一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流棋士との親睦将棋会2016(3)

2016-03-23 00:13:44 | 将棋イベント

第2図以下の指し手。▲3七銀△3六歩▲同銀△3九飛▲4五銀△1九飛成▲5六銀△5七歩▲同角△7七角成▲同桂△5五歩▲6五銀△5六香▲5九歩△5七香成▲同金△2八竜▲6八香△5六桂
▲5八金引△6八桂成▲同金上△5六香▲6四角(第3図)

私は数年前から植山悦行七段と大野八一雄七段の教室に通っているが、ここで教わったことのひとつに「遊び駒を作らない」がある。
私は第2図で▲3七銀と上がった。このまま敵陣に迫っても2八銀が遊ぶからで、何とか活用したかった。でも、むかしだったら指せたかどうか。
久津知子女流初段は△3六歩と叩いて△3九飛だが、私は手順に▲4五銀~▲5六銀と活用して、やや持ち直したと思った。
ステージではカロリーナ・ステチェンスカ女流3級が話している。来年度の目標を聞かれ、
「女流2級になりたいです」
と答えていた。まあ、そうであろう。最近の高浜愛子女流2級の苦労を見るまでもなく、女流棋士は女流2級にならないと話にならない。
久津女流初段は△5七歩。これに迷いつつ▲同角と取ったが、悪手だった。
ここで△5一香くらいでもイヤだったが、久津女流初段は△7七角成!
要の銀を取られて△5五歩とされ、またこちらが悪くなった。
私はさらに駒損を重ね、△2八竜に▲6八香。泣きたくなるような辛抱だ。
ステージではお楽しみ抽選会が行われているが、私は確かめる余裕がない。△5六香に、受けていてはキリがないので、▲6四角と打った。

第3図以下の指し手。△6三銀打▲7四桂△同銀▲同銀△5八香成▲同歩△3九竜▲7三銀成△同銀▲同角成△同桂▲7四桂△7二玉▲8二飛△6三玉▲6二桂成(第4図)

△6三銀打に▲7四桂△同銀▲同銀。一時は2八にいた銀がここまで活用できたのだから、よしとしよう。本局では劣勢を挽回できなかったが、この指し方が後の将棋で活かされるはずだ。
△5八香成にはいきなり▲7三銀成と殺到したかったが、香1本でも手駒に加えたい。
それで▲5八同歩としたが、久津女流初段は△3九竜。しかしここは△6三金と受けられるのがイヤだった。
私は用意の▲7三銀成。最後のご奉公である。しかし△7三同桂までふつうに応接され、どうにも寄りがない。
▲7四桂には△7一玉でも負けっぽかったが、久津女流初段は△7二玉。私は▲8二飛~▲6二桂成と追ったが、次の手を指されたら投了しようと思った。

第4図以下の指し手。△5四玉▲4五銀△4三玉▲5四銀打△4二玉▲6一成桂△3一玉▲4二金△2一玉▲3二金△同金▲同飛成△同玉▲3三銀(途中図)

△3三同玉▲3四銀△2二玉▲2三歩△3一玉▲3三香△3二桂▲同香成△同玉▲4三銀左成(投了図)
まで、一公の勝ち。

第4図で△5三玉と寄られたら投了するつもりだった。以下▲5二成桂△4四玉で、3五に逃げられるからダメだ。
本譜▲4五銀△4三玉には▲4四香で詰みそうに思ったが、この将棋を私が勝ってはいけないと思った。それで▲5四銀打としたが、ちょっと足りない(もっとも、▲4四香でも△5三玉で上手が勝ちだ)。
しかし▲5一成桂に久津女流初段が△3一玉と引いたので、今度こそ下手が勝ちになってしまった。ここは△4二桂で、下手は本当に投了だった。
私が▲4二金と打つと、久津女流初段はハッとした。金があるの? という表情だが、金はさっき取ったのだ。
以下飛車を切って▲3三銀(途中図)。ここは平凡に▲4三銀打でも詰みだったが、カッコをつけてしまった。
▲4三銀左成まで、久津女流初段が投了。「序盤からボロボロで…」が久津女流初段の投了後第一声だった。

