一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2020年社団戦第2日(2)

2020-10-13 00:07:42 | 社団戦

第1図以下の指し手。△7四香▲4四銀△7七香成▲4三角成△同金▲同銀成△6二玉▲3二飛△5二桂▲同成銀△同金▲4四桂(第2図)

横歩取り△4五角(▲6五角)戦法は、知識だけで終盤までいける特異な戦型である。だが私は▲1六歩の差異を考えているうち、定跡をド忘れしてしまった。
第1図、先手は▲4四銀や▲2三銀の狙いがあるが、とりあえず▲4四銀を防ぐ、△5四香を考えた。だが以下▲8五飛△7二金▲8三銀で後手が悪い。
そこで角の8筋の利きを防ぎつつ△7七を狙う、△7四香がベストと判断した。
でもこれは定跡の一手である。ではあるが、自力でこの手を導いたのは、我ながら読みを入れたと思った。
OKI氏は▲4四銀。ここは△4二玉が定跡と思うが、よく分からなかった。△7七香成としたが、桂の入手も大きい。
OKI氏の▲4三角成では▲4三銀成もあり難しいところ。本譜は角成からきたが、私は大駒をもらえてありがたかった。ただ▲4三同銀成に△6二玉は最善手かどうか不明で、この数手で私が悪くなった可能性がある。
OKI氏は▲3二飛から▲4四桂と迫る。▲4四桂では▲7二金△同玉▲5二飛成△6二金▲6四桂△同歩▲6三金がイヤだったが、これでもいいのか。もう、すべて読み切られているのかと思った。

第2図以下の指し手。△4二歩▲5二桂成△同玉▲3一飛成△3五桂▲4一金△6四歩▲4二金△6三玉▲6一竜△5四玉▲8一竜△4七桂成▲6六桂△4四玉▲2一竜(第3図)

△4二歩が当然ながら、しっかりした受け。▲5二桂成で金2枚を持たれたが、これで先手の手段が存外ない。この戦法は金銀より、桂香を持たれるほうがイヤなのだ。
▲3一飛成に△7八成香▲同銀△7九飛は▲6九金で後手負け。さりとて自陣に手を入れても目標になり、無意味だ。そこで、黙って△3五桂と打った。
これには▲4八玉が正着と思うが、そうは指さないと思った。OKI氏は▲4一金のベタ金。ここに1枚使ってくれればラクで、私は△6四歩と突き、何とかいけそうに思った。
▲8一竜には△4七桂成と、あくまでプレッシャーをかける。ここ、△4七桂不成は局面がハッキリしてつまらない。
▲6六桂に△6五玉は、後に▲8五竜が生じて気味が悪い。怖いが△4四玉と寄った。

第3図以下の指し手。△5七成桂▲5八金△4六角▲4五歩△5五玉▲7五金(第4図)

先手は次に▲5六桂があるので、△5七成桂と寄った。あくまでも、次に何かあったら即詰みにしますよ、の姿勢である。
OKI氏は「ウン……」と唸って▲5八金。これには△4六角と繋げ、▲4五歩には△5五玉と入る。後手はここら一帯のほうがむしろ安全だ。
▲7五金は詰めろでもなんでもなく、先手玉は△5八成桂▲同玉△5七飛以下の簡単な詰みがある。
ところが私はとんでもない手を指してしまう。

第4図以下の指し手。△6九飛▲同玉△7八成香▲5九玉(途中図)
△7七馬▲4九玉△5八成桂▲3八玉△5九馬(第5図)

藤原息子君は負けていたので、最低でも私が勝たねばならない。私の背後にはギャラリーがいるのが分かる。そこでいいところを見せようと、△6九飛と打った。▲同玉に、△7八成香。だいぶ前に成った香が、やっと金を取れた。
これを▲同銀は△6八銀。▲同玉も△7七金▲6九玉△6八銀以下詰み。これでOKI氏が投了するかと思いきや、また考えている。そのうち、▲5九玉と逃げる手があることに気付いた。果たしてOKI氏は▲5九玉。今度△5八成桂▲同玉は、持駒に飛車がないので詰まない。しまったしまった!! あの時カッコをつけて飛車なんか捨てずに、ふつうに△5八成桂▲同玉△5七飛とすべきだった!
むかし稚内の将棋合宿で地元の愛棋家と指した時、私が勝勢になった。そこで簡単な一手必至を指せばよかったのに無理に詰ましに行ったが詰まず、大逆転負けを喫したことがあった。
あれから私は、全然成長していないのだ。今回も、全身の血が逆流した。

私は気を取り直して△7七馬。先手はアイシャできないから▲4九玉だが、私は△5八成桂から△5九馬。「詰まなかったのか……」とOKI氏がつぶやいた。私は穴があったら入りたい気分だ。まあこれでも後手が残していそうだが、もはや流れは先手である。だけどこれを私が負けたら、切腹モンだと思った。

第5図以下の指し手。▲4七飛△3五銀▲5一竜△2七金▲同玉△2六歩(投了図)
まで、一公の勝ち。

OKI氏▲4七飛が根性の受け。ここは▲2七玉のほうがイヤだったが、30秒将棋で正着を指すのは難しい。
私は△3五銀と打ち、改めて盤面を見る。すると、先手の竜筋が逸れれば△2七金から詰むことに気付いた。
OKI氏は▲5一竜。これは今度こそ本当に先手玉が詰みである。ただ、△2七金と打つときは本当に緊張した。社団戦は恐ろしい。将棋に勝つことは、本当にえらいことなのだ。

感想戦をやり、私は意味深な▲1六歩に感心の意を示したが、OKI氏は単に後手番になりたかった(▲6五角戦法を使いたかった)だけらしい。将棋において、片方はふつうに指したのに、片方は深読みしてしまう例はいっぱいある。
OKI氏が悔やんだのは第2図の手前の▲3二飛で、ここは▲2二飛だったという。
確かにそうで、間接的に馬の射程に入るが、▲2一飛成とできれば大きい。
私はすっかり定跡を忘れていたが、それで△4五角戦法を目論んでいたのだから恐ろしい。本局は僥倖の勝利だった。
ほかの状況を見ると、藤宮氏が勝っており2勝1敗。その後Kan氏が負け、残るは山本戦となった。

第1図は山本氏の勝勢で、私なら△6四飛と銀を取り、これが詰めろ。しかし山本氏は△6九馬と入った。これもこう指したいところではある。
以下▲8九銀△7九金▲6八桂。ベタベタ受けられて、秒読みなら焦るところだ。
しかし山本氏は読み切ったようである。△7八金▲同銀に△6八飛成と思いきや、△7八同馬! 以下▲同玉に△6九銀(投了図)まで、山本氏の勝ちとなった。

投了以下▲8九玉には△8八金!が妙手で勝ちとなる。山本氏はいい働きをした。
本日初の3-2で、通算5勝1敗。こんな好成績はいままでにない。チームの雰囲気もよく、このまま持続すればいいと思った。
(つづく)
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