一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3年振りの咲緒里(2)

2020-10-28 00:15:22 | LPSA麹町サロンin DIS

第4図以下の指し手。▲2六桂△3六歩▲同歩△6五桂▲5六銀直△7五歩▲6五銀△同歩▲7五歩(第5図)

私は島井咲緒里女流二段に△3四銀と引き揚げさせないため、▲2六桂と打った。果たして島井女流二段も「やっぱり……」とつぶやく。△3六歩▲同歩と味をつけ、△6五桂。
これに▲4八銀なら△5六歩で、▲4九桂と打てない下手が悪くなる。よって▲5六銀直と立ったが、そこで△7五歩が鋭かった。私も振り飛車は好きだが、この△7五歩のような手が指せない。つまり私の振り飛車はニセモノなのだ。
これを▲7五同歩は△7七歩で下手陣はもたない。そこで▲6五銀から▲7五歩としたが、駒損になったうえ、まだ敵の△4五銀がのさばっている。何より▲2六桂が半分邪魔駒と化しているのがひどい。▲2六桂はマズかったと、この辺りで気付いた。

第5図以下の指し手。△3八歩▲4八桂△3九歩成▲3七桂△4九と▲4五桂△同歩▲5六桂△6六桂▲同銀△同歩▲6四歩△7三金(第6図)

△3八歩が小粋な手で、シビれた。これを▲同飛は△2七銀打で、この攻めは振りほどけない。よって▲4八桂と据えた。これも気が利かないが、一応△3六銀出を抑えている。
△3九歩成には▲3七桂。先崎学九段著「駒落ちのはなし」の四枚落ちの項に、▲9一歩成に△7三桂と跳ぶ変化が出てくるが、あれと近いニュアンスだ。
△4九とには▲4五桂が角取りの先手。やむない△同歩で駒の損得がなくなり、▲5六桂と逃げてやや持ち直したと思った。が、△6六桂が痛打で、まだ下手が悪い。
▲6六同銀△同歩に▲同角は、△6五銀と先着されて負ける。そこで▲6四歩△7三金を利かし、次の手は。

第6図以下の指し手。▲6五桂△5五角▲7三桂成△同玉▲7四金△8二玉▲6三歩成△7七歩▲同角△8五桂(第7図)

第6図で逆に△6五銀と打たれては負けなので私は▲6五桂と打ったが、ここは直接▲7四桂だったかもしれない。打つ直前に気づいたが、遅かった。
本譜は△5五角が気持ちのいい飛び出しである。直接的は▲2八飛取りだが、受けては6四―7三の地点を守り、△6七銀の打ち込みや△6七歩成も見ている。
▲7三桂成には当然△同玉。対して▲7四金は▲7四銀と迷ったが、相手の指し手を限定はできる▲7四金とした。
△8二玉に▲6三歩成は迫っているようだが、攻め駒が1枚足りない。
ここで上手に手番が回り、手段がいっぱいあるが、島井女流二段は△7七歩を選択した。これに▲8九玉ならこちらも手駒が増えるが指し切れず▲7七同角。だが△8五桂が厳しく、ここで負けを覚悟した。

第7図以下の指し手。▲6四桂△7七桂成▲同玉△6七歩成▲同玉△8五角▲7六桂△7四角(投了図)
まで、84手で島井女流二段の勝ち。

私は▲7二とと銀を取りたいが、△同飛で▲7四金が質駒になり、面白くない。そこで5六の逃げ道を作りつつ、敵角の利きを遮るべく、▲6四桂と跳んだ。
しかし島井女流二段の△7七桂成~△6七歩成の両王手が厳しい。▲同玉△8五角に、力なく▲7六桂と打つ。そこで△7四角と指されて愕然。全然見えなかった。これは投了である。

とりあえず感想戦に入る。私の後悔は第4図からの▲2六桂で、こんなところに打つ手はなかった。島井女流二段もこの手は見えていたが、銀を取り切るのに手間がかかりそうなので、指せると思ったという。ここは▲1六歩と角出を消しておくくらいで、一局。桂は別の箇所に使うべきだった。
私も指導対局は数多く受けているのに、いまだにこんな筋の悪い手を指す。もう、全然成長していないのである。
ほかの2人には悪いが、もう少し感想戦を続ける。考えてみたら、女性と話をするのは久し振りなのだ。
第5図からの△3八歩に▲同飛は△2七銀打▲3九飛に△1五角が島井女流二段の予定。なるほどこれで上手必勝だ。こうなるとホントに▲2六桂が愚手だったと分かる。
また第6図からの▲7四桂は、△9二玉だと▲9五歩が妖しいが、△7四同金で上手指せる、の結論になった。このあたり、私は自信がなかったのだが、島井女流二段は難しいと思っていたらしい。
さらに第7図からの▲6四桂は、▲7三銀(参考A図)を恐れていたという。これに△同銀は▲同と△同角▲同金△同玉▲6四角で、下手はだいぶ望みが出る。といって▲7三銀に△9二玉は、▲7二とが詰めろ。ところがそこで△7七桂成▲同玉△6七歩成▲同玉△8五角▲7六桂△6六銀▲6八玉△7七銀成(参考B図)で詰むことが分かった。


そうそう、詰み筋は見えなかったが、下手玉が危険そうだったので、▲5六の桂を跳ねた意味もあるのだ。
なんだかどの変化も上手勝ちで、上手快勝の図を補完するような感想戦になっている。それにしても島井女流二段はいろいろな変化を考えていると思った。ここがプロとアマの違いであろう。
さらに最後の最後、△8五角の王手には、空いた5六の地点に▲5六玉(参考C図)と考えていたという。

ああ、△8五角には合駒しか考えていなかった……。島井女流二段はそこで△5四銀を考えていたというが、それは下手も▲6七桂とか、もう少し粘れそうな気がする。
「だから最後まで難しいと考えていたんですよ」
▲5六玉は後でも指せると思っていた。△7四角が見えていなかったから、しょうがない。時間は午後4時ちょうど。まだ時間は残っており、私は失意の再戦である。
(つづく)
コメント
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