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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

平成最終日のイベント(中編)

2019-05-20 00:35:32 | 将棋イベント
もう一度3階に戻る。廊下に櫛田陽一七段の姿があった。櫛田七段はLPSA駒込サロンの第2代手合い係。将棋ペンクラブの関東交流会等でも指導対局を受けたことがあり、もちろん知己ではある。が、あれから数年経ち、櫛田七段は私の名前も忘れているだろう。
昨年もスルーさせていただいたし、今年もそうする。私の棋士に対する態度は、しょせんそのくらいのものである。けっこう、防御線を引いているのだ。
鈴木大介九段の姿もあった。九段があまりにも近くにいらしたので、つい挨拶してしまう。
「先生、いつも新橋の解説は楽しく聴いています。歯に衣着せぬ解説が素晴らしいです」
「おお、8日もやりますから、来てください」
谷川治惠女流五段の姿もあった。谷川女流五段には女流棋士パーティー会場で、当ブログの愛読者と聞いたことがある。が、リップサービスも混じっているだろうから、話半分である。
今回は櫛田七段と同様の理由で、やはりスルーする。私も半引きこもり期間が長く、すっかり人間嫌いになってしまった。
14時30分になり、「武宮流 天才の育て方」の時間である。というわけで、先ほどの麻雀は中途終了となる。
今回は、武宮正樹九段、中倉彰子女流二段、枡由美さんによるトークショーである。タイトルは仰々しいが、ふつうのトークショーであろう。
枡由美さんは見慣れない方だが、麹町のダイヤモンド囲碁サロン(DIS)の受付をやっているらしい。もちろん囲碁も打ち、初心者には教えられるくらいの棋力はあるそうだ。
ちなみにLPSA麹町サロンin DISは毎週木曜日、この一角で行われている。
まずは武宮九段の本の宣伝である。「人生を楽しむ人が勝利者になる」。
人生に勝てばどうとでも言えるわけで私は信じないが、興味のある人は購入してみるといいだろう。2015年刊、税込み1,512円。
現在囲碁棋界では、10歳のプロ棋士・仲村菫(すみれ)初段が話題になっている。武宮九段は、ケータイの待ち受け画面にしているという。
「菫さんのお父さんも囲碁のプロでね、お母さんも囲碁のインストラクターをしています。
ご両親が韓国に行って、娘さんに囲碁の勉強をさせました」
と、武宮九段。なるほどご両親の英才教育があったわけだ。ちなみに武宮九段の御子息も囲碁のプロらしい。囲碁将棋などの勝負の世界は、親の七光りが利かないから、二代目は立派である。
中倉女流二段は相変わらず魅力的だが、若干生活に疲れている感が出ている。でもファンには、そこが堪らないのだ。
武宮九段がしゃべる。
「皆さん、将棋の蛸島彰子さんて知っていらっしゃる?」
「それはもう、皆さん知っていますよ」
と、彰子女流二段。「私は、蛸島先生から名前をいただいたんです」
「ああそうなの? さっきのバックギャモンの先生もアキコさんだったけど、勝負師にアキコという名前はいいのかな?」
「そうですね、妹の宏美は誰にちなんでもいないんですけど」
「ふむ。それで、私が8歳の時かな、テレビの収録で、たまたま蛸島さんと一緒になったんだね。私が囲碁の強い子供、あちらが将棋の強い子供、という紹介だった」
だが武宮九段は、以後も囲碁の道一本に進んだ。
「お陰さまで、今は囲碁人口は増えてます。私も、心の年齢は23歳のつもりなんですよ。
肉親に囲碁を教えるのは難しいね。私は息子がいるけど、教えたことない。趙治勲さんも娘さんがいるんだけど、囲碁を教えたら厳しすぎて逃げられてね、教えるのを止めちゃった」
こういう話は将棋界でも聞く。彰子女流二段の御主人の中座真七段、植山悦行七段など、初心者講習には定評があるのに、自分の子供だと優しく教えることができない。ついスパルタになって、子供が離れていくのだ。









「結婚すると、女房は変わりますね」
「あ、持ち駒になっちゃうとねー」
と、彰子女流二段。思い当たるフシがあるようだ。
「ところで中倉(彰子)さんのところは、(中座真七段と)どっちから最初に声を掛けたの?」
これは私たちも聞いてみたかったお題だ。
「そ、それは、振り駒みたいな形で……」
全然答えになってないが、うろたえる彰子女流二段の姿が微笑ましかった。
彰子女流二段が、武宮九段に囲碁を始めたキッカケを聞く。
「8歳の時、オヤジから教わった。オヤジは囲碁キチでね、いつも碁を打っていた」
そこから武宮九段は日本棋院の院生になり、1964年、プロ合格。そこから本因坊6期、名人1期などの華々しい囲碁人生になるわけだ。
「囲碁の面白いところはどこですか?」
「自由なところ。盤面に、どう打ってもいい」
「将棋をやろうとは思わなかったんですか?」
「やらなかった」
武宮九段はその理由を答えたが、その回答を正解できる人はいないと思う。ヒントは、将棋の初形にある。
(つづく)
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