5月19日~25日の当ブログ訪問者数が出たが、5,530(IP)もあった。その前の週が3,719だったから、約5割増しになった計算だ。「桐谷効果」だけではあるまいが、ちょっと恐い。当ブログは、知っている人は知っている、ぐらいの存在感がちょうどいい。
(きのうのつづき)
再び家を出た私は、山手線と総武線(正式名称は「中央総武緩行線」)を乗り継ぎ、午前10時45分、東京「将棋会館」に入った。
4階に上がり受付に入ると、鈴木環那女流二段の姿が飛び込んできた。受付の並びで、湯川博士幹事と談笑していたのだ。指導対局を行っているものと思っていたから、私はビックリである。
「きょうは遅かったですね」
と幹事のA氏がいうので、
「いや、これを取りにいったん家に戻っててさ」
と言って、私はビニール袋から、2010年5月号の「NHK将棋講座」を取りだした。
当時「将棋講座」は棋士の上半身を表紙にしていて、この号は鈴木女流二段が表紙を飾っていたのだ。
私は恐る恐る鈴木女流二段にサインを所望すると、鈴木女流二段は
「わあ…。(このころの私は)若いですね」
といった。サインを書くのを了承しますよ、の意味である。
先日の「世田谷花みず木将棋オープン戦」のときもそうだったが、鈴木女流二段は凄まじいまでの美しさだ。まだ25歳のはずだが、全身からにじみ出る色香が、男性ファンを惑わせる。
「いえいえ、いまも(当時と)全然変わってませんよ」
と私は本音で返す。
私は揮毫を書く位置を細かく指示すると、鈴木女流二段は「“夢”女流二段 鈴木環那」と書いてくれた。将棋雑誌の表紙にサインをいただくのは、藤田綾女流初段、林葉直子さんに続いて3件目。私の隠れたコレクションになりつつある。
「サイン代は高いよ」と周りははやすが、無視する。これで交流会に来た目的は達成したようなものだが、さすがに帰るわけにはいかない。続けて将棋を指す。
1局目はミスター中飛車氏と。中飛車氏とはLPSA芝浦サロンで指して以来だから、かなり久しぶりだ。
中飛車氏の中飛車に、私は▲5七銀右~▲3八飛。さらに▲5五歩~▲4五歩の加藤一二三流を採った。
大広間の奥では、櫛田陽一六段が指導対局を行っていた。櫛田六段にお目にかかるのは、LPSAが田町に移転する前だから、2010年9月以来ということになる。
鈴木女流二段は午後からの親睦会があるので、ここで退席。2日前に当ブログで「鈴木女流二段の指導対局がある」と書いたが、ウソになってしまった。読者の皆様には、お詫び申し上げます。しかし鈴木女流二段は、本当に綺麗だった。
局面。中盤は私が指し易いかと思ったが、玉形の弱い居飛車陣はやはり苦労する。中飛車氏に馬を作られ、けっこう形勢が接近していた。
中飛車氏△7五桂。次に△8七馬があるから、私は▲8八銀。これしかない受けなのだが、こんな壁銀を打つようではダメである。この局面になる前に、何か工夫をしなければならなかった。
そして迎えた終盤が以下である。
先手・一公:1一と、1六歩、1九香、2一竜、3五歩、6八歩、7六歩、7七玉、8六歩、8七銀、9六歩、9九香 持駒:角2、金2、銀、桂、香、歩3
後手・ミスター中飛車:1四歩、3三歩、5六成銀、6三銀、6五飛、7二金、7五歩、7九成桂、8二玉、8三歩、9一香、9四歩 持駒:金、桂2、歩3
