この王手は何でもない。△9六同香▲同金△8七桂▲同金△同銀成で先手玉は受けなし。そこで後手玉に詰みがあるかどうかだが、▲9五金は△9三玉▲9四金△8二玉で詰まないと思うし、強く△7五玉でも逃れていそうだ。
ところが藤原父氏は△9六同香とせず、△8三玉と逃げた。以下▲8四歩△9三玉▲9五歩△7一桂▲6一馬△6二金引▲7一馬△同金▲8三銀(投了図)まで、藤原父氏が投了した。
えっ? 終局??
感想戦は原則禁止だが、これじゃあ私も口を出さざるを得ない。
「▲9六桂に△同香なら? ▲同金△8七桂▲同金△同銀成で、後手玉が詰まないから後手勝ちでしょ」
「私も打ったあとに気が付きました」
と、これは三将君。
藤原父氏は、まさか▲9六桂がココセとは思わず、つい玉を逃げてしまったようだ。
まあこれが3-1での最終局だったからいいが、もし2-2だったら、本人もチームメイトも、大変なことになっていた。
以上全4回戦が終わり、改めて今日の戦績は、チーム4-1、3-2、3-2、3-2の4連勝。通算7勝1敗は見事である。とりわけ3-2の勝利が6回あるのは誇らしい。今年の将棋ペンクラブは、誰かが負けても誰かが勝ち、妙に歯車が合っている。今年は昇級がないが、これなら1位を狙えるのではないか?
さて、打ち上げである。今日の参加者は、Kan氏、星野氏、山本氏、山野氏、藤宮氏、藤原父氏、私の7人。前回はA氏も再訪するような話だったがどうなのだろう。
和民は10月から営業再開予定。つまりどこにも予約はしていないが、私たちは前回と同じ磯丸水産に行った。
最初は窓際の席を案内されたが、しばらくして奥のスペースに引っ越しとなった。窓際にオッサンがたむろしていたら、客が入りづらい。
Kan氏はまだ業務が残っていて、6人で乾杯。4連勝のあとのビールは実にうまい。
私の向かいは藤原父氏。息子君は、今日は帰ったという。やはり居酒屋では居心地が悪いのだろう。
息子君は現在研修会員なので、それに関する話になる。研修会も月謝があるので、親御さんは大変だ。でも、塾に通わせていると思えば、このくらいの出費は許容範囲か。
つまみは適当に頼んだようだが、一部8人前来ているのでビックリした。Kan氏は来ることが確定しているが、A氏の確認は取れていない。このままA氏が来ないと、1人前余計に頼んだことになるわけで、私は責任を感じるばかりである。
ただ、全体的に対局時の話が少ない。みんな満足のいく成績だったので、悔しさを露わにする必要がないのかもしれない。
「今日は全然売れなかった」
と星野氏がため息をつく。アカシヤ書店の売り上げのことだ。社団戦の参加は従来の5分の1。控え選手もあまりいないし、対局場の滞在時間も短い。それが売り上げに響いたのだろう。
このあたりでKan氏が来た。A氏は仕事で来られないようだ。
では改めて、席の配置を記しておこう。
藤原父 Kan 山野 藤宮
□ □ 壁
一公 山本 星野
壁
Kan氏にチームの順位を聞くと、14チーム中2位に上がっていた。今回木村晋介会長が参戦しなかったのは残念だったが、結果オーライである。
最初は2:4で飲んでいたので、こちらはつまみが余り気味。Kan氏も少食なので、とうていこのテーブルでは捌ききれない。私の早合点が申し訳なかったが、食べきれない分は、隣に手伝ってもらったりした。
星野氏が、「大沢さん、来月の18日(17日の誤り)は空いてる?」と言う。将棋ペンクラブで将棋会をやるらしい。社団戦シーズンオフの定番で、私も何回か参加したことがあるが、今年は早くも10月にやるらしい。
何とかいう施設名を星野氏が言ったが、よく分からない。星野氏が「オレのメールへ空メールを送ってくれ」と言ったが、お互いメアドを知らないんだから、そもそも送れない。
だが星野氏はメアドを忘れ、名刺も切らしていて、私は結局、施設名が分からずじまいだった。
ところで、将棋会なら「魚百」ではないのか?
それを聞くと、廃業してしまったという。
「やめた!?」
私は絶叫した。コロナ禍の影響だという。酔の助が廃業したのは知っていたが、魚百まで潰れるとは……!!
藤原父氏は神保町在住なので魚百の前を通ることが多かったが、ガラガラ続きだったという。あの店の雰囲気が好きだったが、何てことだ。コロナ閉店は実際にあるのだ。
しかしここの常連だった星野氏の落胆はいかばかりか。私も旅先で、馴染みの店を多く失くしているので、その気持ちはよく分かるのである。星野氏は、次の常連店を探すしかない。
私「将棋ペンクラブ大賞の贈呈式は、ホントだったら昨日あたり(9月25日)にあったんですね」
Kan氏「そうだね。でもどっちにしてもダメだったよ。レストランアラスカが閉店しちゃったし」
「え……閉店!?」
聞くと、贈呈式の会場だった竹橋パレスサイドビル内のレストランアラスカパレスサイド店が、このコロナ禍で閉店してしまったという。アラスカよ、あんたもか!!
大賞贈呈式の会場としてようやく定着してきたのに、残念なことだ。それにしてもコロナの脅威よ。コロナはすべての生活を変えてしまった。
それにしても、つまみが次から次へとくる。注文は藤宮氏が一括して頼んでいるらしいが、若者基準で考えていないか? さすがに腹がいっぱいになってきた。
今日はマイナビ女子オープンが行われていた。藤原父氏がその結果を調べている。私も調べればいいのだが、面倒くさいので、しない。
父氏に聞くと、渡部愛女流三段はアマに敗れたらしい。渡部女流三段は男性棋士にもたびたび勝つから強いことは間違いないが、相手の棋力に合わせて指す癖がある。アンタとは大駒1枚違う、くらいの感じでふてぶてしく指せばいいと思う。
場も盛り上がり、会報に載った川柳の話や、観戦記談義に移る。いろいろあるが、私たちは自信を持って大賞作品を推している、ということを再認識した。
ほどよき時刻になり、これで散会である。会計では、星野氏が多く出してくれた。本が売れなかったのに、ありがとうございます。といっても、1人4,000円の出費となった。
最終第3日は、11月1日(日)。ここまで来たら、残り3戦も全勝を、そして1位を狙う。
今回のバス乗車時はあらかじめSuicaを用意し、大人しく乗って帰った。
なお、後日Kan氏からメールがあり、神保町での将棋会は中止になった。残念である。