか術はない。
まず、「連盟一般③」で、早くも藤田女流初段の色紙が引かれる。藤田女流初段には女流棋士スーパーサロンでお世話になっている。あのピンクの衣装には胸がときめいたが、ここで取られた。
続いて「連盟一般⑥」。なんとここで山口女流1級の名前が読み上げられ、私は椅子からズリ落ちた。前に座っていたR氏が、気の毒そうに私を見る。なんてこった…同じ取られるにしても、もうちょっと長い時間、夢を見させてくれなかったものか…。
気落ちする私に追い打ちをかけるように、「連盟一般⑦」で中村女流1級の名前が呼ばれ、私は目の前が暗くなった。4つのグループを合わせて、わずか15人目。その瞬間、私の夢は儚く潰えたのだった。
その後のことはあまり記憶にないのだが、最後に残った「連盟一般⑳」は、野田澤彩乃女流1級だった。
ただ負け惜しみを言うわけではないが、私は彼女のファンである。「将棋マガジン」で連載していた「アヤノの挑戦」は愛読していたし、昨年の将棋ペンクラブ大賞贈呈式では、野田澤女流1級の色紙を頂戴している。女流棋士会ブログでの仕事もしっかりしているし、「週刊将棋」創刊と同じ生年月日というのもいい。
また抽選後の「今期の意気込み」で野田澤女流1級自身も述べていたことだが、彼女は前期、大ポカで不本意な敗退をした。残りクジとはいえ、「私が引いた」女流棋士である。野田澤1級には、昨年の分を合わせて、しっかり頑張ってほしいと思う。
ちなみに、「連盟シード」「LPSA」「アマ・フリー」の最終枠は、それぞれ上田初美女流二段、中倉宏美女流二段、成田弥穂女子アマ王位であった。ほかの3グループに、私のひいきの選手が残るとは、なんという巡り合わせか。
考えてみるに、結局今回の「敗因」は、なんとしても意中の選手の色紙をゲットする、という意気込みの差だったと思う。もし私が心から山口女流1級の色紙が欲しければ、整理券を配る数十分前から、会議室前で待っているべきだったのだ。整理券をもらえなくてもいい、という甘い考えを持った時点で、今回の勝敗は決していたと言える。
ついでなので、八つ当たり気味に、ここで苦言を呈しておこう。
今回の予選参加選手は48名だったが、中に1枚、まっさらの色紙があった。女流棋士会のある棋士が、揮毫を拒否したのである。今回の色紙は、名目上「選手の好意による揮毫」となっている。しかしマイナビ予選に参加する以上、スポンサーの意向には最低限応えるべきである。「揮毫拒否」の選手を説得できなかった女流棋士会は情けないし、該当選手には猛省を促したい。
ちなみにこれを引いたお客さんには、矢内理絵子女王のサインが入った著書がプレゼントされた。こちらのほうがよっぽど「お宝」である。
もうひとつ。この日は館内で清水市代女流名人・女流王将を拝見したが、抽選会場には姿を見せなかった。
むろん今回はシードなので、挨拶に来る義務はない。しかし清水さんは、女流名人と女流王将の2タイトルを持つ、女流棋界の大看板である。抽選会に無関心とも取れる行動には、首を傾げざるを得なかった。一目だけでも姿を見せてくれれば、抽選会も一段と盛り上がったのに…と、残念に思った。
抽選会も終わり、引き続き第3局の解説会が3時からあるので、私たちは一時退室する。大勢の女流棋士がおり、私たちはしばしの間、2階廊下のそこここで歓談を始めた。あっちこっちに知った顔の女流棋士がいる。なんて豪華絢爛なんだろうと思う。
と、植山七段が「一公君、こっちこっち」と呼ぶ。行ってみると、山口恵梨子女流1級が、私を見てニコニコしている。
あ、あ、あ、恵梨子ちゃん!!
私は胸の鼓動が早まるのを感じた。
(つづく)