いまさらだが、今期の女流王将戦で室谷由紀女流三段が挑戦者になったのはビックリした。というのもここ数年の女流棋界は里見香奈女流四冠、西山朋佳女流三冠のタイトル保持者に加藤桃子女流三段、伊藤沙恵女流三段が絡む形で、極論すればこの4人だけでタイトルを争っていた感があったからだ。
女流王将戦の準決勝第2局・挑戦者決定戦は9月12日(土)に「囲碁・将棋チャンネル」で放送された。これは録画だから当然対局は終わっていたが、放送前まで室谷女流三段は公式戦で3連敗しており、女流名人戦リーグも1勝5敗。つまり不調と見られていた。
【放送前までの成績】
4月8日 第42期女流王将戦本戦1回戦 ○藤井奈々女流初段
4月14日 第47期女流名人戦リーグ1回戦 ●加藤桃子女流三段
5月8日 第47期女流名人戦リーグ2回戦 ●香川愛生女流三段
5月16日 第10期女流王座戦一次予選決勝 ○小髙佐季子女流1級
6月17日 第47期女流名人戦リーグ3回戦 ●伊藤沙恵女流三段
6月23日 第10期女流王座戦二次予選決勝 ○千葉涼子女流四段
7月3日 第42期女流王将戦本戦2回戦 ○山根ことみ女流二段
7月8日 第47期女流名人戦リーグ4回戦 ○加藤圭女流初段
7月28日 第10期女流王座戦本戦1回戦 ●伊藤沙恵女流三段
8月16日 第47期女流名人戦リーグ5回戦 ●鈴木環那女流二段
9月11日 第47期女流名人戦リーグ6回戦 ●上田初美女流四段
準決勝の相手は、伊藤女流三段。対戦成績は室谷女流三段の1勝10敗で、とても勝利は期待できない。仮にここを勝っても挑戦者決定戦では里見女流四冠が待っている。こちらは室谷女流三段の1勝12敗。よってどうヒイキ目に見ても、室谷女流三段の奮戦もここまでと思われた。
しかし室谷女流三段は伊藤女流三段に勝ち、挑戦者決定戦でも里見女流四冠に勝ち切った。これは奇跡的な快挙で、由紀ファンは半分戸惑いながら、快哉を叫んだのである。
室谷女流三段もこの快挙を一刻も早く全国に知らせたかったろうが、放送前ではそれも叶わない。室谷女流三段は「放送を見て驚きなさい」と耐えていたに違いない。
室谷女流三段の不調は、女流王将挑戦後になったようだ。いや、それにしても里見女流四冠に勝つとは素晴らしい。考えてみれば、室谷女流三段は前期の女流名人戦で、挑戦者になっている。つまり着々と地力をつけているわけで、おのが美貌と人気に酔うことなく将棋に精進していたことは、称賛に価するのだ。
さて、タイトル戦の相手は西山女流王将である。西山女流王将と室谷女流三段は幼馴染で、同じ将棋クラブで腕を磨いた仲だ。室谷女流三段もかねてから、西山女流王将とタイトル戦でまみえることを熱望していた。
とはいうものの、西山女流王将は2回前の奨励会三段リーグで14勝を挙げた,、プロ四段相当の実力者である。勝敗予想をすれば西山ノリになってしまうが、両者の対戦成績は室谷女流三段の2勝1敗。室谷女流三段に苦手意識はないのだった。
2013年8月17日 第7期マイナビ女子オープン予選決勝 ○室谷●西山
2016年3月2日 第9期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦 ○室谷●西山
2017年12月11日 第49期新人王戦本戦1回戦 ●室谷○西山
3日はその第1局が行われた。女流王将戦の番勝負は第40期から、持ち時間が25分から3時間に変更された。挑戦者からすれば、短時間の将棋で勢いよく行くのもいいが、長い持ち時間でじっくり考えられるのは歓迎であろう。
なおこの間、室谷女流三段は女流王位戦予選でカロリーナ・ステチェンスカ女流1級に負け、女流名人リーグで千葉涼子女流四段に勝ったものの、マイナビ女子オープン一斉予選では大田暖乃アマに負けと、まだ調子を取り戻していなかった。
女流王将戦挑戦手合は「将棋プレミアム」でリアルタイム放送されたが、私は契約していないので、見ることはできなかった。
そして結果は、西山女流王将が快勝した。やはり西山女流王将は強く、これでストレート防衛の線が濃くなったが、13日の第2局で、室谷女流三段が勝ったとのネットニュースが入り、私は驚いた。
棋譜を確認すると第1局に続き相振り飛車で、室谷女流三段が見事に攻め勝っていた。
図は西山女流王将が△7七歩成と桂を取った局面。
ここで室谷女流三段は▲6四歩。以下△6七と▲6三歩成△同銀▲6四歩以下攻め勝った。
ちなみに私なら図で▲7七同角と取り、△同角成▲同飛△6五桂で惨敗していたところである。
プロ四段格に勝ったのだから、これは室谷女流三段の会心譜である。そして、1回勝ったのだから、2回目も勝つ可能性がある。
