一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

米長邦雄会長、逝去

2012-12-18 20:25:25 | 男性棋士
きょう午前7時18分、米長邦雄会長(永世棋聖)が亡くなった。享年69歳。
私のような一将棋ファンにとって、米長会長は雲の上のような存在で、目にしたことは4回しかいない。そのうちの1回は2009年3月、マイナビ女子オープン挑戦者決定戦の控室においてで、そのときの模様は当ブログの9月11日に書いた。
いま一度は今年9月21日の「将棋ペンクラブ大賞贈呈式」においてで、このとき米長会長は体調がおもわしくなかったが、すでに死期を悟ったその眼には、異様な迫力があった。
このときの抽選会で、私は米長会長の直筆色紙を得た。落款はないものの、「無心」としたためられたその色紙は、今となっては貴重な品となった。
米長会長、生涯の名局はどれか。私は、昭和54年10月に指された第20期王位戦七番勝負第7局、中原誠王位との一局を挙げたい。これは、その半月前に指された千日手局の指し直し局である。では以下に、その棋譜を掲げよう。

第20棋王位戦七番勝負第7局・千日手指し直し局(持ち時間・9時間)
昭和54年10月12日・13日
東京都港区虎ノ門「福田家」
先手:棋王 米長邦雄
後手:王位 中原 誠

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△4二銀▲4八銀△3二金▲7八金△5四歩▲6九玉△4一玉▲5八金△5二金▲5六歩△3三銀▲3六歩△3一角
▲7九角△4四歩▲6六歩△7四歩▲1六歩△9四歩▲1五歩△8五歩▲1七香△4三金右▲1八飛△6四歩▲3七桂△2二銀▲6七金右△9五歩▲6八角△6三銀▲7九玉△7三桂
▲8八玉△8一飛▲9八香△5三角▲2五桂△4五歩▲3七銀△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△2四歩▲6五銀△6四歩▲5四銀△同銀▲2四角△6五歩▲7七金寄△7五歩
▲同歩△4四角▲5五桂△2三銀▲7九角△5五銀▲同歩△同角▲5八飛△5一飛▲5五飛△同飛▲6三角△3一玉▲7四角成△5九飛成▲6八角△2九竜▲6五馬△1九飛
▲5九歩△1七飛成▲2四銀△2二香▲2三銀成△同香▲5四銀△4二金引▲4八銀△1八竜入▲5七角△5八歩▲7四歩△5九歩成▲7五角△4八竜▲6七金寄△9九銀▲7七玉△7八竜
▲同玉△7六歩▲6一飛△4一桂▲6八金△5八銀▲7六馬△3八竜▲5三銀成△6九銀▲7七玉△4七竜▲6七金△8八銀不成▲6六玉△4六竜▲6五玉△5五金▲6四玉△5三金
▲7三玉△6四歩▲9一飛成△7八銀不成▲4四香△同金▲6四角△4二銀▲3二馬△同玉▲5二金
まで、131手で米長棋王の勝ち。

96手目、中原王位が△4八竜と銀を取る。これに米長棋王が取れる竜を取らず、▲6七金寄と玉の逃げ道を開けた手が、渾身の一手。これで流れが変わり、米長棋王が制勝。熱闘8局の末、中原十六世名人からタイトル初奪取となった。

米長会長はかねてから、70歳が人生のピーク、を標榜していた。それゆえ古希を目前にしての入寂は無念だったに違いない。しかし大山康晴十五世名人の69歳4か月より2か月長生きしたことは、せめてもの慰みだったろう。
将棋界の一時代を築いた風雲児・米長邦雄元名人に合掌。
コメント (2)
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そうだ、長崎に行こう・1

