一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

叡王戦はどうなった

2020-10-31 00:23:29 | 男性棋戦
29日は待望の叡王戦説明会があった。第5期七番勝負が9月21日に終わったものの次期予選が始まらず、私たち将棋ファンはヤキモキした。10月20日の就位式において主催のドワンゴから「主催解除」の言葉があり、私たちはこの29日の説明会を、首を長くして待っていたのである。
結果を書けば、第6期より株式会社不二家が主催することになった。将棋連盟が共催し、レオス・キャピタルワークス株式会社、株式会社SBI証券が特別協賛するとのこと。
契約金は減少されたようで、序列は第3位から第6位に落ちた。すなわち、

竜王・名人・王位・王座・棋王・叡王・王将・棋聖

の順番となる。システムはこれまでと同じ段位別予選、16名による本戦トーナメント。持ち時間も予選1時間、本戦3時間と変わらぬが、タイトル戦七番勝負は五番勝負に短縮され、持ち時間は1時間・3時間・5時間の変動制から4時間に一本化された。
タイトル戦の持ち時間1時間は一日2局で、序列3位にしてはあまりに重みがないと感じていた。第6期以後もチェスクロック使用とはいえ、持ち時間が4時間に戻ったのはうれしい。やはりタイトル戦は、ある程度の時間を取り、対局者が精魂込めて考えた手を盤上に表現してもらいたいのだ。なお五番勝負は7月下旬から行われる。

事前の噂では、時々叡王戦を中継していた関係から、ABEMAが引き継ぐのではと見られていた。それが洋菓子メーカーの不二家とは、大いに意表を衝かれた形である。これは将棋連盟の営業の成果なのか、それとも不二家が自発的に名乗りを挙げたのか。恐らく両方だと思うが、とにかく異色のスポンサー誕生となった。
不二家では対局中にお菓子の差し入れも考えているとのことで、厳しい戦いの中にも癒しのひと時が提供されるようである。
それにしても、ドワンゴは何だったのだろう。
いままで将棋の公式戦といえば新聞社がスポンサーというのが相場で、そこにIT関連企業の雄が参入したから、新しい時代の到来を思わせた。
だがドワンゴは、叡王戦が創設されてから5年、タイトル戦に昇格してからたった3年で、それを手放してしまった。もっと長期的展望で叡王戦を育むとフンでいたから、私は大いに失望した。一説には社長が交代し、将棋への理解がなかったから解除の運びになったとも云われているが、どれだけワンマンな体質なのかと思う。
私もこれまで、ニコ生で叡王戦中継を見ようとはした。だが、いつも入場者多数で入れなかった。いくらかを課金すれば見られたが、私はおカネを払ってまで将棋を見ない。よって、ABEMAでの中継しか見なかった。もし私と同じパターンの将棋ファンがいたとしたら、ドワンゴにとって不幸なことだった。
不二家も棋戦を主催するなら「不二家杯」の一般棋戦でもよかったものを、よく「叡王」の名称を引き継いだと思う。
似た例ではこの前、白玲戦の創設に伴い、清麗戦の主催がヒューリックから大成建設に移った。しかしこれは棋戦の発展に伴う主催者の変更だったから、清麗戦の名称が残ったのはまあ分かる。だが今回の名称継続は、不二家にとって、ほとんどメリットはないのだ。
私はヘンなところで、不二家の太っ腹を見たのである。
五番勝負が7月~9月にズレたのもよい。いままでは名人戦と丸被りで、今年は両方の七番勝負に出ていた豊島将之竜王がかわいそうだった。
思えば第3期叡王戦が、金井恒太六段と高見泰地六段、すなわち順位戦C級1組とC級2組の七番勝負。第4期は永瀬拓矢七段が挑戦し、高見叡王涙の敗退、となった。そして第5期は史上初の「第9局」と、ドワンゴはドワンゴなりに、話題は提供してくれたと思う。ドワンゴ様、ありがとうございました。
新生叡王戦は、きょう31日から予選が始まる。いままでと変わらぬ熱い戦いを期待したい。
コメント (2)
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