最終第3局は30日(金)。室谷女流三段の棋歴で足りないものは、もはや「タイトル獲得」しかない。今回は2016年の倉敷藤花戦につづき、2度目の「タイトルまであと1勝」となったわけだが、当日は気負わず、自分らしい将棋を指せばいいと思う。
女流王将戦の準決勝第2局・挑戦者決定戦は9月12日(土)に「囲碁・将棋チャンネル」で放送された。これは録画だから当然対局は終わっていたが、放送前まで室谷女流三段は公式戦で3連敗しており、女流名人戦リーグも1勝5敗。つまり不調と見られていた。
【放送前までの成績】
4月8日 第42期女流王将戦本戦1回戦 ○藤井奈々女流初段
4月14日 第47期女流名人戦リーグ1回戦 ●加藤桃子女流三段
5月8日 第47期女流名人戦リーグ2回戦 ●香川愛生女流三段
5月16日 第10期女流王座戦一次予選決勝 ○小髙佐季子女流1級
6月17日 第47期女流名人戦リーグ3回戦 ●伊藤沙恵女流三段
6月23日 第10期女流王座戦二次予選決勝 ○千葉涼子女流四段
7月3日 第42期女流王将戦本戦2回戦 ○山根ことみ女流二段
7月8日 第47期女流名人戦リーグ4回戦 ○加藤圭女流初段
7月28日 第10期女流王座戦本戦1回戦 ●伊藤沙恵女流三段
8月16日 第47期女流名人戦リーグ5回戦 ●鈴木環那女流二段
9月11日 第47期女流名人戦リーグ6回戦 ●上田初美女流四段
準決勝の相手は、伊藤女流三段。対戦成績は室谷女流三段の1勝10敗で、とても勝利は期待できない。仮にここを勝っても挑戦者決定戦では里見女流四冠が待っている。こちらは室谷女流三段の1勝12敗。よってどうヒイキ目に見ても、室谷女流三段の奮戦もここまでと思われた。
しかし室谷女流三段は伊藤女流三段に勝ち、挑戦者決定戦でも里見女流四冠に勝ち切った。これは奇跡的な快挙で、由紀ファンは半分戸惑いながら、快哉を叫んだのである。
室谷女流三段もこの快挙を一刻も早く全国に知らせたかったろうが、放送前ではそれも叶わない。室谷女流三段は「放送を見て驚きなさい」と耐えていたに違いない。
室谷女流三段の不調は、女流王将挑戦後になったようだ。いや、それにしても里見女流四冠に勝つとは素晴らしい。考えてみれば、室谷女流三段は前期の女流名人戦で、挑戦者になっている。つまり着々と地力をつけているわけで、おのが美貌と人気に酔うことなく将棋に精進していたことは、称賛に価するのだ。
さて、タイトル戦の相手は西山女流王将である。西山女流王将と室谷女流三段は幼馴染で、同じ将棋クラブで腕を磨いた仲だ。室谷女流三段もかねてから、西山女流王将とタイトル戦でまみえることを熱望していた。
とはいうものの、西山女流王将は2回前の奨励会三段リーグで14勝を挙げた,、プロ四段相当の実力者である。勝敗予想をすれば西山ノリになってしまうが、両者の対戦成績は室谷女流三段の2勝1敗。室谷女流三段に苦手意識はないのだった。
2013年8月17日 第7期マイナビ女子オープン予選決勝 ○室谷●西山
2016年3月2日 第9期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦 ○室谷●西山
2017年12月11日 第49期新人王戦本戦1回戦 ●室谷○西山
3日はその第1局が行われた。女流王将戦の番勝負は第40期から、持ち時間が25分から3時間に変更された。挑戦者からすれば、短時間の将棋で勢いよく行くのもいいが、長い持ち時間でじっくり考えられるのは歓迎であろう。
なおこの間、室谷女流三段は女流王位戦予選でカロリーナ・ステチェンスカ女流1級に負け、女流名人リーグで千葉涼子女流四段に勝ったものの、マイナビ女子オープン一斉予選では大田暖乃アマに負けと、まだ調子を取り戻していなかった。
女流王将戦挑戦手合は「将棋プレミアム」でリアルタイム放送されたが、私は契約していないので、見ることはできなかった。
そして結果は、西山女流王将が快勝した。やはり西山女流王将は強く、これでストレート防衛の線が濃くなったが、13日の第2局で、室谷女流三段が勝ったとのネットニュースが入り、私は驚いた。
棋譜を確認すると第1局に続き相振り飛車で、室谷女流三段が見事に攻め勝っていた。
図は西山女流王将が△7七歩成と桂を取った局面。
ここで室谷女流三段は▲6四歩。以下△6七と▲6三歩成△同銀▲6四歩以下攻め勝った。
ちなみに私なら図で▲7七同角と取り、△同角成▲同飛△6五桂で惨敗していたところである。
プロ四段格に勝ったのだから、これは室谷女流三段の会心譜である。そして、1回勝ったのだから、2回目も勝つ可能性がある。
最終第3局は30日(金)。室谷女流三段の棋歴で足りないものは、もはや「タイトル獲得」しかない。今回は2016年の倉敷藤花戦につづき、2度目の「タイトルまであと1勝」となったわけだが、当日は気負わず、自分らしい将棋を指せばいいと思う。