(▲7七同玉まで)
以下の指し手。△6六成銀▲8八玉△7七金▲7九玉△8七金▲7一角△7三玉▲8二銀△7四玉▲8五金△6四玉▲2四竜△5四桂▲4六角△5五歩▲7四金打△同銀▲同金△同玉▲5四竜△6四飛▲8五銀 まで、一公の勝ち。
駒が異様に入り組んでおり、むずかしい局面。▲7一角に中飛車氏は△7三玉だが、△7一同金▲7三銀△同玉▲7一竜△6四玉▲7三角△5四玉…と王手は続くものの、これでギリギリ詰まないと思った。
本譜△6四玉に▲2四竜は後手に一枚使わそうの意だが、△5四桂が敗着となった。▲4六角で綺麗に詰んでしまったからだ。戻って▲2四竜には、△3四桂合があった。のちに後手玉を上部に追い上げたとき、▲2六竜と引けない。
してみると、▲2四竜では予定どおり▲5三角打とすべきだった。ただこれでも、後手玉がギリギリ残していそうな気がする。これはおもしろい研究材料と思う。
それにしても1局目から疲れる将棋。これはきょう一日、大変だと思った。
軽食のおにぎりを1コ頬張る。2局目はM幹事と。M幹事とは将棋ペンクラブ会合の酒の席で、1局だけ指したことがある。先月の矢内理絵子女流四段との指導対局では力強い指し回しを見せており、手強い相手だと思った。
将棋はM幹事の石田流。私は例によって▲6五歩~▲5六銀左で受ける。M幹事は△4五歩から猛攻を仕掛けて来た。銀交換のあと▲4六歩。M幹事は勢い、△3七桂成。以前私がHanaちゃんと指した将棋にそっくりだ。私の▲同金にM幹事、なおもHanaちゃんと同じく△3六銀。私も予定の▲3八金(引)。当時指した手だから、私も指し手は早い。△4七銀成▲同金△3六歩。
この局面が下である。
先手・一公:1六歩、1九香、2五歩、2八飛、2九桂、4六歩、4七金、5七歩、6五歩、6六角、6八金、7六歩、7八玉、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:銀2、桂
後手・M:1二香、1三角、1四歩、2三歩、3四飛、3六歩、5二金、5三歩、6一金、6三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二玉、8三歩、9一香、9四歩 持駒:銀、歩2
ここで私は文字通りノータイムで▲4九桂と打ったが、大悪手。M幹事に△4五歩と合わされ、事の重大さに気が付いた。
▲4五同歩に△4六歩が痛い。▲4八金は△3九銀で先手勝てないので、▲3五歩と打ったが、△同角▲3六金に△4七歩成とされ、▲3五金△同飛で飛車成りが受けづらく、ここで大勢決した。
先手は桂を手放したのが大きく、▲5五角の切り札(▲7四桂)が出せない。
いつもの私ならこれで投了というところだが、途中まで同じ将棋で勝ちを収めているだけに、納得できない。私は負け将棋を延々と指し続け、最後は無残な形での投了となった。
感想戦。本譜△3六銀には▲3八銀打と指されたことがある、とM幹事の言だったが、それは千日手模様ではっきりしない。やはり▲3八金のかわしの手筋でいいと思う。
続けて△4七銀成▲同金△3六歩の局面で、M幹事が▲4九桂の代わりに▲4五銀を提案した。▲4五銀!! Hanaちゃんと対局したとき、私が指した手ではないか!! 自分が指した手を忘れるなんて、何をやってるんだ何を!!