しかしここまでの内容を見ても分かるように、上手が自在に指し回し、終盤まで必勝の態勢だった。最後はもう、指導対局だから緩めてもらったとしかいいようがない。
世間では久津女流初段の評価は低いと思う。しかし今日実際に教えられた感じでは、ほかの女流棋士と全く遜色なく、たいへんな実力者だと思った。やはりプロは強いのだ。

パンフレットを見ると、スタンプ欄があり、ここに実行委員からスタンプを押してもらうと、賞品がもらえるらしい。
今年の実行委員は、長沢千和子女流四段、熊倉紫野女流初段、相川春香女流初段、野田澤彩乃女流1級。順繰りにゲットして、受付で賞品をいただいた。名菓「萩の月」だった。
さてプログラム第2部は、「ぐるぐる将棋」「30秒de二面指し」「次の一手…」である。ここからの司会は山口恵梨子女流初段が務める。
前述の通り、私はステージでの「次の一手…」に参加する。3対3のリレー将棋で、対局者は「先輩チーム 清水市代女流六段、山田久美女流四段、高群佐知子女流三段」と、「後輩チーム 北村桂香女流初段、山根ことみ女流初段、塚田恵梨花女流2級」。
先輩チームのお姉様力がすごく、後輩チームは戦わずして負けている感じだ。百獣の王ライオン対ふるえている仔羊といったところか。
3人混合だと戦型が重要だが、これを観客の多数決で決める。私たちは例の「赤、青、黄」のパンフレットを掲げ、先輩チームの居飛車、後輩チームの振り飛車と決まった。
両チームの得意戦法を考えるに、むしろ逆を持ったらおもしろいとも思ったが、さすがに観客席の判断は冷静だった。
先後とも、5手指して交代。持ち時間は20分、秒読みは一手30秒。記録は和田あき女流初段、記譜読み上げは竹俣紅女流1級。解説は高橋和女流三段、中村真梨花女流三段で、対局が開始された。

第1図までの指し手。
〔 〕内は3人の候補手。◎は採用手。
高群・塚田▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△8八角成▲同銀△2二銀
清水・山根▲7八玉△3三銀▲9六歩△7二玉▲9五歩△8二玉▲8六歩△7二銀〔◎(赤)高橋▲5八金右・(青)中村▲7七桂・(黄)山口恵▲2五歩〕△4四歩
山田・北村▲5六歩△2四歩▲7七桂△2二飛▲8七銀△3五歩(第1図)

塚田女流2級は四間飛車に振り、△8八角成と換える。事前に組んだ作戦か、個人の判断か。
2組目に代わり、清水女流六段は▲8六歩。△7二銀に次の一手の出題となった。
高橋女流三段の候補は▲5八金右、中村女流三段の候補は▲7七桂。では第3候補がその他の手と思いきや、これを山口恵女流初段に聞いた。彼女は▲2五歩。
清水女流六段なら100%▲8七銀と上がる。ところが候補手の中にそれがないが、どういう進行になるのか。
とりあえず観客に予想を聞くと、▲5八金右が最も多かった。何と、指し手側はその手を指さねばならないらしかった。
おもしろい趣向だが、この方法で「次の一手名人」が決まるのだろうか。

第1図以下の指し手。▲4三角△5二角▲6五角成〔◎高橋△3四銀・中村△5一金左・和田△3二金〕(第2図)

△3五歩がやや軽率で、先輩チームは▲4三角と打って、馬を作った。ここでまた、次の一手。△3四銀、△5一金左の候補手に続いて、今度は和田女流初段が挙げる。さんざん迷って、△3二金とした。
観客の最多は、「△3四銀」。私は和田女流初段に乗ったので、ここで間違えた。
…が、ここで私はすべてを理解した。パンフレットを見ると、このコーナーは「みんなで選ぼう次の一手」。よくある「次の一手名人戦」とは似て非なるもので、名人を決めるのではなく、最後までみんなで楽しみましょう、という趣向だったのだ。
(25日につづく)
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