きのう13日はRAC(琉球エアコミューター)801便・8時35分発のプロペラ機で宮古島へ飛んだ。9時35分、宮古島着。この日の目的は吉野海岸で水着のおね…吉野海岸でサンゴとサカナちゃんを愛でながら泳ぐこと。その前に13日は平日だから、郵便局で貯金をしなければならない。
宮古島にはふたつのバス会社があって、吉野方面へは宮古協栄バスが走っている。11時ちょうどに平良(ひらら)営業所を発車する新城(あらぐすく)・吉野・保良(ぼら)線があり、私はいつもその便を利用しているが、その1本前に、10時ちょうど発のバスがあったはずだ。空港から吉野への間にはふたつ郵便局があるから、10時発のバスをつかまえてどちらか最寄の停留所で降りて貯金をし、その1時間後、11時発のバスに乗って吉野へ行く、と目論んでいた。
ところが、吉野へ向かう途中にあったバス停で時間を確認すると、10時台のバスがない!! あとで分かったことだが、私が「10時00分平良営業所発」と記憶していたバスは、9時20分発だった。つまり私が宮古島に着いたころには、もうそのバスは更竹を過ぎていたのだ。こんなことなら朝一番の飛行機で宮古島へ来ればよかったと後悔したが、もう遅い。現状で最善の手段を見つけるしかない。
私はいままでの旅行で、平日の貯金を欠かしたことがない。だから貯金はしたい。しかし11時00分発のバスに乗って貯金をしてしまうと、次のバスはたしか2時間後である。いっぽう吉野発平良営業所行きの最終は16時33分だから、現地で水着のおね…サンゴを鑑賞する時間を考慮に入れると、海岸ではほとんど海に浸かるだけで終わってしまう。
水着のおねーちゃ…サンゴとサカナちゃんを取るか、貯金を取るか。私は迷う。やっぱり水着のおね…サンゴだろう。バカバカしいが、最悪、吉野からハイヤーを呼んだっていいのだ。というわけで、11時13分、私は更竹バス停から吉野行きのバスに乗車した。
車内の先客は3人。しかし40代と思しき女性がフィンを片手にしている。彼女は絶対に吉野で降りる。吉野バス停手前の海岸への近道の前でバスが止まり、11時35分、彼女と私は下車した。ああ、とうとう降りてしまった。これできょうの貯金はアウトだ。これはいよいよ、吉野からハイヤーか。しかしそれはそれで、私のポリシーに反するのだが…。
海岸へは、その女性と一緒に行くことになった。歩いて20分かかるから、かなりの距離だ。私は何回も吉野海岸を訪れているから、私が彼女をリードして歩く。別に話すこともないが、私が旅行貯金の話をすると、彼女は時刻を綿密に下調べしていたのか、
「それなら15時03発がありますよ」
と教えてくれた。バス停の手前で降ろされたので、上りの時刻を確認できなかったのだが、そんなバスがあるとは知らなかった。これなら12時に海に潜ったとしても、2時間は鑑賞できる。かなり慌しいが、ひととおりは楽しめる時間だ。彼女は倍賞千恵子似の40歳代(30代とは言わせない)の女性だったからそれ以上の進展はあり得ないが、この情報は大きかった。ありがたかった。
海岸入口で、無料のシャトルバス(ワゴン車)に乗せてもらう。海岸へは急な坂道が連なり、10分くらいかかるのだ。ワゴンの中には先客が3人いて、女性は2人。これはどちらも美人だ。
海岸に着くと、倍賞千恵子似さんとは別行動とした。お互いひとり旅だから、それでいいのだ。
さて吉野海岸といえば、吉野海岸を愛してやまない「吉野のおっちゃん」(私が勝手に命名した)に挨拶をしなければならない。
常駐しているとある茂みに向かうと、海パン姿の若者と、外人サンがいた。若者は魚を捌いていて、「(おっちゃんは)浜にいるよ」と言う。そこで浜に目をやると、いた。思わず近寄ると、右から先ほどワゴンに同乗していた美女ふたりもおっちゃんに近づいてくる。マジか!?