検討は以下△3七銀▲5八飛△4六銀成▲同金△同角▲3四銀△1九角成となったが、これは後手の攻めが切れていると思う。
「大沢さんはそれ(鈴木女流二段のサイン)をもらったから(心ここにあらずだったでしょう)…」
とM幹事の言。私は何もいえなかった。
改めて室内を見渡すが、人の入りは五分程度。昨年より2~3割少なそうだ。
さて、どんどん指す。次の相手は三段だったが、対局カードを見ると、3連勝になっている。振り駒で、私の後手。また対石田流となった。ただし早めに▲2二角成とされ、得意の陣形に組めないのは痛かった。
虚々実々の駆け引きを経て、終盤戦。一手足りないと思ったが、どこかで逆転して、最後は私(後手)の勝ちになったようだ。下に部分局面を記すが、ここで後手の次の一手は。
(部分局面)
先手:1五歩、1九香、2七玉、2九桂、3七歩、4二と、4七歩、4九金、5二成銀、5八歩、5九桂、6七歩、7五角 持駒:銀…
後手・一公:1一香、1三歩、2二玉、2四歩、3二金、3三桂、3四歩、4五飛、5五角、7六歩、7八竜 持駒:金、銀2、歩2
(後手番)
(29日につづく)
(きのうのつづき)
再び家を出た私は、山手線と総武線(正式名称は「中央総武緩行線」)を乗り継ぎ、午前10時45分、東京「将棋会館」に入った。
4階に上がり受付に入ると、鈴木環那女流二段の姿が飛び込んできた。受付の並びで、湯川博士幹事と談笑していたのだ。指導対局を行っているものと思っていたから、私はビックリである。
「きょうは遅かったですね」
と幹事のA氏がいうので、
「いや、これを取りにいったん家に戻っててさ」
と言って、私はビニール袋から、2010年5月号の「NHK将棋講座」を取りだした。
当時「将棋講座」は棋士の上半身を表紙にしていて、この号は鈴木女流二段が表紙を飾っていたのだ。
私は恐る恐る鈴木女流二段にサインを所望すると、鈴木女流二段は
「わあ…。(このころの私は)若いですね」
といった。サインを書くのを了承しますよ、の意味である。
先日の「世田谷花みず木将棋オープン戦」のときもそうだったが、鈴木女流二段は凄まじいまでの美しさだ。まだ25歳のはずだが、全身からにじみ出る色香が、男性ファンを惑わせる。
「いえいえ、いまも(当時と)全然変わってませんよ」
と私は本音で返す。
私は揮毫を書く位置を細かく指示すると、鈴木女流二段は「“夢”女流二段 鈴木環那」と書いてくれた。将棋雑誌の表紙にサインをいただくのは、藤田綾女流初段、林葉直子さんに続いて3件目。私の隠れたコレクションになりつつある。
「サイン代は高いよ」と周りははやすが、無視する。これで交流会に来た目的は達成したようなものだが、さすがに帰るわけにはいかない。続けて将棋を指す。
1局目はミスター中飛車氏と。中飛車氏とはLPSA芝浦サロンで指して以来だから、かなり久しぶりだ。
中飛車氏の中飛車に、私は▲5七銀右~▲3八飛。さらに▲5五歩~▲4五歩の加藤一二三流を採った。
大広間の奥では、櫛田陽一六段が指導対局を行っていた。櫛田六段にお目にかかるのは、LPSAが田町に移転する前だから、2010年9月以来ということになる。
鈴木女流二段は午後からの親睦会があるので、ここで退席。2日前に当ブログで「鈴木女流二段の指導対局がある」と書いたが、ウソになってしまった。読者の皆様には、お詫び申し上げます。しかし鈴木女流二段は、本当に綺麗だった。
局面。中盤は私が指し易いかと思ったが、玉形の弱い居飛車陣はやはり苦労する。中飛車氏に馬を作られ、けっこう形勢が接近していた。
中飛車氏△7五桂。次に△8七馬があるから、私は▲8八銀。これしかない受けなのだが、こんな壁銀を打つようではダメである。この局面になる前に、何か工夫をしなければならなかった。
そして迎えた終盤が以下である。
先手・一公:1一と、1六歩、1九香、2一竜、3五歩、6八歩、7六歩、7七玉、8六歩、8七銀、9六歩、9九香 持駒:角2、金2、銀、桂、香、歩3
後手・ミスター中飛車:1四歩、3三歩、5六成銀、6三銀、6五飛、7二金、7五歩、7九成桂、8二玉、8三歩、9一香、9四歩 持駒:金、桂2、歩3
(▲7七同玉まで)
