6日の第60期王位戦挑戦者決定戦は、木村一基九段が羽生善治九段に勝ち、3年振り4度目の王位戦七番勝負登場を決めた。
羽生九段はタイトル100期が先延ばしになったが、私たちはカウントダウンをもう少し楽しめることになった、と考える。
さて木村九段はタイトル戦登場7度目だとか。ふつうこれだけタイトル戦に出ればタイトルのひとつやふたつを取っていそうだが、さにあらず。いまだタイトル未経験である。
では過去6回の戦績を記してみよう。
2005年 第18期竜王戦 渡辺明竜王4-0木村一基七段
2008年 第56期王座戦 羽生善治王座3-0木村一基八段
2009年 第80期棋聖戦 羽生善治棋聖3-2木村一基八段
2009年 第50期王位戦 深浦康市王位4―3木村一基八段
2014年 第55期王位戦 羽生善治王位4持2木村一基八段
2016年 第57期王位戦 羽生善治王位4-3木村一基八段
2019年 第60期王位戦 豊島将之王位 - 木村一基九段
第50期王位戦の3連勝4連敗をはじめ、フルセットで負けが3度で、タイトルに手を掛けたのに取れない。
羽生九段には4度負けており、目の上のタンコブといえる。しかし今回の挑戦者決定戦と先の竜王戦の勝利で、少しは借りを返した形となった。
ここで、タイトル戦に数多く登場し、長くタイトルを取れなかった棋士、を考えてみた。
するとやはり、二上達也九段と加藤一二三九段が浮かぶ。どちらも大山康晴十五世名人の全盛時代に当たり、長いことタイトルを取れなかった。おふたりはタイトル戦何回目でタイトルを取ったのだろう。
1959年 第10期九段戦 大山康晴九段4-3二上達也八段
1960年 第9期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第10期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第12期九段戦 大山康晴九段4-2二上達也八段
1962年 第21期名人戦 大山康晴名人4-0二上達也八段
1963年 第12期王将戦 二上達也八段4-2大山康晴王将
1960年 第19期名人戦 大山康晴名人4-1加藤一二三八段
1962年 第11期王将戦 大山康晴王将3-0加藤一二三八段
1963年 第4期王位戦 大山康晴王位4-2羽藤一二三八段
1967年 第16期王将戦 大山康晴王将4-1加藤一二三八段
1968年 第17期王将戦 大山康晴王将4-2加藤一二三八段
1968年 第7期十段戦 加藤一二三八段4-3大山康晴十段
両九段とも、タイトル戦6回目で初戴冠。そして対戦相手はすべて、大山十五世名人だった。
これで借りを返したと思いきや、どちらも翌期は大山十五世名人に取り返されてしまった。まったく、オオヤマは鬼である。
ところでこのテーマを調べている最中、名前が挙がってきたのが森下卓九段である。
森下九段はかつて一般棋戦の決勝戦で負けることが多く、「準優勝男」と呼ばれた。その後タイトル戦に顔を出すようになったが、それは何回だったのか。
では、戦績を見てみよう。
1990年 第57期棋聖戦 屋敷伸之棋聖3-1森下卓六段
1991年 第4期竜王戦 谷川浩司竜王4持2森下卓六段
1995年 第20期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1995年 第53期名人戦 羽生善治名人4-1森下卓八段
1997年 第22期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1999年 第48期王将戦 羽生善治王将4-1森下卓八段
6回だった。ここでも羽生九段の名前が多い。ハブもまた、鬼なのであった。
森下九段は1999年の王将戦を最後に、タイトル戦から遠ざかっている。C級1組まで落ちた森下九段が今後タイトル戦に出る可能性はほぼゼロで、「6回」止まりとなろう。
そして上記の通り、木村九段は今回が7度目のタイトル戦となる。となれば、負ければタイトル戦連敗の新記録。勝てば、有吉道夫九段の「37歳6ヶ月」を大幅に更新し、最高齢初タイトルとなる。つまりどっちにしても、新記録が生まれるわけだ。
