私の番号は「054」。有料入場者が何人いるか知らないが、私はこうしたイベントでは、クジ運がいい。当選数は多いだろうし、何か当たると信じた。
「62!」
チッ! 私の8人あとか。
だが62氏が名乗り出ない。女流棋士3人は仕方なく抽選を続けるが、やはり名乗りは出ない。
これは将棋関係者だから名乗り出られないのか、あるいは単純に退席してしまったのか。後者なら、2万円も払っていながら、ずいぶんぜいたくである。
5人目くらいに、やっと当選者が手を挙げた。
その後も抽選は続くが、意外に当選者がいない。
「もう! ジャンケン大会で当選者を決めちゃいますよ!」
と、山口恵梨子女流二段が頬を膨らませる。
私自身も、当たる雰囲気がまったくない。もっとも今回私は「次の一手名人戦」で、みすみす入賞を逃している。ここですでに、勝利の女神に見放されたに違いない。
気が付くと、私のすぐ前に、谷口由紀女流二段の後ろ姿があった。「元女流棋士ファンランキング1位」の登場に、私はドキドキするばかりである。しばらくすると彼女は右を向き、その横貌が目に入った。フェイスラインは鋭角的で、整ったパーツのすべてが、殺人的なまでに美しい。
5年前の同イベントで生谷口女流二段を観た時、私は当ブログに、「今日は室谷女流初段に、ミス日本コンテストへの応募を直訴する」と書いたと思う。
だがこの5年の間に室谷女流二段は結婚し、出場資格を喪失してしまった。別に幸せいっぱいだから構わないけれど、谷口女流二段の美貌が、美の祭典でどのあたりに位置するのか、ヤジ馬的に確認したかった。
谷口女流二段はまた正面を向いた。私が「次の一手名人戦」で優勝していれば、そう名乗って話しかけるのだが、2問目で敗れていては、とてもその資格はない。
そのうち、将棋ペンクラブのHa氏が、谷口女流二段に話しかけた。さらに別の中年氏も彼女に話しかける。さすがに谷口女流二段クラスになると、すぐにファンが群がってくる。人気商売も大変である。
抽選会は、すべて終わった。私は当選せず。まあ、そうであろう。
最後は清水市代常務理事の閉会の挨拶である。
「皆さま…ごきげんよう。……個性あふれる女流棋士が、これからも盤上、盤外と、令和の時代もますます進化し続けます」
盛大な拍手で、幕を閉じた。参加女流棋士、ゲスト棋士、自発的参加の棋士まですべてが豪華で、私は半分放心状態だった。私にこうした場はそぐわないが、いい経験になった。
表では、大勢の女流棋士の見送りがあった。2万円を払った対価である。いただいたお土産は、今回の記念写真を含め、数点あった。
次の大パーティーは、5年後の50周年記念になるのだろう。しかし5年後といえば、私は50代後半である。私の肉体的衰えはさらに進行しているだろうし、私を取り巻く環境も、劇的に変化しているだろう。そしてそれは現状よりマイナスのはずで、想像するのも恐ろしい。まあ、その時はその時である。
5年前は、ジョナ研メンバーも多数いたので、有志が集まり渋谷のファミレスでお茶をした、しかし、5年経てば環境も変わる。今回は知己があまりいなかったので、私はまっすぐ帰宅した。
(おわり)
「62!」
チッ! 私の8人あとか。
だが62氏が名乗り出ない。女流棋士3人は仕方なく抽選を続けるが、やはり名乗りは出ない。
これは将棋関係者だから名乗り出られないのか、あるいは単純に退席してしまったのか。後者なら、2万円も払っていながら、ずいぶんぜいたくである。
5人目くらいに、やっと当選者が手を挙げた。
その後も抽選は続くが、意外に当選者がいない。
「もう! ジャンケン大会で当選者を決めちゃいますよ!」
と、山口恵梨子女流二段が頬を膨らませる。
私自身も、当たる雰囲気がまったくない。もっとも今回私は「次の一手名人戦」で、みすみす入賞を逃している。ここですでに、勝利の女神に見放されたに違いない。
気が付くと、私のすぐ前に、谷口由紀女流二段の後ろ姿があった。「元女流棋士ファンランキング1位」の登場に、私はドキドキするばかりである。しばらくすると彼女は右を向き、その横貌が目に入った。フェイスラインは鋭角的で、整ったパーツのすべてが、殺人的なまでに美しい。
5年前の同イベントで生谷口女流二段を観た時、私は当ブログに、「今日は室谷女流初段に、ミス日本コンテストへの応募を直訴する」と書いたと思う。
だがこの5年の間に室谷女流二段は結婚し、出場資格を喪失してしまった。別に幸せいっぱいだから構わないけれど、谷口女流二段の美貌が、美の祭典でどのあたりに位置するのか、ヤジ馬的に確認したかった。
谷口女流二段はまた正面を向いた。私が「次の一手名人戦」で優勝していれば、そう名乗って話しかけるのだが、2問目で敗れていては、とてもその資格はない。
そのうち、将棋ペンクラブのHa氏が、谷口女流二段に話しかけた。さらに別の中年氏も彼女に話しかける。さすがに谷口女流二段クラスになると、すぐにファンが群がってくる。人気商売も大変である。
抽選会は、すべて終わった。私は当選せず。まあ、そうであろう。
最後は清水市代常務理事の閉会の挨拶である。
「皆さま…ごきげんよう。……個性あふれる女流棋士が、これからも盤上、盤外と、令和の時代もますます進化し続けます」
盛大な拍手で、幕を閉じた。参加女流棋士、ゲスト棋士、自発的参加の棋士まですべてが豪華で、私は半分放心状態だった。私にこうした場はそぐわないが、いい経験になった。
表では、大勢の女流棋士の見送りがあった。2万円を払った対価である。いただいたお土産は、今回の記念写真を含め、数点あった。
次の大パーティーは、5年後の50周年記念になるのだろう。しかし5年後といえば、私は50代後半である。私の肉体的衰えはさらに進行しているだろうし、私を取り巻く環境も、劇的に変化しているだろう。そしてそれは現状よりマイナスのはずで、想像するのも恐ろしい。まあ、その時はその時である。
5年前は、ジョナ研メンバーも多数いたので、有志が集まり渋谷のファミレスでお茶をした、しかし、5年経てば環境も変わる。今回は知己があまりいなかったので、私はまっすぐ帰宅した。
(おわり)