一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

将棋ペンクラブ関東交流会2019(2)

2019-06-14 00:26:29 | 将棋ペンクラブ
Ok氏とはいつもは二枚落ちの手合いだが、こんな会なので、今日は平手である。
近くでは妙齢の女性同士が対局を始めた。将棋ペンクラブ関東交流会は基本的にオッサンの集まりだが、昨今は「観る将」の女性ファンが増え、それが「指す将」に流れてきている。それにしたって交流会でこの光景は異彩で、私は静かな感動を覚えるのである。
盤上。力戦好きのOk氏は静かに銀を繰り出す。その後も奔放に指し回し、気が付けば私が作戦負けになっていた。駒落ちの相手と平手で指してもいい勝負になる。ここが将棋の不思議なところだ。

第1図でOk氏は▲1一角成としたが、私は△5六歩とし、先手がややつまらなかったようだ。
実戦は数手後の私の△2九飛が厳しく、Ok氏の見落としもあって、私が制勝した。
感想戦。とりあえず第1図に戻し、ここで▲5五銀がイヤだったことを述べた。Ok氏も指した直後に気が付いたようだが、遅い。指す前に考える習慣をつければ、Ok氏はもっともっと強くなる。
ともあれこれで3連勝。いい感じである。
そろそろ指導対局を受けたいところ。私は受付に「井道ちゃん……井道ちゃんと指したい」とうわごとのように願う。だが満席のようだ。
4局目はAbe氏と。テーブルに向かう途中、アマ強豪の美馬和夫氏に「(就職)おめでとうございます」とねぎらわれた。美馬氏には就職活動中にだいぶ心配をお掛けした。「大沢さんは将棋関係の職に就いたほうがいい」と提案もしてくれた。美馬氏には感謝に堪えない。
さてAbe氏はどこかで見た気はするが、初対局なのは間違いない。
私の後手で、相居飛車からお互い矢倉に組んだ。Abe氏は3筋の歩を切り、私は△6四角と飛車取りに覗く。ここでAbe氏が▲3七銀と引いたのが大悪手で、△3六歩で後手勝勢。Abe氏はすっかり固まってしまった。
私は最多勝がかかっているから容赦はしないが、あまりにも彼が考えるので、私は待ってあげた。
だが、こうした情けは最もあぶない。角交換後Abe氏は▲2四歩と突き捨て、私は△同銀。
その数手後に△8六歩▲同歩△同銀とやったが、Abe氏が「それは……」とつぶやく。
私は意味が分からず▲8六同銀△同飛としたが、そこで▲7七角(部分1図)と王手飛車に打たれ、飛び上がった。

絵に描いたような純粋王手飛車で、四段を名乗って恥ずかしい。私は△6六歩と切り返したが、▲8六角が後手陣に通り、私の敗勢。バカバカしくなった。
その後私が必敗になったが、Abe氏が竜を捨てて詰ましに行ったのが性急で、後手玉はわずかに詰まない。僥倖の勝利となった。
戻って竜捨てでは、黙って詰めろを掛ければ、私に受けがなかった。
続いて5局目である。相手はKit氏で、ここ関東交流会では初対局だが、どこかで見た気はする。
将棋は私の先手で、角換わりになった。Kit氏はいま流行りの△6二金・△8一飛型。
私は▲4六角と据え、△6三金に▲5五銀とぶつけた。そして▲5四銀。△同歩なら▲7二銀で必勝と思いきや、当然△同金と取られ、構想が破綻した。
こうなったら私は攻め続けるよりない。角銀交換の駒損を甘受し、攻め続ける。若干切れ気味だったがKit氏も受けを間違え、優劣不明になった。

部分1図で1歩あれば▲2四歩で先手勝ち。しかし歩切れなので▲2四銀とするしかない。
Kit氏は△3二銀打。ここで▲4二金も考えたが、切れたら負けだ。私は▲2三銀成とし、△同銀に▲2四銀。以下△3二銀打▲2三銀成△同銀▲2四銀△3二銀打……。
何と、千日手になってしまった。交流会で千日手! ほぼ一局分の時間を使い無勝負となり、しかも疲労困憊。これは痛かった。
すぐに指し直しとなる。再戦は私が飛車を振るつもりだったがその機を逸した。角交換になった後も飛車を振るつもりだったが、△6四歩が疑問手。すかさずKit氏に▲2二歩と垂らされ、△同金の一手に▲3一角△3二金▲6四角成と馬を作られ、大きく形勢を損ねた。
しかし▲5七金・6五歩、△5二飛・5三金の局面で、歩頭に△6四金と出たのが強手。これで凝り形の駒を捌き、一遍に勝負形になった。

以後もとても難しい局面が続いたのだが、部分2図で△3九角▲2七飛に、△7四歩と馬取りに突き出したのが渾身の勝負手。これが奏功し、この歩が△7五歩~△7六歩~△7七歩成と行く大活躍。珍しく私の逆転勝ちとなった(詳細手順を披露したいのだが、局面の一部を忘れてしまったので、再生できない)。
自分よりやや強いと思われる相手に相居飛車とし、形勢の悪い局面を辛抱して逆転勝ちした。こういう時は、自分を褒めてやりたいと思う。
というわけで、ここまで苦しい将棋ばかりで、負け越しでもおかしくなかったが、望外の5連勝である。私は必ずしも最多勝を取りたいわけではなく、表彰式で早く名前を呼ばれ、目玉賞品をゲットしたいだけである。そしてそれに限りなく近づいたのではないか。
私は井道千尋女流二段に指導対局を受けたいが、3面がすべてふさがっている。堀女流2級は2面で、これも埋まっている。佐藤紳哉七段は3面だが、現在はひとりが対局中である。これでは佐藤七段に教えていただくよりない。
手合いを付けてもらい、佐藤七段の前に座る。
「先生、シモキタ名人戦ではいつも拝見しております」
佐藤七段はそのイベントの常連で、カツラを取りながらの投了が名物?である。いつぞやはそばを通っていた外国人の女性が「オ~ウ!」と驚きの声を上げ、私はB級コントを見たごとくに大笑いしたものだった。だが今日は残念、素の頭である。
「先生今日は、先生を負かしてカツラを取ってもらうつもりだったのに……」
「ああそれはどうも」
駒を並べ終え、佐藤七段が手合いカードを見る。「お、5連勝ですね」
角落ちでお願いし、指導対局が始まった。
(つづく)
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