15時12分長崎発の快速シーサイドライナーに乗って、いよいよその喫茶店に向かう。
ここは知る人ぞ知る名店で、マスターの話がとにかくおもしろい。客の100%が、このマスターの話を聞きに来ている。ありがたいのはコーヒー1杯で4時間粘れることで、その割安感もこの店の人気だ。
私が最初に訪れたのはいまから11年前の1999年12月18日(土)で、それから毎年12月は、この喫茶店に行くのが定番になった。この日は11年前と同じ12月18日の土曜日。昨年もそうだが、私がLPSA芝浦サロンを休んでまでこの日に執着したのは、こうした理由があったのだ。
車内はけっこう乗車率が高い。途中駅で女性が乗ってきた。
…あれっ? 熊倉紫野女流初段!? いや違うか…。熊倉女流初段を5歳くらいおねえさんにした感じだ。
彼女は私のナナメ前に座る。読書を始めた。彼女が本を閉じると、表紙が見えた。なんだか盗み見をしているようだが、席のすき間から、見えてしまうのだ。それは
「『話の腰』を上手に折る方法」
という書名だった。
こんな綺麗な女性が、なんて本を読んでるんだ…。
会社の上司に毎日くだらない話を聞かされて、辟易しているのだろうか。それとも同僚にまとわりつかれているのだろうか。
私も船戸陽子女流二段や中倉宏美女流二段に、巧妙に話の腰を折られているのかもしれない。モテる女性は、それはそれで大変なのだ。
私は最寄り駅で下車。すぐにも店に入りたいが、そうはいかない。ここは完全予約制だからだ。
この喫茶店の県道を挟んだ向かいに、別の喫茶店があるので、そこで一休みする。これも毎年の行動だが、喫茶店に入る前に別の喫茶店で時間をつぶすとは、妙な話ではある。
予約の午後5時に入店。あとからぞくぞくと客が訪れ、定員31人の満員になった。ここは正確には軽食喫茶なので、私はビーフハヤシライスを注文する。この店に入るのはこれで12度目になるが、不思議と毎年違うメニューを注文している。
…とこのあたりまで読んで、私のもったいぶった書き方にもどかしさを感じた読者もいるだろう。実はマスターが、この喫茶店のことをあまり知られたくないようなのだ。来たい人だけ来てくださればいい、というスタンスなのだと思う。だから私もこんな表現しかできないのである。
興味のある方は、ここまでの文章をヒントにネットで調べれば、店を特定できるはずだ。ただし店名が分かっても、このコメント欄への投稿は遠慮していただく。
ちなみにこの喫茶店は、羽生善治名人・王座・棋聖もご存知だと推察する。ただし訪れたことはないはずだ。
中井広恵女流六段はご存知である。なぜなら私が教えたからだ。一度訪れる機会はあったが、行かなかったらしい。まあ本人がどうしても行きたければ、寸暇を割いてでも訪れたはずで、そうしなかったということは、結局そこまでの興味だったということだ。忙しい、というのは理由にならない。
マスターの話に今年も大いに楽しんで、10時20分ごろ、店を出た。喫茶店には5時間以上もいた計算になる。「ジョナサン」も真っ青、という長居であった。
早岐には22時48分に着いた。ビジネス旅館へのチェックインは午後10時としていたが、1時間の遅刻だ。どうもヨミを誤ったが、もちろん遅刻の連絡はしており、快諾を得ていた。
旅館に旅装を解いたあとも、大風呂の入浴時間が夜は11時までだったのに、1時間延長してくれた。立山防空壕前交番のお巡りさんもそうだったが、旅先での親切は肌身に染みる。
(つづく)
ここは知る人ぞ知る名店で、マスターの話がとにかくおもしろい。客の100%が、このマスターの話を聞きに来ている。ありがたいのはコーヒー1杯で4時間粘れることで、その割安感もこの店の人気だ。
私が最初に訪れたのはいまから11年前の1999年12月18日(土)で、それから毎年12月は、この喫茶店に行くのが定番になった。この日は11年前と同じ12月18日の土曜日。昨年もそうだが、私がLPSA芝浦サロンを休んでまでこの日に執着したのは、こうした理由があったのだ。
車内はけっこう乗車率が高い。途中駅で女性が乗ってきた。
…あれっ? 熊倉紫野女流初段!? いや違うか…。熊倉女流初段を5歳くらいおねえさんにした感じだ。
彼女は私のナナメ前に座る。読書を始めた。彼女が本を閉じると、表紙が見えた。なんだか盗み見をしているようだが、席のすき間から、見えてしまうのだ。それは
「『話の腰』を上手に折る方法」
という書名だった。
こんな綺麗な女性が、なんて本を読んでるんだ…。
会社の上司に毎日くだらない話を聞かされて、辟易しているのだろうか。それとも同僚にまとわりつかれているのだろうか。
私も船戸陽子女流二段や中倉宏美女流二段に、巧妙に話の腰を折られているのかもしれない。モテる女性は、それはそれで大変なのだ。
私は最寄り駅で下車。すぐにも店に入りたいが、そうはいかない。ここは完全予約制だからだ。
この喫茶店の県道を挟んだ向かいに、別の喫茶店があるので、そこで一休みする。これも毎年の行動だが、喫茶店に入る前に別の喫茶店で時間をつぶすとは、妙な話ではある。
予約の午後5時に入店。あとからぞくぞくと客が訪れ、定員31人の満員になった。ここは正確には軽食喫茶なので、私はビーフハヤシライスを注文する。この店に入るのはこれで12度目になるが、不思議と毎年違うメニューを注文している。
…とこのあたりまで読んで、私のもったいぶった書き方にもどかしさを感じた読者もいるだろう。実はマスターが、この喫茶店のことをあまり知られたくないようなのだ。来たい人だけ来てくださればいい、というスタンスなのだと思う。だから私もこんな表現しかできないのである。
興味のある方は、ここまでの文章をヒントにネットで調べれば、店を特定できるはずだ。ただし店名が分かっても、このコメント欄への投稿は遠慮していただく。
ちなみにこの喫茶店は、羽生善治名人・王座・棋聖もご存知だと推察する。ただし訪れたことはないはずだ。
中井広恵女流六段はご存知である。なぜなら私が教えたからだ。一度訪れる機会はあったが、行かなかったらしい。まあ本人がどうしても行きたければ、寸暇を割いてでも訪れたはずで、そうしなかったということは、結局そこまでの興味だったということだ。忙しい、というのは理由にならない。
マスターの話に今年も大いに楽しんで、10時20分ごろ、店を出た。喫茶店には5時間以上もいた計算になる。「ジョナサン」も真っ青、という長居であった。
早岐には22時48分に着いた。ビジネス旅館へのチェックインは午後10時としていたが、1時間の遅刻だ。どうもヨミを誤ったが、もちろん遅刻の連絡はしており、快諾を得ていた。
旅館に旅装を解いたあとも、大風呂の入浴時間が夜は11時までだったのに、1時間延長してくれた。立山防空壕前交番のお巡りさんもそうだったが、旅先での親切は肌身に染みる。
(つづく)