きのう6日のLPSA金曜サロンは、1部が松尾香織女流初段、2部が藤森奈津子女流四段の担当だった。
最近の定跡どおり、午後3時30分に仕事を終える。まだオヤジが働いているのに、若い私のほうが先にあがるとは、あべこべである。こんな生活がいつまでも続くとは思えない。いまに絶対、バチが当たる。
JR駒込駅のホームに降りると、雲ひとつない青空だ。4日、5日の夜に私は上野公園を散歩したが、やはり雲が少なく、澄んでいた。あんな夜空を見たのは初めてだった。今年は桃の実も豊作だし、いつもの夏とちょっと違う。
駒込サロンのインターフォンを押すと、男性の声だ。櫛田陽一手合い係である。
入室すると、2人の会員が松尾女流初段に指導対局を受けていた。ほかに会員は3人。ちょっと少ない。常連のAさん(女性)、Sさん夫婦のお姿がないのがさびしい。夏バテで、外出が億劫になったのだろうか。
受付のテーブルの上に、2枚の写真が載っている。いずれもマンデーレッスン「ゆかたまつり」のもので、うち1枚は私のだ。藤森女流四段とのツーショットである。その場ではすぐバッグに仕舞ったが、さきほど見たら、なかなかよく撮れている。私の容姿はともかく、藤森女流四段はあでやかだ。いままで多くの将棋ファンと写真を撮っただけあって、撮られ慣れている感じがした。
テーブルの上には扇子が載っている。
「大沢さん、前回の金曜リーグ優勝、おめでとうございます。これ、賞品です」
と、櫛田手合い係。賞品はLPSA女流棋士の直筆扇子だ。私は松尾女流初段を指名したのだが、やっとできあがったらしい。あとでコッソリ拝見したが、見事な揮毫だった。この揮毫には感心したことがあったのだが、それは秘す。簡単にいえば、松尾女流初段の、プロとしての気概が窺えた、ということだ。
その松尾女流初段の指導対局に入る。M女流初段の大ファンだというA氏は、顔を見せていない。やはり作家はいそがしいのだ。
私と松尾女流初段との指導対局には、「マッカラン」がかかっている。どちらも負けられない一局である。と、序盤で松尾女流初段が
「大沢さん、私のこと○○○○○?」
と、唐突に訊く。
「……!! ○○○○○」
私は動揺したが、本心を吐露するしかない。「でも船戸先生には内緒ですよ」
どうも、序盤で松尾女流初段に不用意な手があったのだが、それを私が咎めなかったことが、この質問になったらしい。
松尾女流初段との指導対局が終わると、すぐに藤森女流四段との指導対局になったが、その直後、久しぶりに大盤解説が行われた。取りあげる実戦は、先日の「マンデーカップ」で指された、中倉宏美女流二段と松尾女流初段の一局。松尾女流初段の旦那さまの歩七段が、「終盤はキレのある指し手だった」とホメたという、松尾女流初段の快勝譜だ。あらためて解説を聞いたが、なるほど松尾女流初段、見事な指し回しだった。
藤森女流四段には先日のマンデーレッスンでも教えていただいたので、連戦である。前局は藤森女流四段がやや不出来だったこともあって、本局の藤森女流四段はヤル気満々だった。
将棋はねじり合いになった。金曜サロン一の強豪、O氏が各局を観戦している。あいにく会員が「奇数」なので、将棋を指そうにも、相手がいないのだ。この状態が数十分続いたので、O氏はヒマを持て余したと思う。
藤森女流四段との将棋は、私の惜敗。私だって金曜リーグでも優勝しているし、自分自身そんなに弱くはないと思うのだが、やはり女流棋士にはなかなか勝てない。藤森女流四段は引退したが、まったく棋力は衰えていない。否、現役のときより強くなっているのではなかろうか。
夜9時すぎ。ひととおり将棋が終わったので、早く食事会に行きたいが、藤森女流四段とK氏との感想戦につい見入っていたら、船戸陽子女流二段が、
「将棋指したい!!」
と駆け込んできたので、驚いた。キャリアウーマン風で、相変わらず魅力的である。「突然船戸女流二段を拝見する」。この私の驚きは、まだ船戸女流二段が女流棋士会に在籍していたとき、ふいに駒込サロンに顔を見せたときに似ている。
船戸女流二段は、8日の「日レスカップ」対局前のトレーニングなのか、金曜サロンの会員相手に実戦練習を積みたかったらしいのだが、事務仕事で遅れてしまい、サロンの終了時刻ギリギリに飛び込んだようだ。
船戸女流二段が、
「10秒将棋、10秒将棋!!」
と、物凄い迫力で言う。あああ…ああああ、こんなチャンスは滅多にない!! 私は率先して挑戦する。しかしそれも束の間、あっという間に吹っ飛ばされた。敗者は消え去るのみ。とっととK氏に替わる。
先日のマンデーレッスンでは藤森女流四段に勝たせていただいたので、扇子にサインをいただくことにする。いわく、「私26歳になったから。松尾さんは24歳になったから、合わせて50歳」。
先日のマンデーレッスンでは聞き間違えたと思ったが、そうではなかったらしい。
船戸女流二段とK氏の10秒将棋はまだ続いているが、マンデーレッスンに続いてまたも惨敗した私は、船戸女流二段を鑑賞できても、おもしろくない。こういうときの船戸女流二段は、にくたらしい。