美女、私の順でおっちゃんに挨拶する。おっちゃんは相変わらず白いヒゲをたくわえ、温厚な笑顔だ。
「いま魚を焼いているから、食べに来なさい」
美女と焼き魚。最高の取り合わせだが、今回は時間がない。
「すみません、ワタシ、泳ぎますので」
私でも、たまには美女を振り切るときがあるのだ。しかし、どう考えても彼女らは内地から来ている。吉野海岸に来たら、おっちゃんに挨拶でもするような、暗黙の了解でもあるのだろうか。
40分ほど海に浮いてサンゴとサカナを鑑賞したあと、茂みに向かう。と、先ほどの彼女らに加えて、同じワゴンに乗っていた男性や家族連れが同席していて、ずいぶん賑やかだった。男性は先ほどの美女の友人だった。馴れ馴れしく美女に声をかけないでよかったと思う。
囲炉裏の網の上には、さきほど捌いていたと思われる魚や蟹が焼かれていた。当然、この海岸で獲れたものである。先ほどの外人サンが魚と野菜を取り分けてくれる。ちなみに「皿」はその辺に生えている植物の大振りな葉っぱだった。
この魚が、美味かった。味つけは塩少々らしいが、魚自体に味がある。沖縄の魚がこんなに美味しいとは、ひとつの発見であった。
おっちゃんに礼を言って、浜に戻る。倍賞千恵子似の女性が帰るところだった。彼女は13時33分吉野発のバスで平良方面に戻ると言っていた。私の予定も慌ただしいが、彼女も弾丸ライナーだ。
私はその後、引き続き海に入ってサンゴとサカナ鑑賞。サンゴは茶色系が多く地味だが、サカナは熱帯魚が多いのか、カラフルで数も多い。この海に入ると、湘南の海には戻れない。
14時すぎに、海をあがる。坂を上れば500円でシャワーを浴びられるが、昔は浜を少し上ったところに簡易シャワーがあって、無料だった。その場所には現在風呂桶が置かれ、湧き水が流れている。昔から吉野海岸を訪れていた人は有料でシャワーを浴びるのを拒絶する人も多いようで、私もそのひとりである。私は自分の納得いくおカネであれば、9万円でも出すが、納得のいかないおカネは、1円でも出さない。私はヒシャクで湧き水を頭からかぶり、それをシャワーの代わりとした。
吉野のバス停で待っていると、15時03分を5分送れて、保良経由平良行きのバスが5分遅れで来た。運転手は朝と同じオジサンである。きょう1日は、このルートを巡回するのだろう。城辺郵便局の真ん前で降ろしてもらい、できないと観念していた、813円が貯金できた。
さてしかし、そのあとはもう、することがない。1時間30分の持ち時間、いや待ち時間をどうするか。辺りに喫茶店の類ははなく、民家の軒下で時間をつぶすわけにもいかないので、私は平良方面に歩く。ひたすら歩く。これも私の旅行スタイルなのだ。
気温は30度をやや上回っている程度と思うが、太陽の日差しが強い。のどが渇くと自動販売機でジュースを買い、水分を補う。先日A氏夫婦と飲んだ帰り、JR東京駅まで歩いたのだが、その道々に喫茶店が多いことに、私たちは感心した。「東京はすぐお茶が飲めるからいいね」と。いま私は、そのときの言葉を重く噛み締めている。
西中入口のバス停まで来てしまった。現在16時47分。16時55分に、最終バスが来る。歩くのはここまでだ。
ところが55分を過ぎても、いっこうにバスが来ない。これはどういうわけか。そうこうしているうち、17時07分発の、長北山北線のバスが先に来てしまった。私はそれに乗る。しばらく走ると、道沿いでおばあが手を上げている。運転手は、指をクイッとやって、(あとのバスに乗ってください)とやっている。新城・吉野・保良線のバスのことだろう。何故だか分からぬが、10分前後遅れているようだ。
下地鮮魚店前で降りる。ハス向かいの喫茶店に入ろうとすると、あのバスがやってきた。運転手はあのオジサンだ。どうも腑に落ちないまま、私は「ブルーメ」に入った。ここのアイスコーヒーは、ガラス製のコーヒーカップがやたら大きく、宮古島に来ると必ず寄る喫茶店である。今回は宮古島ユースホステルへのチェックインがあるので、早く出なければならず、ケーキは頼まない。
