横では、先ほど「出勤」したＷ氏が、上野裕和五段に指導を受け始めた。これは珍しい。Ｗ氏、ふだんは指し将棋をイヤがっているが、本当は将棋が好きなんじゃないのか？ と訝しく思いつつ、私は上野五段に結婚のお祝いを述べた。
感想戦も終わって、私は大野八一雄七段に指導を受ける。大野七段には先日、10秒将棋・六枚落ちの指導を受け、完敗した。その夜は眠りについたものの明け方４時半に目が覚め、結局朝まで眠れなかった。そのくらいショックだったということだ。
大野七段も私と平手で指そうとするが、角落ちでお願いする。本当は二枚落ちでお願いしたいくらいなのに。
相居飛車。大野七段が早めに△６二飛と回ったので私は▲６七銀だが、あとの囲いがあまり固くならず、よくなかった。
私は２筋と３筋の歩を切り、角を５九に引く。大野七段は△２四歩～△２三銀。上手にこう組まれると、攻略法が分からない。
▲３六銀と上がろうか、と迷っていたところで３時休憩。今回は11手詰の詰将棋が４題出題された。
しばらくウンウン唸っていると、大野七段が
「どう、解けました？」
「はあ、左の２つは解けたんですけど、右の２つが…。とくにこれが全然解けないんですよねえ」
「ほおお…あれ？ これは詰まないねえ」
「ええ？？ 筋は▲１三角なんですが」
「あ、これは詰まないよ。駒の配置が違ってる」
「……」
大野先生、それはないだろう。まあしかし、詰まない詰将棋を考えるのも、ヨミの訓練になる。
再開後、私は▲８八玉と指す。しかしこれは６九に割り打ちを残し、玉頭への当たりも強くなり、一手の価値がなかった。私は右金を６八～７七と移動し戦機を窺うが、金銀が逆になって、このあたりはイヤ気がさしていた。
数手進んで、上手陣は△５四歩、６四銀、６五桂、７四金、７五歩、８二飛。下手陣は▲４七銀、５九飛、６六金、６七銀、７七歩、７八金、８七歩、８八玉…。ここで私は形とばかり▲５六銀右と上がったが、これが悪手。
上手に△８六歩▲同歩△５七桂成と指され、シビれた。▲５七同飛は△６五歩。ほかに△８六飛の十字飛車もあり、収拾がつかない。
午後４時すぎ、ここで植山悦行七段が見える。それに促されたわけではないが、私はここで投了した。
感想戦。▲７七金右以下私の指し手はグズグズしていたのだが、「大沢さんのことだから、ここでは▲７五歩△同銀▲７六銀とぶつけてくるのかと思いましたよ」と大野七段は言った。これなら金銀の逆形も関係なくなり、以下も下手のおもしろい戦いとなる。一歩を損するが、ここまでくれば持ち駒に一歩あるだけで十分だという。
それより、私の▲６八金右～▲７七金右が問題だったようだ。ここは▲６八角～▲３六銀～▲４五歩△同歩▲２五歩△同歩▲２四歩△１二銀▲１五歩で下手優勢とのこと。大野七段は私がそうくると覚悟していたが、玉を固めだしたので意外に思ったという。
私は銀冠の攻略がどうも分からないのだ。なるほどこう指すものか。勉強になった。
私は植山七段に指導を仰ぐ。植山七段は先月から蕨駅前で、隔週金曜日に将棋教室を開いているが、きょうはそのブログ開設のために、Ｗ氏に教えを請いにきたらしい。将棋を教えに来たわけではないのだ。しかしそうと分かったのはのちの食事会での話。植山七段には迷惑を掛けてしまった。
私は居飛車。植山七段は飛車先の歩を保留し、△６二飛。６筋の歩を切って△６四銀～△７五歩。私は▲６五歩と強く応じ、以下植山七段の攻め、私の受け、という形になった。
私は間隙をぬって反撃。これが上手の急所を衝いたのか、植山七段の闘志が感じられなくなった。では最終盤の局面を記す。
上手（角落ち）・植山七段：１一香、１三歩、２一桂、２二玉、３一銀、３二銀、３三歩、４二金、４三歩、５六歩、６一飛、７三桂、８四歩、９一香、９三歩 持駒：銀、歩２
下手・一公：１七歩、１九香、２四歩、２九桂、３六歩、４七歩、５四飛、５八金、６七歩、６八銀、６九玉、７五歩、７八金、８七歩、８八角、８九桂、９七歩、９九香 持駒：金、歩２
