一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2020年社団戦第2日(3)

2020-10-14 00:13:52 | 社団戦
一休みして3回戦である。私はすべて出場する感じで、千石ラーメンには行けそうもない。
ホワイトボードに行くと1回戦の勝敗が記されており、将棋ペンクラブは4位に上がっていた。残り2勝すれば、もっと上に上がれるだろう。
3回戦は「天野チルドレン5」。元奨励会三段・天野貴元氏の精神を引き継いでおり、強敵なのは確かだ。
対局者は私、藤原息子君、山本氏、藤宮氏、山野氏の5名。振ってもらって、また後手になった。さすがにそろそろ先手が欲しかったが、仕方ない。右の藤原息子君は石田流党なので、ニンマリしていた。
対局開始になり、初手▲7八飛と指された。ふつうに三間飛車にされたら私もふつうに指したのだが、これだったので、私は△8四歩▲7六歩△8五歩▲7七角とした。が、これは後手の作戦の幅を狭めてよくなかった。△8四歩くらいで止め、△4五歩から△5四銀左の一公流を目指すべきだった。
私は5筋位取りを考えたが、これは対四間飛車用だろう。三間飛車にも通じるのだろうか。
天野氏が▲5六歩と突かず、▲4六歩。そこで私は△5五歩(第1図)としたが、天野氏が驚いたようだった。

天野氏はすかさず▲7五歩。さらに▲7六銀から▲6八飛ときた。これでは私も△6三銀上と守らざるを得ず、やや位取りが破綻した。
天野氏は▲6五歩と開戦せず、▲8八飛。これもいい手で、8筋からの逆襲を見ている。このまま8筋を突破されたら、1回戦の二の舞だ。

第2図以下の指し手。△7四歩▲同歩△7二飛▲8六歩△7四銀▲8五歩△7五銀▲同銀△同飛▲7六歩△同飛▲8六飛(第3図)

私は△7四歩。▲同歩に△同銀として1歩交換で留めるつもりが、気が変わった。△7四同銀で△7二飛を考えたのである。以下▲8六歩△7四銀▲8五歩で先手十分に見えたが、何とかなるだろうと思った。
が、それを決行してその局面になると、やはり私が悪くなり、自己嫌悪に陥った。この大事な社団戦で、「何とかなるだろう」で指しちゃダメである。
△7五同飛に、天野氏は▲7六歩。これは1歩をもらえてありがたかったが、△同飛に▲8六飛のぶっつけが気持ちいい。これを△同飛は▲同角で、次に▲6四角出を見る。私は△5四銀が浮いているから、強い戦いができない。さらに△2二の角は△5五歩に阻まれ、世に出られない。ここに至って、5筋位取りが最悪の作戦だったことに気付いた。

第3図以下の指し手。△7四飛▲7六歩△6五歩▲8四歩△8五歩▲同飛△9三桂▲7五飛(第4図)

第3図で△7一飛は、▲7二歩△同飛▲6一銀。また△7三飛は、将来の▲8三歩成が当たりになる。さらに△7五飛は▲7六歩で、結局飛車の引き場所に困る。よって△7四飛と2つ引いたが、もう、まったく自信はなかった。だがそれなら第3図で△8六同飛と取り、▲同角△8七飛▲6四角に△5三銀とすれば、まだ後手も戦えたのではないか。やはり本譜の△7四飛は、相当気合が悪かった。
天野氏は▲7六歩。ここで私の△6五歩が疑問手だった。これを▲同歩なら△同銀で好調だが、先手がそう応じるはずがない。スッと▲8四歩と伸ばされ、またも後手が忙しい。
私は△8五歩から△9三桂と動くが、いかにも無理気味だ。
ここで▲7五飛がちょっと意外で、ふつうにタテに引かれて悪いと思っていた。
ここはチャンスだったのだが……。

第4図以下の指し手。△8四飛▲8五歩△同桂▲7三飛成△8三歩▲8六角△9七桂不成▲4二角成△同金▲9七桂(第5図)

第4図で私は、予定通りと△8四飛と寄ったが、これがマズかった。読みでは▲7一飛成△8九飛成だったが、先手がそんな甘い手を指すわけがない。素朴に▲8五歩と打たれ、痺れた。これを△同飛は▲同飛△同桂にやはり▲8六角がある。まあこれでも後手は文句を言えないが、対局中は▲8六角を実現させてはいけないと考えていた。
そこで△同桂と取ったが、▲7三飛成がまた好手。勢い△7七桂不成▲8四竜は、これが△5四銀に当たって後手敗勢だ。
それで△8三歩の辛抱だが、そこで先手はゆうゆう▲8六角。結局覗かれてしまった。
戻って△8四飛では△7五同飛と取り、▲同歩△8五桂(参考図)だった。これなら角切りがない。この局面も居飛車が芳しくないが、右桂を跳んでいる分、まだ主張があった。

本譜は結局角を切られ、黙って▲9七桂と桂得された。大野教室なら、もう投げているところだ。

第5図以下の指し手。△8九飛成▲2六桂△4一金▲7二竜△5二銀▲3四桂△4四角▲4五歩△同銀(第6図)

藤原息子君は勝った。しかしこちらは△8九飛成の空成りが虚しい。
▲3四桂では▲5三金がイヤだったが、まあどっちでもいい。
▲4五歩は、なんだこれ、という感じなので取ったが、次の手をうっかりした。

第6図以下の指し手。▲4二歩△3一金▲5二竜△3四銀▲4一歩成△4二桂▲3一と△同玉▲4一銀△2二玉▲4二竜(投了図)
まで、天野チルドレン5大将の勝ち。

▲4二歩でシビレた。ああ▲4五歩はこの狙いだったか。これに△5一金は▲4一銀が厳しい。それで△3一金と寄ったが、△5二銀が浮いているではないか。当然▲5二竜と取られ、もう投了したいが、ほかの状況もあるし、投げられない。
でも駒をボロボロ取られ、さすがに投げた。

「△7二飛が無理だった……」
私はやっと絞り出したが、そこまで。席を立った私は頭を冷やすべく、階下のトイレに行く。すると踊り場で、藤原父氏が電話営業をしていた。ビジネスマンは休日でも忙しいのである。
4階に戻り、残りの3局を見る。山本氏は不利、藤宮氏は女性相手に勝勢、居飛車の山野氏は相穴熊だが、飛車が自陣に蟄居しており劣勢だ。
やがて藤宮氏が勝った。あと2局でどちらかに勝ってほしいが、今回は難しい。
山本氏、▲1四桂の王手に△1三玉。△3三玉と逃げりゃいいのに、なんで狭いところに逃げる? しかし私に指し手を言及する資格はない。
山野氏を見ると、あの飛車が捌けていた。なんでこういう展開になる? しかしこれはむしろ、山野氏のほうに期待だ。
山本戦は、▲3四桂とされたあと、▲2二桂右成まで、山本氏が投了した。1筋には先手の香があり、雁字搦めにされてしまった。
また2勝2敗で最終局か。いや、どんだけギリギリの勝負になるのだ。
山野氏は、どんどん穴熊を削られて、相手は金銀3枚が健在なのに、自陣の守りは△3二銀1枚になっていた。そこに▲3一銀と打たれた。▲2二金までの詰めろだ。
これは負けだ……。私は責任を感じ、天を仰いだ。
(つづく)
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