それにしてもあのバス…と考えて、あっ、と思った。まさかあのオジサン、各バス停で、私の姿を探していたのだろうか!? 私が城辺郵便局前で降りるとき、そのあとの行き先を聞いていた。オジサンの運転するバスは、吉野発平良行きの最終である。もしあの青年(私のこと)が乗り遅れていたら…と考えて、わざとバスの速度を遅くした、とは考えられないか? …などというバカなことを、きのうは本気で考えた。
宮古島にはふたつのバス会社があって、吉野方面へは宮古協栄バスが走っている。11時ちょうどに平良(ひらら)営業所を発車する新城(あらぐすく)・吉野・保良(ぼら)線があり、私はいつもその便を利用しているが、その1本前に、10時ちょうど発のバスがあったはずだ。空港から吉野への間にはふたつ郵便局があるから、10時発のバスをつかまえてどちらか最寄の停留所で降りて貯金をし、その1時間後、11時発のバスに乗って吉野へ行く、と目論んでいた。
ところが、吉野へ向かう途中にあったバス停で時間を確認すると、10時台のバスがない!! あとで分かったことだが、私が「10時00分平良営業所発」と記憶していたバスは、9時20分発だった。つまり私が宮古島に着いたころには、もうそのバスは更竹を過ぎていたのだ。こんなことなら朝一番の飛行機で宮古島へ来ればよかったと後悔したが、もう遅い。現状で最善の手段を見つけるしかない。
私はいままでの旅行で、平日の貯金を欠かしたことがない。だから貯金はしたい。しかし11時00分発のバスに乗って貯金をしてしまうと、次のバスはたしか2時間後である。いっぽう吉野発平良営業所行きの最終は16時33分だから、現地で水着のおね…サンゴを鑑賞する時間を考慮に入れると、海岸ではほとんど海に浸かるだけで終わってしまう。
水着のおねーちゃ…サンゴとサカナちゃんを取るか、貯金を取るか。私は迷う。やっぱり水着のおね…サンゴだろう。バカバカしいが、最悪、吉野からハイヤーを呼んだっていいのだ。というわけで、11時13分、私は更竹バス停から吉野行きのバスに乗車した。
車内の先客は3人。しかし40代と思しき女性がフィンを片手にしている。彼女は絶対に吉野で降りる。吉野バス停手前の海岸への近道の前でバスが止まり、11時35分、彼女と私は下車した。ああ、とうとう降りてしまった。これできょうの貯金はアウトだ。これはいよいよ、吉野からハイヤーか。しかしそれはそれで、私のポリシーに反するのだが…。
海岸へは、その女性と一緒に行くことになった。歩いて20分かかるから、かなりの距離だ。私は何回も吉野海岸を訪れているから、私が彼女をリードして歩く。別に話すこともないが、私が旅行貯金の話をすると、彼女は時刻を綿密に下調べしていたのか、
「それなら15時03発がありますよ」
と教えてくれた。バス停の手前で降ろされたので、上りの時刻を確認できなかったのだが、そんなバスがあるとは知らなかった。これなら12時に海に潜ったとしても、2時間は鑑賞できる。かなり慌しいが、ひととおりは楽しめる時間だ。彼女は倍賞千恵子似の40歳代(30代とは言わせない)の女性だったからそれ以上の進展はあり得ないが、この情報は大きかった。ありがたかった。
海岸入口で、無料のシャトルバス(ワゴン車)に乗せてもらう。海岸へは急な坂道が連なり、10分くらいかかるのだ。ワゴンの中には先客が3人いて、女性は2人。これはどちらも美人だ。
海岸に着くと、倍賞千恵子似さんとは別行動とした。お互いひとり旅だから、それでいいのだ。
さて吉野海岸といえば、吉野海岸を愛してやまない「吉野のおっちゃん」(私が勝手に命名した)に挨拶をしなければならない。
常駐しているとある茂みに向かうと、海パン姿の若者と、外人サンがいた。若者は魚を捌いていて、「(おっちゃんは)浜にいるよ」と言う。そこで浜に目をやると、いた。思わず近寄ると、右から先ほどワゴンに同乗していた美女ふたりもおっちゃんに近づいてくる。マジか!?