私(たち)はK氏を置いて、食事会に出かけたのだった。
最近の定跡どおり、午後3時30分に仕事を終える。まだオヤジが働いているのに、若い私のほうが先にあがるとは、あべこべである。こんな生活がいつまでも続くとは思えない。いまに絶対、バチが当たる。
JR駒込駅のホームに降りると、雲ひとつない青空だ。4日、5日の夜に私は上野公園を散歩したが、やはり雲が少なく、澄んでいた。あんな夜空を見たのは初めてだった。今年は桃の実も豊作だし、いつもの夏とちょっと違う。
駒込サロンのインターフォンを押すと、男性の声だ。櫛田陽一手合い係である。
入室すると、2人の会員が松尾女流初段に指導対局を受けていた。ほかに会員は3人。ちょっと少ない。常連のAさん(女性)、Sさん夫婦のお姿がないのがさびしい。夏バテで、外出が億劫になったのだろうか。
受付のテーブルの上に、2枚の写真が載っている。いずれもマンデーレッスン「ゆかたまつり」のもので、うち1枚は私のだ。藤森女流四段とのツーショットである。その場ではすぐバッグに仕舞ったが、さきほど見たら、なかなかよく撮れている。私の容姿はともかく、藤森女流四段はあでやかだ。いままで多くの将棋ファンと写真を撮っただけあって、撮られ慣れている感じがした。
テーブルの上には扇子が載っている。
「大沢さん、前回の金曜リーグ優勝、おめでとうございます。これ、賞品です」
と、櫛田手合い係。賞品はLPSA女流棋士の直筆扇子だ。私は松尾女流初段を指名したのだが、やっとできあがったらしい。あとでコッソリ拝見したが、見事な揮毫だった。この揮毫には感心したことがあったのだが、それは秘す。簡単にいえば、松尾女流初段の、プロとしての気概が窺えた、ということだ。
その松尾女流初段の指導対局に入る。M女流初段の大ファンだというA氏は、顔を見せていない。やはり作家はいそがしいのだ。
私と松尾女流初段との指導対局には、「マッカラン」がかかっている。どちらも負けられない一局である。と、序盤で松尾女流初段が
「大沢さん、私のこと○○○○○?」
と、唐突に訊く。
「……!! ○○○○○」
私は動揺したが、本心を吐露するしかない。「でも船戸先生には内緒ですよ」
どうも、序盤で松尾女流初段に不用意な手があったのだが、それを私が咎めなかったことが、この質問になったらしい。
松尾女流初段との指導対局が終わると、すぐに藤森女流四段との指導対局になったが、その直後、久しぶりに大盤解説が行われた。取りあげる実戦は、先日の「マンデーカップ」で指された、中倉宏美女流二段と松尾女流初段の一局。松尾女流初段の旦那さまの歩七段が、「終盤はキレのある指し手だった」とホメたという、松尾女流初段の快勝譜だ。あらためて解説を聞いたが、なるほど松尾女流初段、見事な指し回しだった。
藤森女流四段には先日のマンデーレッスンでも教えていただいたので、連戦である。前局は藤森女流四段がやや不出来だったこともあって、本局の藤森女流四段はヤル気満々だった。
将棋はねじり合いになった。金曜サロン一の強豪、O氏が各局を観戦している。あいにく会員が「奇数」なので、将棋を指そうにも、相手がいないのだ。この状態が数十分続いたので、O氏はヒマを持て余したと思う。
藤森女流四段との将棋は、私の惜敗。私だって金曜リーグでも優勝しているし、自分自身そんなに弱くはないと思うのだが、やはり女流棋士にはなかなか勝てない。藤森女流四段は引退したが、まったく棋力は衰えていない。否、現役のときより強くなっているのではなかろうか。
夜9時すぎ。ひととおり将棋が終わったので、早く食事会に行きたいが、藤森女流四段とK氏との感想戦につい見入っていたら、船戸陽子女流二段が、
「将棋指したい!!」
と駆け込んできたので、驚いた。キャリアウーマン風で、相変わらず魅力的である。「突然船戸女流二段を拝見する」。この私の驚きは、まだ船戸女流二段が女流棋士会に在籍していたとき、ふいに駒込サロンに顔を見せたときに似ている。
船戸女流二段は、8日の「日レスカップ」対局前のトレーニングなのか、金曜サロンの会員相手に実戦練習を積みたかったらしいのだが、事務仕事で遅れてしまい、サロンの終了時刻ギリギリに飛び込んだようだ。
船戸女流二段が、
「10秒将棋、10秒将棋!!」
と、物凄い迫力で言う。あああ…ああああ、こんなチャンスは滅多にない!! 私は率先して挑戦する。しかしそれも束の間、あっという間に吹っ飛ばされた。敗者は消え去るのみ。とっととK氏に替わる。
先日のマンデーレッスンでは藤森女流四段に勝たせていただいたので、扇子にサインをいただくことにする。いわく、「私26歳になったから。松尾さんは24歳になったから、合わせて50歳」。
先日のマンデーレッスンでは聞き間違えたと思ったが、そうではなかったらしい。
船戸女流二段とK氏の10秒将棋はまだ続いているが、マンデーレッスンに続いてまたも惨敗した私は、船戸女流二段を鑑賞できても、おもしろくない。こういうときの船戸女流二段は、にくたらしい。
私(たち)はK氏を置いて、食事会に出かけたのだった。