若き王位相手に、木村九段の戦いやいかに。
羽生九段はタイトル100期が先延ばしになったが、私たちはカウントダウンをもう少し楽しめることになった、と考える。
さて木村九段はタイトル戦登場7度目だとか。ふつうこれだけタイトル戦に出ればタイトルのひとつやふたつを取っていそうだが、さにあらず。いまだタイトル未経験である。
では過去6回の戦績を記してみよう。
2005年 第18期竜王戦 渡辺明竜王4-0木村一基七段
2008年 第56期王座戦 羽生善治王座3-0木村一基八段
2009年 第80期棋聖戦 羽生善治棋聖3-2木村一基八段
2009年 第50期王位戦 深浦康市王位4―3木村一基八段
2014年 第55期王位戦 羽生善治王位4持2木村一基八段
2016年 第57期王位戦 羽生善治王位4-3木村一基八段
2019年 第60期王位戦 豊島将之王位 - 木村一基九段
第50期王位戦の3連勝4連敗をはじめ、フルセットで負けが3度で、タイトルに手を掛けたのに取れない。
羽生九段には4度負けており、目の上のタンコブといえる。しかし今回の挑戦者決定戦と先の竜王戦の勝利で、少しは借りを返した形となった。
ここで、タイトル戦に数多く登場し、長くタイトルを取れなかった棋士、を考えてみた。
するとやはり、二上達也九段と加藤一二三九段が浮かぶ。どちらも大山康晴十五世名人の全盛時代に当たり、長いことタイトルを取れなかった。おふたりはタイトル戦何回目でタイトルを取ったのだろう。
1959年 第10期九段戦 大山康晴九段4-3二上達也八段
1960年 第9期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第10期王将戦 大山康晴王将4-2二上達也八段
1961年 第12期九段戦 大山康晴九段4-2二上達也八段
1962年 第21期名人戦 大山康晴名人4-0二上達也八段
1963年 第12期王将戦 二上達也八段4-2大山康晴王将
1960年 第19期名人戦 大山康晴名人4-1加藤一二三八段
1962年 第11期王将戦 大山康晴王将3-0加藤一二三八段
1963年 第4期王位戦 大山康晴王位4-2羽藤一二三八段
1967年 第16期王将戦 大山康晴王将4-1加藤一二三八段
1968年 第17期王将戦 大山康晴王将4-2加藤一二三八段
1968年 第7期十段戦 加藤一二三八段4-3大山康晴十段
両九段とも、タイトル戦6回目で初戴冠。そして対戦相手はすべて、大山十五世名人だった。
これで借りを返したと思いきや、どちらも翌期は大山十五世名人に取り返されてしまった。まったく、オオヤマは鬼である。
ところでこのテーマを調べている最中、名前が挙がってきたのが森下卓九段である。
森下九段はかつて一般棋戦の決勝戦で負けることが多く、「準優勝男」と呼ばれた。その後タイトル戦に顔を出すようになったが、それは何回だったのか。
では、戦績を見てみよう。
1990年 第57期棋聖戦 屋敷伸之棋聖3-1森下卓六段
1991年 第4期竜王戦 谷川浩司竜王4持2森下卓六段
1995年 第20期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1995年 第53期名人戦 羽生善治名人4-1森下卓八段
1997年 第22期棋王戦 羽生善治棋王3-0森下卓八段
1999年 第48期王将戦 羽生善治王将4-1森下卓八段
6回だった。ここでも羽生九段の名前が多い。ハブもまた、鬼なのであった。
森下九段は1999年の王将戦を最後に、タイトル戦から遠ざかっている。C級1組まで落ちた森下九段が今後タイトル戦に出る可能性はほぼゼロで、「6回」止まりとなろう。
そして上記の通り、木村九段は今回が7度目のタイトル戦となる。となれば、負ければタイトル戦連敗の新記録。勝てば、有吉道夫九段の「37歳6ヶ月」を大幅に更新し、最高齢初タイトルとなる。つまりどっちにしても、新記録が生まれるわけだ。
若き王位相手に、木村九段の戦いやいかに。