美女、私の順でおっちゃんに挨拶する。おっちゃんは相変わらず白いヒゲをたくわえ、温厚な笑顔だ。
「いま魚を焼いているから、食べに来なさい」
美女と焼き魚。最高の取り合わせだが、今回は時間がない。
「すみません、ワタシ、泳ぎますので」
私でも、たまには美女を振り切るときがあるのだ。しかし、どう考えても彼女らは内地から来ている。吉野海岸に来たら、おっちゃんに挨拶でもするような、暗黙の了解でもあるのだろうか。
40分ほど海に浮いてサンゴとサカナを鑑賞したあと、茂みに向かう。と、先ほどの彼女らに加えて、同じワゴンに乗っていた男性や家族連れが同席していて、ずいぶん賑やかだった。男性は先ほどの美女の友人だった。馴れ馴れしく美女に声をかけないでよかったと思う。
囲炉裏の網の上には、さきほど捌いていたと思われる魚や蟹が焼かれていた。当然、この海岸で獲れたものである。先ほどの外人サンが魚と野菜を取り分けてくれる。ちなみに「皿」はその辺に生えている植物の大振りな葉っぱだった。
この魚が、美味かった。味つけは塩少々らしいが、魚自体に味がある。沖縄の魚がこんなに美味しいとは、ひとつの発見であった。
おっちゃんに礼を言って、浜に戻る。倍賞千恵子似の女性が帰るところだった。彼女は13時33分吉野発のバスで平良方面に戻ると言っていた。私の予定も慌ただしいが、彼女も弾丸ライナーだ。
私はその後、引き続き海に入ってサンゴとサカナ鑑賞。サンゴは茶色系が多く地味だが、サカナは熱帯魚が多いのか、カラフルで数も多い。この海に入ると、湘南の海には戻れない。
14時すぎに、海をあがる。坂を上れば500円でシャワーを浴びられるが、昔は浜を少し上ったところに簡易シャワーがあって、無料だった。その場所には現在風呂桶が置かれ、湧き水が流れている。昔から吉野海岸を訪れていた人は有料でシャワーを浴びるのを拒絶する人も多いようで、私もそのひとりである。私は自分の納得いくおカネであれば、9万円でも出すが、納得のいかないおカネは、1円でも出さない。私はヒシャクで湧き水を頭からかぶり、それをシャワーの代わりとした。
吉野のバス停で待っていると、15時03分を5分送れて、保良経由平良行きのバスが5分遅れで来た。運転手は朝と同じオジサンである。きょう1日は、このルートを巡回するのだろう。城辺郵便局の真ん前で降ろしてもらい、できないと観念していた、813円が貯金できた。
さてしかし、そのあとはもう、することがない。1時間30分の持ち時間、いや待ち時間をどうするか。辺りに喫茶店の類ははなく、民家の軒下で時間をつぶすわけにもいかないので、私は平良方面に歩く。ひたすら歩く。これも私の旅行スタイルなのだ。
気温は30度をやや上回っている程度と思うが、太陽の日差しが強い。のどが渇くと自動販売機でジュースを買い、水分を補う。先日A氏夫婦と飲んだ帰り、JR東京駅まで歩いたのだが、その道々に喫茶店が多いことに、私たちは感心した。「東京はすぐお茶が飲めるからいいね」と。いま私は、そのときの言葉を重く噛み締めている。
西中入口のバス停まで来てしまった。現在16時47分。16時55分に、最終バスが来る。歩くのはここまでだ。
ところが55分を過ぎても、いっこうにバスが来ない。これはどういうわけか。そうこうしているうち、17時07分発の、長北山北線のバスが先に来てしまった。私はそれに乗る。しばらく走ると、道沿いでおばあが手を上げている。運転手は、指をクイッとやって、(あとのバスに乗ってください)とやっている。新城・吉野・保良線のバスのことだろう。何故だか分からぬが、10分前後遅れているようだ。
下地鮮魚店前で降りる。ハス向かいの喫茶店に入ろうとすると、あのバスがやってきた。運転手はあのオジサンだ。どうも腑に落ちないまま、私は「ブルーメ」に入った。ここのアイスコーヒーは、ガラス製のコーヒーカップがやたら大きく、宮古島に来ると必ず寄る喫茶店である。今回は宮古島ユースホステルへのチェックインがあるので、早く出なければならず、ケーキは頼まない。
それにしてもあのバス…と考えて、あっ、と思った。まさかあのオジサン、各バス停で、私の姿を探していたのだろうか!? 私が城辺郵便局前で降りるとき、そのあとの行き先を聞いていた。オジサンの運転するバスは、吉野発平良行きの最終である。もしあの青年(私のこと)が乗り遅れていたら…と考えて、わざとバスの速度を遅くした、とは考えられないか? …などというバカなことを、きのうは本気で考えた。