一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

そうだ、長崎に行こう・2

2012-12-19 12:41:24 | 旅行記・九州編
マスターはプラスチックの筒の中にサイコロを放り投げていた。それを布の上にかぶせ、私に丁半を聞く。丁は偶数、半は奇数である。私は「5」と見たので、「半」と答える。すると、「ハンだ」と答えてください、とマスター。
「半だ」
と私。マスターが筒を開けると、サイコロが判子に変わっており、その名字がごていねいに「半田」になっていた。
えっ、これ……? いや、これはこれでお見事だが、せっかく当たったのに、これで私の回は終わり…? ええーっ、オレも「好きな人当て」とか、面白いものやりたかったよー。
この後も、数々のマジックが繰り広げられる。9の女性が当たり、マスターは彼女が慕っている男性の名前を、ピタリと当てた。しかも彼女は、将来結婚する、と告げられた。彼女は川棚まで来た甲斐があったというものだろう。
ちなみに先ほど私が当たったときは、何も言われなかった。数年前の「予言」から、結婚のオーラが変わってしまったのだろうか。
10の男性が当たる。今度は彼の生年月日を、ほかの客数人が当てるというマジックだ。カウンターの6人が電卓を繰り、ピタリと当てた。これは私も過去2回、生年月日を当てられたことがあるが、本当に不思議である。
10の彼は氏名や「悩み」まで当てられ、目を白黒させていた。これなど、タネも仕掛けもあったものではない。マスターが彼の脳内に忍び込んでいるとしか思えない。
この後もマジックは続く。しかし私の整理券はもうワキにのけられているから、当てられることはない。ちょっとさびしい。
マスターがコインを所望する。私は壱万円札から5円玉まで、二千円札を除く全種類をポケットに忍ばせている。だからすぐに出せるのだが、マジックに使われるコインは後の記念になるので、初見の人に出させるようにしている。
しかし50円玉がなかなか出なかったので、私が投じる。マスターに言わせると、こういうときは黙って見ているより、コインを出そうと積極的に行動を起こす姿勢が大事なのだという。
500円玉は、マスターが「かじって」、半分なくなった。復活した500円玉に紙をかぶせ、その上から爪楊枝を貫通させた。相変わらず見事だ。
私の50円玉には輪ゴムを3本「通し」、さらに千円札の中に50円玉を「泳がせ」た。
10円玉は大きくなったり小さくなったり。私はもう何回も見ているから余裕があるが、初見の客は口をあんぐりさせるばかりだ。
私の右にいる女性が先ほどからソワソワしている。長時間立ちっぱなしで、脚がくたびれたようだ。私は何時間立っていても大丈夫だが、女性にはキツイかもしれない。
これはマジックショーだが、ただ愉しむだけなら、客は何も長崎まで来ない。マジックの合間に説かれる「講話」が私たちの心を打つのだ。昨年も当ブログに書いたが、それをいま一度書いてみよう。

1.過去は生ゴミである。つねに前を見つめること。
2.人は過去には戻れないが、10年先の自分を想像すれば、現在の自分は10年間逆戻りしていることになる。そう思えば、10年先の自分のために、自分がいま何をするべきか、自ずと見えてくる。
3.人のやっていることは誰も大して変わらない。だから別に努力しなくても、生きてはゆける。しかし人よりちょっと努力すれば、別の世界が見えてくるのも事実である。どちらを選ぶもあなた次第。
4.付き合っていた人との別れ、離婚などを「無駄な時間だった」と嘆いてはいけない。それまでの付き合いで、学んだことも多かったはずだから。
5.同じことを繰り返し続けることは大事。何でも3か月間は続けてみる。
6.くよくよして人の後ろを歩いていると、前を歩く人の埃ばかりを浴びることになる。顔を上げて歩むべし。
7.いつも笑うことを心掛ける。笑顔で深刻なことを考える人はいない。
8.願望は口にしない。完了形を口にする。例えば、「幸せになりたい」ではなく、「もう幸せである」と思うようにする。

総計50以上のマジックが飛び出て、午後3時52分、終了した。ここ数年は、ショーの最後に、くねくねに曲げられたスプーンを買うのが私の定跡になっている。ほかの客も、記念に1本買っていくようだ。
その際はみな、マスターに頭を差し出して、「気」を入れてもらっている。いや、邪気を抜いてもらっているのか。ようやく私の番が回ってきて、ますはマスターと握手。そのあと、先ほど投じた50円玉をいただき、脳天に「気」を入れてもらった。スプーンには私の名前を書いてもらった。
スプーンはひとり何本購入してもいいので、中井広恵女流六段のぶんも買う。マスターがぐにゅぐにゅのフォークを選んでくれた。こちらには「Hiroe」と書いてもらった。ただ、これを中井女流六段に渡す機会がないのだった。
さあ、私にとって来年は正念場である。来年も元気に、この地に訪れることができるだろうか。私は複雑な気持ちで、あんでるせんを後にした。
(21日につづく)
コメント (6)
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