以下の指し手。△6六成銀▲8八玉△7七金▲7九玉△8七金▲7一角△7三玉▲8二銀△7四玉▲8五金△6四玉▲2四竜△5四桂▲4六角△5五歩▲7四金打△同銀▲同金△同玉▲5四竜△6四飛▲8五銀 まで、一公の勝ち。
駒が異様に入り組んでおり、むずかしい局面。▲7一角に中飛車氏は△7三玉だが、△7一同金▲7三銀△同玉▲7一竜△6四玉▲7三角△5四玉…と王手は続くものの、これでギリギリ詰まないと思った。
本譜△6四玉に▲2四竜は後手に一枚使わそうの意だが、△5四桂が敗着となった。▲4六角で綺麗に詰んでしまったからだ。戻って▲2四竜には、△3四桂合があった。のちに後手玉を上部に追い上げたとき、▲2六竜と引けない。
してみると、▲2四竜では予定どおり▲5三角打とすべきだった。ただこれでも、後手玉がギリギリ残していそうな気がする。これはおもしろい研究材料と思う。
それにしても1局目から疲れる将棋。これはきょう一日、大変だと思った。
軽食のおにぎりを1コ頬張る。2局目はM幹事と。M幹事とは将棋ペンクラブ会合の酒の席で、1局だけ指したことがある。先月の矢内理絵子女流四段との指導対局では力強い指し回しを見せており、手強い相手だと思った。
将棋はM幹事の石田流。私は例によって▲6五歩~▲5六銀左で受ける。M幹事は△4五歩から猛攻を仕掛けて来た。銀交換のあと▲4六歩。M幹事は勢い、△3七桂成。以前私がHanaちゃんと指した将棋にそっくりだ。私の▲同金にM幹事、なおもHanaちゃんと同じく△3六銀。私も予定の▲3八金(引)。当時指した手だから、私も指し手は早い。△4七銀成▲同金△3六歩。
この局面が下である。
先手・一公:1六歩、1九香、2五歩、2八飛、2九桂、4六歩、4七金、5七歩、6五歩、6六角、6八金、7六歩、7八玉、8七歩、8九桂、9六歩、9九香 持駒:銀2、桂
後手・M:1二香、1三角、1四歩、2三歩、3四飛、3六歩、5二金、5三歩、6一金、6三歩、7二銀、7三歩、8一桂、8二玉、8三歩、9一香、9四歩 持駒:銀、歩2
ここで私は文字通りノータイムで▲4九桂と打ったが、大悪手。M幹事に△4五歩と合わされ、事の重大さに気が付いた。
▲4五同歩に△4六歩が痛い。▲4八金は△3九銀で先手勝てないので、▲3五歩と打ったが、△同角▲3六金に△4七歩成とされ、▲3五金△同飛で飛車成りが受けづらく、ここで大勢決した。
先手は桂を手放したのが大きく、▲5五角の切り札(▲7四桂)が出せない。
いつもの私ならこれで投了というところだが、途中まで同じ将棋で勝ちを収めているだけに、納得できない。私は負け将棋を延々と指し続け、最後は無残な形での投了となった。
感想戦。本譜△3六銀には▲3八銀打と指されたことがある、とM幹事の言だったが、それは千日手模様ではっきりしない。やはり▲3八金のかわしの手筋でいいと思う。
続けて△4七銀成▲同金△3六歩の局面で、M幹事が▲4九桂の代わりに▲4五銀を提案した。▲4五銀!! Hanaちゃんと対局したとき、私が指した手ではないか!! 自分が指した手を忘れるなんて、何をやってるんだ何を!!
検討は以下△3七銀▲5八飛△4六銀成▲同金△同角▲3四銀△1九角成となったが、これは後手の攻めが切れていると思う。
「大沢さんはそれ(鈴木女流二段のサイン)をもらったから(心ここにあらずだったでしょう)…」
とM幹事の言。私は何もいえなかった。
改めて室内を見渡すが、人の入りは五分程度。昨年より2~3割少なそうだ。
さて、どんどん指す。次の相手は三段だったが、対局カードを見ると、3連勝になっている。振り駒で、私の後手。また対石田流となった。ただし早めに▲2二角成とされ、得意の陣形に組めないのは痛かった。
虚々実々の駆け引きを経て、終盤戦。一手足りないと思ったが、どこかで逆転して、最後は私(後手)の勝ちになったようだ。下に部分局面を記すが、ここで後手の次の一手は。
(部分局面)
先手:1五歩、1九香、2七玉、2九桂、3七歩、4二と、4七歩、4九金、5二成銀、5八歩、5九桂、6七歩、7五角 持駒:銀…
後手・一公:1一香、1三歩、2二玉、2四歩、3二金、3三桂、3四歩、4五飛、5五角、7六歩、7八竜 持駒:金、銀2、歩2
(後手番)
(29日につづく)