一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

北海道新幹線開業の光と影

2016-03-27 11:10:55 | プライベート
昨日2016年3月26日、北海道新幹線が開業した。1973年の整備新幹線確定から43年、1988年の青函トンネル開業から28年。実に長い道のりだった。まずはおめでとうございます。

北海道新幹線 はやぶさ19号

もう何度も報道されているが、北海道新幹線は、東京―新函館北斗間を最短4時間2分で結ぶ、待望の新路線だ。比較が古いが、かつては青函連絡船だけでも3時間55分かかっていたから、この新幹線がいかに快速か分かるというものだ。
ただし北海道新幹線は函館駅へ直通しないので、リレー列車に乗ることになり、実際はもう少し時間がかかる。最速は4時間29分となる。
ともあれこれで北海道がグンと近くなり、JR東日本もJR北海道も日本国民も万々歳といいたいところだが、そうもいかない事情がある。
言うまでもなく飛行機の存在で、これだけ陸路の利便性が発達しても、やはり北海道へは飛行機が早く着いてしまう。
料金は新幹線のほうが安いがそれは通常料金の話で、飛行機は事前購入割引の特典がふんだんにあるから、実質的には飛行機のほうが安い。
しかも北海道の中心は札幌である。新函館北斗から札幌まで、特急で約3時間20分。これではまったく飛行機に太刀打ちできず、今回の開業があっても、思うほど新幹線には流れないのでは…と危惧する。
さらにローカル線の問題もある。まず今回の開業で、並行在来線の江差線(五稜郭―木古内)が廃止になり、第3セクター「道南いさりび鉄道」に生まれ変わった。
これは昨年の北陸新幹線開業、5年前の九州新幹線全線開業の時と同じ措置である。江差線は北海道の中でもトップクラスの赤字路線で、2014年5月には、木古内―江差42.1kmが部分廃止されている。この区間は2013年に発表されたJR北海道輸送密度のワースト4位だった。今のJRに、並行在来線と新幹線を同時所有する体力はないのだ。
江差線は私も乗ったことがあるが、これは未乗の路線だから記念に乗っただけであって、ふつうの旅行者は函館から札幌に向かってしまう。
そこで頼みの綱は地元住民だが、これも慢性的に人口が減少している。しかも今回の転換によって、同区間の乗車料金は若干上がっている。ますます沿線住民の負担が大きくなる。
さらに、内地の新聞ではまったく触れられていないが、今回のダイヤ改正で、JR北海道は普通列車の「リストラ」を行った。全体の7%を削減したのだ。
その中に私の好きな札沼線も入っており、新十津川発着3本が、何と朝の1本のみに削減されてしまったのだ。これはかなりのショックだった。
私が2月に北海道を訪れた時、私のウッカリで札沼線末端区間のダイヤが削減されたと錯覚したことがあったが、それが本当になってしまったのだ。
ただそれも予想できたことで、当時列車内の広告に、利用者の少ない普通列車の見直しを行う、という一文を見たのだ。ちなみに上記の輸送密度でいうと、北海道医療大学―新十津川はワースト1位だった。
ほかには、利用のない駅を8つ廃止した。いずれも客の乗降がない、いわゆる秘境駅というやつである。
さらにこれは噂だが、留萌本線の留萌―増毛間を来年度中に廃止にするという動きもある。ほかにも存続が危ぶまれるローカル線がある。
さらに追い打ちを掛けているのが都市間バスの充実だ。高速道路と一般道が整備され、今や路線網はあっちこっちに本数を伸ばしている。特急列車と比べれば時間的に劣るが、バスは都市間を最短距離で結ぶので、バスのほうが早いケースも多い。こうなれば、料金の安いバスに軍配が上がる。JR北海道では全廃された、夜行便があるのも大きい、
とにかくJR北海道は赤字まみれで、上層部とすれば、一部のドル箱路線を除いてすべて廃止したい、というのが本音であろう。かつての鉄道王国北海道は、今やすっかり廃れてしまったのだ。
これを解決する明快な方法はない。とにかく沿線の乗客が少なすぎるのだ。
あとは魅力的な列車を走らせて鉄道マニアを呼ぶくらいしかないが、これも焼け石に水である。
今後JR北海道がどこに向かうのか、私には分からない。
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