2012-12-18 00:14:20 | 旅行記・九州編
話が前後するが、きょう(15日)の宿泊先をどこにするか迷った。川棚でマジックショーを楽しんだあと、長崎市に戻るか、佐世保方面に出るか。長崎市に戻れば、稲佐山の夜景を楽しんだり、昨年訪れた伊王島の先にある高島に赴いたりと、観光候補がいくらでも出てくる。
しかしマニアックになるが、陽のあるうちに大村線を引き返す感じが気に食わない。「旅は一筆書き」が理想である。気合からいっても、ここは川棚から先に進みたいところだ。午前8時、私はスマホを使って、佐世保のビジネスホテルに予約を入れたのだった。
諫早第一ホテルは9時過ぎにチェックアウトした。空は雨模様だが、降ってはいない。今日は観光がメインではないから、これで十分である。
私はきのうのSEIYUに再び寄る。サケのおにぎりと「午後の紅茶MILK-TEA」(500ml)を買う。これでも166円であった。
9時33分、大村線の快速シーサイドライナーに乗る。2人掛けのクロスシートは、1人以上乗客が座っていた。大村線はローカル線だが、沿線にハウステンボスや中規模都市が複数あるので、乗車率はよい。
デッキに立ち、スマホを見て時間をつぶす。これがあるとすぐ見てしまうが、この光線が目に悪い。これからの日本人は、乱視が増えると断言する。
10時10分、川棚着。1年振りで、なつかしい。あんでるせんは11時の予約なので早く着きすぎだが、この1本後は11時11分着である。店内での最初の2時間は飲食の時間だから店も遅刻には寛容だが、遅刻は私のポリシーが許さない。
さておととしまでだったら、あんでるせんの向かいにある「ゆめうさぎ」という喫茶店で時間を潰すのが慣例だったが、「ゆめうさぎ」は昨年、駅前の古民家に移転し、規模を縮小してしまった。しかも外から店内が望めないので、何となく入りづらい。今年はパスして、駅近くのスーパーにて缶コーヒーを調達。それをあんでるせんの横にある、川棚バスターミナルの待合室で飲んだ。これはこれでオツである。どうにも貧乏臭いが、おかげで50円の出費で済んだ。
もう11時にならんとしているが、きょうの予約は何人だろう。当然31人の満員を覚悟しなければならないが、周りにそれらしき若者はおらず、その雰囲気は感じられない。
あんでるせんのシャッターが開いたようだ。驚いたのは、待合室にいた年配の男女グループも、あんでるせんの客だったことだ。私たちはそそくさと2階に上がり、入店する。あんでるせんはカップルの来店率が異常に高いが、きょうは珍しいことに、ひとり旅の女性が2組あった。
店内は私も含め、11人。9日にあんでるせんから電話があったとき、マスターは「不幸があった」と言った。たしかにそう言ったと思う。それで夕方のグループを昼のグループに捩じ込んだのだが、それなら当然満員でなければならない。しかしそれにしては、ずいぶん少人数である。
あれ、逆か? まさか夕方の予約客があまりいなくて、昼の部と一緒にしたんじゃあるまいな。いやいや、私が初めてあんでるせんにお邪魔した1999年12月18日夜の部は、客は私も含め3人だった。少人数だからといって、ショーを削減するマスターではない。
ビーフカレーとブレンドコーヒーを頼む。あんでるせんにお邪魔するのは14年連続14回目になるが、毎回違うメニュー(組み合わせ)を頼んでいる気がする。しかしまだ、全メニューは制覇していない。
向かいに中井広恵女流六段がいたらなあと思う。仮に彼女から同行のOKが出たとしたら、たぶんきょう(15日)午前の飛行機で長崎に到着し、午後は長崎市内を観光、そして午後5時に川棚に来るコースを組んだと思う。
とすれば、夕方のマジックショーが中止になったことで、飛行機の便を限定していたであろう私たちは、ショーを見られなくなった可能性が極めて高かった。
結局中井女流六段は、あんでるせんに来る運命になかったのだ。
旅行でもイベントでも、その日その時間を「待つ」のは楽しいものだ。いまだって、これからマスターのマジックを堪能できると思えば、ふつうなら夢心地である。しかし今年の私はあまりにも悩み事が多すぎて、心ここにあらずだ。
「2012年・私の将棋10ニュース」と「2012年・(全般)10大ニュース」を考える。「将棋」は楽しい話が多かったが、年賀状にしたためる「全般」は、暗い話が多かった。
1時間あまり経って、ビーフカレーが運ばれてきた。ウエイトレスさんは奥さんであろう。一口食べるが、ご飯が妙にゆるい。マスター、ちょっと水を入れ過ぎたんじゃないの? と言いたいところだが、ここはマジックショーがメインなので、我慢する。
食後にコーヒーが運ばれてきた。これも味と香りが薄い気がするが、構わない。
表は雨が降っている。ついに泣き出したか…という感じだが、きょうの雨は、まあ許す。
さらにしばらく経って、先にお会計となった。1,313円。東京なら、意外にももう少し安いと思うが、これから2時間あまりマジックショーを楽しめるのだから、激安といえる。
ついにマジックショーが始まるようだ。客は結果的に、17人になった。みながカウンターの前に陣取って、午後1時33分、マスターが登場した。丹波義隆みたいな顔立ちだ。
ではここで、席の配置を記しておこう。

  マスター
―――――――――
女 男 男 女 女 男
私 女 男 女 女 女
男 女 女 女 女

最前列は着席。それぞれ夫婦だが、齢60代から70代だった。私の右2人はカップル。その右の女性はひとり旅だ。最後列は椅子の上に立っている。左のふたりはカップル。とはいえ全体的に、平均年齢は高かった。
私の整理番号は12。整理番号は原則的に、最前列の右から、1、2…と割り振られる。もちろんこの順番は決まっていて、予約順である。中でも整理番号3の女性は重責で、みなに割り振られたカードを代表で引く。これに当たれば、マスターのマジックの相手ができるわけだ。
マスターがまず、客から指環を所望する。3の女性が指環を出した。と、マスターが右の掌に指環を載せ、「10度…」と言うと、指環がククッと浮いた。「20度…」と言うと、さらに浮く。この角度がそれぞれ10度と20度なのはいうまでもない。
それからマスターが客から千円札を所望して…と、いちいちマスターのマジックを述べていたらキリがないので、先を急ぐ。
この途中、5のお父さんが居眠りをして、マスターに起こされた。団体で来る客にはこういう手合いがある。マジックには興味がないのに、付き合いで来る客だ。これはショーの雰囲気を壊す。
団体といえば、きょうは15人の団体客のキャンセルがあって、この人数になったという。私以外にも夕方からの繰り替えはあったろうが、とりあえず私を除けば、満員の31人になっていた計算だ。
あんでるせんは芸能界でも有名である。藤岡弘、の7回来店は有名なところだが、きのう(14日)は観月ありさが来たらしい。壁にインスタント写真が貼られてある。もうだいぶ昔、私は12月の第2金曜日に訪れたことはあるが、ここ数年は、12月の第3土曜の体験が定番となっている。しょせん観月ありさには会えない運命だったのだ。
余談ながら9月14日には、柔道の松本薫も訪れていた。「金」曜日の来店というのがシャレている。
マジックの合間にマスターが、あなたは将来結婚します、と8や9の女性に言う。私も数年前、「これからカードを引かれる人は結婚します」と言って、私の番号が引かれたことがあった。あの予言?は、現在も継続中なのだろうか。
3の女性がカードを引く。「12」。私が当たった。
(つづく)
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