▲２二歩△同玉▲２四歩（と銀頭を叩く）△３二銀まで。ここからあと３手で終了する。
（つづく）
感想戦も終わって、私は大野八一雄七段に指導を受ける。大野七段には先日、10秒将棋・六枚落ちの指導を受け、完敗した。その夜は眠りについたものの明け方４時半に目が覚め、結局朝まで眠れなかった。そのくらいショックだったということだ。
大野七段も私と平手で指そうとするが、角落ちでお願いする。本当は二枚落ちでお願いしたいくらいなのに。
相居飛車。大野七段が早めに△６二飛と回ったので私は▲６七銀だが、あとの囲いがあまり固くならず、よくなかった。
私は２筋と３筋の歩を切り、角を５九に引く。大野七段は△２四歩～△２三銀。上手にこう組まれると、攻略法が分からない。
▲３六銀と上がろうか、と迷っていたところで３時休憩。今回は11手詰の詰将棋が４題出題された。
しばらくウンウン唸っていると、大野七段が
「どう、解けました？」
「はあ、左の２つは解けたんですけど、右の２つが…。とくにこれが全然解けないんですよねえ」
「ほおお…あれ？ これは詰まないねえ」
「ええ？？ 筋は▲１三角なんですが」
「あ、これは詰まないよ。駒の配置が違ってる」
「……」
大野先生、それはないだろう。まあしかし、詰まない詰将棋を考えるのも、ヨミの訓練になる。
再開後、私は▲８八玉と指す。しかしこれは６九に割り打ちを残し、玉頭への当たりも強くなり、一手の価値がなかった。私は右金を６八～７七と移動し戦機を窺うが、金銀が逆になって、このあたりはイヤ気がさしていた。
数手進んで、上手陣は△５四歩、６四銀、６五桂、７四金、７五歩、８二飛。下手陣は▲４七銀、５九飛、６六金、６七銀、７七歩、７八金、８七歩、８八玉…。ここで私は形とばかり▲５六銀右と上がったが、これが悪手。
上手に△８六歩▲同歩△５七桂成と指され、シビれた。▲５七同飛は△６五歩。ほかに△８六飛の十字飛車もあり、収拾がつかない。
午後４時すぎ、ここで植山悦行七段が見える。それに促されたわけではないが、私はここで投了した。
感想戦。▲７七金右以下私の指し手はグズグズしていたのだが、「大沢さんのことだから、ここでは▲７五歩△同銀▲７六銀とぶつけてくるのかと思いましたよ」と大野七段は言った。これなら金銀の逆形も関係なくなり、以下も下手のおもしろい戦いとなる。一歩を損するが、ここまでくれば持ち駒に一歩あるだけで十分だという。
それより、私の▲６八金右～▲７七金右が問題だったようだ。ここは▲６八角～▲３六銀～▲４五歩△同歩▲２五歩△同歩▲２四歩△１二銀▲１五歩で下手優勢とのこと。大野七段は私がそうくると覚悟していたが、玉を固めだしたので意外に思ったという。
私は銀冠の攻略がどうも分からないのだ。なるほどこう指すものか。勉強になった。
私は植山七段に指導を仰ぐ。植山七段は先月から蕨駅前で、隔週金曜日に将棋教室を開いているが、きょうはそのブログ開設のために、Ｗ氏に教えを請いにきたらしい。将棋を教えに来たわけではないのだ。しかしそうと分かったのはのちの食事会での話。植山七段には迷惑を掛けてしまった。
私は居飛車。植山七段は飛車先の歩を保留し、△６二飛。６筋の歩を切って△６四銀～△７五歩。私は▲６五歩と強く応じ、以下植山七段の攻め、私の受け、という形になった。
私は間隙をぬって反撃。これが上手の急所を衝いたのか、植山七段の闘志が感じられなくなった。では最終盤の局面を記す。
上手（角落ち）・植山七段：１一香、１三歩、２一桂、２二玉、３一銀、３二銀、３三歩、４二金、４三歩、５六歩、６一飛、７三桂、８四歩、９一香、９三歩 持駒：銀、歩２
下手・一公：１七歩、１九香、２四歩、２九桂、３六歩、４七歩、５四飛、５八金、６七歩、６八銀、６九玉、７五歩、７八金、８七歩、８八角、８九桂、９七歩、９九香 持駒：金、歩２
▲２二歩△同玉▲２四歩（と銀頭を叩く）△３二銀まで。ここからあと３手で終了する。
（つづく）
