一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

夢はつづく

2023-08-08 22:53:57 | 女流棋戦
きょう8日は、第13期女流王座戦本戦2回戦、渡部愛女流三段VS野原未蘭女流初段戦が行われた。
渡部女流三段はLPSAのエースを長いこと張っており、いまもその地位はまったく揺らいでいない。第29期女流王位戦では里見香奈女流王位からタイトルを奪取。しかしその後は戴冠はなく、本人はもちろん、周りも消化不良となっている。渡部女流三段は上位にも勝つがアマにも負けることがあり、その不安定の克服がカギだ。
野原女流初段は2020年9月1日のデビューだから約3年になるが、毎年よく勝っている印象がある。女流二段には勝ち星昇段でなく、タイトル挑戦などの特例で昇段しそうな雰囲気はあるのだが、現実は里見女流五冠や西山朋佳女流三冠がいるので難しい。しかしとにかく、勝ち進んでいくしかない。
将棋は野原女流初段の先手で、力戦相居飛車となった。前日の加藤桃子女流四段VS堀彩乃女流1級戦も相居飛車だったが、女流棋士は対抗形というイメージがあるので、いまのところはまだ、相居飛車も新鮮である。
ちなみにきょうは第5期清麗戦第3局・里見清麗VS西山女流三冠戦が行われているが、こちらは期待通り?対抗形だった。
渡部女流三段、△9四銀と異筋に出る。ここは△9五銀を防いで▲9六歩としたいが、それは△8六歩▲同歩△同飛がある、とサイトの解説である。
しかしそのとき▲9五歩として、△8三銀なら▲8二歩があると思うのだが、どうか。先手が桂得にはなるが8筋がガラ空きなので、危険なのかもしれない。
本譜は華麗な攻め合いになったが、第一弾で△8八歩と打ち捨てたのが手筋。当ブログで何度も書いているが、渡部女流三段は歩の使い方がうまい。女流版「小太刀の名手」というところだ。
さらに進んで、△3七歩成▲同金と金を上擦らせたあと、△6六歩と合わせたのがまた好手。これは野原女流初段がくたびれる展開だろうなと思った。
だが数手後の▲6七歩に、△同銀成と切り込んだのが、上手の手から水が漏れた。
ここは△8八角成とこちらを先にすれば、変化の余地なく後手が勝っていた。本譜は粘りの順が生じ、私が渡部女流三段側を持っていたらここで正着に気づき、以下の指し手が乱れるところ。
しかし渡部女流三段は踏ん張った。野原玉に1七まで逃げこされたものの、的確に追い詰め、制勝した。
消費時間は、野原女流初段が2時間34分、渡部女流三段が3時間全部だった。このくらい考えれば、どちらも悔いはないのではなかろうか。
渡部女流三段は女流王座戦初のベスト4進出。次局は加藤女流四段と当たり、堀女流1級の敵を討つ。その先には西山女流三冠もいるからまだ道は険しいが、ぜひ挑戦権を勝ち取ってもらいたい。
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