12日のNHK杯将棋トーナメントは、森内俊之九段と三浦弘行八段との一戦。A級の3位と1位という重量級の対戦だったが、11日の毎日新聞観戦記に、森内九段の勝敗が分かる記述があり、ちょっぴり興醒めだった。
9月17日のLPSA金曜サロン、1部は藤森奈津子女流四段、2部は船戸陽子女流二段の担当だった。
2年前の3月14日に初めて金曜サロンにお邪魔したとき、最初の指導女流棋士が、永遠のアイドル・藤森女流四段だった。それまでLPSAのイベントには何度かお邪魔していたものの、駒込に赴くのは初めて。それまでは女流棋士が遠い存在だったので、藤森女流四段に気軽に声をかけていただき、その距離がグッと近くなったと感じたものだった。
将棋は藤森女流四段に角を落としていただき、運よく勝つことができた。私は同じ年の1月にも、大阪のイベントで藤田麻衣子さんに角落ちで勝たせていただいたが、この2つの勝利は本当にうれしかった。自分の将棋が女流棋士にも通用する手ごたえを感じたからである。
それから2年半、藤森女流四段との駒込対局も、ついにこれが最後である。私は感傷的な気持ちで、盤の前にすわった。
対局開始。もちろん平手である。☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖3五歩☗2五歩。
ここで藤森女流四段は☖3二飛と振った。後手番ながら、石田流を目指すものである。いかにも「三間飛車30年」の藤森女流四段の手ではないか。
その6手後、その飛車は☖3四飛と浮く。ああ、藤森女流四段と指してるんだ…と、私はあらためて感激する。
さらにその18手後、藤森女流四段は☖2四歩☗同歩☖同飛と飛車の交換を迫ってきた。ここで歩を謝る手はない。何しろ駒込最終局なのだ。私は元気よく☗同飛と応じた。
以下お互いに竜を作り、私は☗1一角成と香を取る。この局面を掲げる。
ここで藤森女流四段は☖2二歩と打ったが、これに私が☗2二同竜と取ったのが大悪手だった。馬の利きが陰になったので、すかさず☖6六桂と打たれ、飛び上がった。
以下10手進んだところで私の投了。駒込最後の藤森戦だったのに、何とも情けない将棋にしてしまった。
戻って☗1一角成では、☗2五歩と打つのがよかった。☖2五同竜と取れば利かしだし、☖3三角なら☗同角成☖同銀☗5五角で銀取りと☗7四桂を見てよい。しかし対局中はまったく浮かばなかったから、それが私の実力といえる。
藤森女流四段との駒込指導は23局だった。対戦成績は、平手9勝9敗、香落ち3勝1敗、角落ち1勝。いままで何回も述べてきたが、藤森女流四段はいつも多面指しだった。多面指しは上手にたいへんな負担がかかる。指導対局では本気度50%というところだったろう。
それでいて藤森女流四段は、私との平手戦をキッチリ五分の戦績で終えたのだから、さすがである。事実私はいつも、掌の上で遊ばされている感じだった。優勢と感じた将棋もほとんどなかった気がする。やはり女流棋士は強かった、ということだ。
指導対局のみならず、私の毒舌も笑って受け流してくれた藤森女流四段には、あらためて御礼を申し上げます。
9月17日のLPSA金曜サロン、1部は藤森奈津子女流四段、2部は船戸陽子女流二段の担当だった。
2年前の3月14日に初めて金曜サロンにお邪魔したとき、最初の指導女流棋士が、永遠のアイドル・藤森女流四段だった。それまでLPSAのイベントには何度かお邪魔していたものの、駒込に赴くのは初めて。それまでは女流棋士が遠い存在だったので、藤森女流四段に気軽に声をかけていただき、その距離がグッと近くなったと感じたものだった。
将棋は藤森女流四段に角を落としていただき、運よく勝つことができた。私は同じ年の1月にも、大阪のイベントで藤田麻衣子さんに角落ちで勝たせていただいたが、この2つの勝利は本当にうれしかった。自分の将棋が女流棋士にも通用する手ごたえを感じたからである。
それから2年半、藤森女流四段との駒込対局も、ついにこれが最後である。私は感傷的な気持ちで、盤の前にすわった。
対局開始。もちろん平手である。☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖3五歩☗2五歩。
ここで藤森女流四段は☖3二飛と振った。後手番ながら、石田流を目指すものである。いかにも「三間飛車30年」の藤森女流四段の手ではないか。
その6手後、その飛車は☖3四飛と浮く。ああ、藤森女流四段と指してるんだ…と、私はあらためて感激する。
さらにその18手後、藤森女流四段は☖2四歩☗同歩☖同飛と飛車の交換を迫ってきた。ここで歩を謝る手はない。何しろ駒込最終局なのだ。私は元気よく☗同飛と応じた。
以下お互いに竜を作り、私は☗1一角成と香を取る。この局面を掲げる。
ここで藤森女流四段は☖2二歩と打ったが、これに私が☗2二同竜と取ったのが大悪手だった。馬の利きが陰になったので、すかさず☖6六桂と打たれ、飛び上がった。
以下10手進んだところで私の投了。駒込最後の藤森戦だったのに、何とも情けない将棋にしてしまった。
戻って☗1一角成では、☗2五歩と打つのがよかった。☖2五同竜と取れば利かしだし、☖3三角なら☗同角成☖同銀☗5五角で銀取りと☗7四桂を見てよい。しかし対局中はまったく浮かばなかったから、それが私の実力といえる。
藤森女流四段との駒込指導は23局だった。対戦成績は、平手9勝9敗、香落ち3勝1敗、角落ち1勝。いままで何回も述べてきたが、藤森女流四段はいつも多面指しだった。多面指しは上手にたいへんな負担がかかる。指導対局では本気度50%というところだったろう。
それでいて藤森女流四段は、私との平手戦をキッチリ五分の戦績で終えたのだから、さすがである。事実私はいつも、掌の上で遊ばされている感じだった。優勢と感じた将棋もほとんどなかった気がする。やはり女流棋士は強かった、ということだ。
指導対局のみならず、私の毒舌も笑って受け流してくれた藤森女流四段には、あらためて御礼を申し上げます。