ついにこの日がやってきた。8月4日、第71期王座戦挑戦者決定戦である。対局者は藤井聡太竜王・名人と豊島将之九段。
藤井竜王・名人の挑決進出は当然にも思えるが、挑戦者決定トーナメント2回戦の村田顕弘六段戦は大苦戦で、負けてもおかしくなかった。そこを勝ち切るあたり、八冠ロードへの序章という気もするのである。
いっぽうの豊島九段は、「藤井聡太被害者の会」があれば渡辺明九段と並んで筆頭に名を連ねる存在。本局はタイトル戦番勝負ではないが、もし勝てば藤井七冠の八冠を一時的に阻止した殊勲者として、男を上げることができる。
注目の先後は、藤井竜王・名人の先手となった。聞くところによると、藤井竜王・名人は先後の違いで勝率が2割違うらしい。となれば、もう藤井竜王・名人が勝ったようなものである。
将棋は相居飛車の力戦形となった。豊島九段の振り飛車は100%ないと思ったが、この戦型は意外だった。
将棋は夕方まで互角だったが、夜にABEMAを見たら、形勢バーは「藤井77:23豊島」となっていた。まあそうであろう。そしてこうなったら、藤井竜王・名人は逃すまい。
ところが、藤井竜王・名人が竜を引いた手が緩手で、もう互角に戻ってしまった。
以下数手進んで、今度は「藤井23:77豊島」となった。藤井竜王・名人にしてこの展開。やはり局面が複雑なのだろう。
豊島九段はとうに1分将棋だったが、藤井竜王・名人も1分将棋に突入した。藤井竜王・名人が優勢のときの1分は余裕があるが、互角以下の場合、さすがに最善手を続けるのは至難だ。これは豊島九段、イケるんじゃないか?
というところで、豊島九段がヒョイと玉を引いた手が大悪手。一気に「藤井95:5豊島」となった。
形勢の乱高下は終盤のお約束だが、豊島九段にしてこれがある。さすがにこれは藤井竜王・名人が勝ちになった。
と思いきや、また藤井竜王・名人が緩手を連発し、また豊島九段が有利になった。これが1分将棋の恐さで、見ているこちらが緊張感の極みになる。それが対局者ならなおのことだ。まったく、棋士という職業は健康によろしくない。
藤井竜王・名人はシャニムニ攻める。これに豊島九段が受けを誤った。これ、野球でいえば9回の攻防みたいなもので、ここでの失着は致命的である。
結局、159手まで藤井竜王・名人の勝ちとなった。
豊島九段も、ダメだった。ただ、本局は紛れもない名局である。藤井竜王・名人がほかの棋士より香一本強いから、その藤井竜王・名人を負かすような展開になれば、必然的に名局のレベルに達するのだ。本局の観戦記者は、これだけの名記譜を与えられたわけで、名文を書かねばならない。
さあ、藤井竜王・名人が王座戦に登場である。1年間で8つのタイトル戦登場はもちろん初めて。そして獲得となれば、21歳での八冠王となる。そしてそれには、あと「3勝2敗」でいいのだ。これはいよいよ、私たちは歴史の目撃者になるのか。
ああ、王位戦を忘れていた。
藤井竜王・名人の挑決進出は当然にも思えるが、挑戦者決定トーナメント2回戦の村田顕弘六段戦は大苦戦で、負けてもおかしくなかった。そこを勝ち切るあたり、八冠ロードへの序章という気もするのである。
いっぽうの豊島九段は、「藤井聡太被害者の会」があれば渡辺明九段と並んで筆頭に名を連ねる存在。本局はタイトル戦番勝負ではないが、もし勝てば藤井七冠の八冠を一時的に阻止した殊勲者として、男を上げることができる。
注目の先後は、藤井竜王・名人の先手となった。聞くところによると、藤井竜王・名人は先後の違いで勝率が2割違うらしい。となれば、もう藤井竜王・名人が勝ったようなものである。
将棋は相居飛車の力戦形となった。豊島九段の振り飛車は100%ないと思ったが、この戦型は意外だった。
将棋は夕方まで互角だったが、夜にABEMAを見たら、形勢バーは「藤井77:23豊島」となっていた。まあそうであろう。そしてこうなったら、藤井竜王・名人は逃すまい。
ところが、藤井竜王・名人が竜を引いた手が緩手で、もう互角に戻ってしまった。
以下数手進んで、今度は「藤井23:77豊島」となった。藤井竜王・名人にしてこの展開。やはり局面が複雑なのだろう。
豊島九段はとうに1分将棋だったが、藤井竜王・名人も1分将棋に突入した。藤井竜王・名人が優勢のときの1分は余裕があるが、互角以下の場合、さすがに最善手を続けるのは至難だ。これは豊島九段、イケるんじゃないか?
というところで、豊島九段がヒョイと玉を引いた手が大悪手。一気に「藤井95:5豊島」となった。
形勢の乱高下は終盤のお約束だが、豊島九段にしてこれがある。さすがにこれは藤井竜王・名人が勝ちになった。
と思いきや、また藤井竜王・名人が緩手を連発し、また豊島九段が有利になった。これが1分将棋の恐さで、見ているこちらが緊張感の極みになる。それが対局者ならなおのことだ。まったく、棋士という職業は健康によろしくない。
藤井竜王・名人はシャニムニ攻める。これに豊島九段が受けを誤った。これ、野球でいえば9回の攻防みたいなもので、ここでの失着は致命的である。
結局、159手まで藤井竜王・名人の勝ちとなった。
豊島九段も、ダメだった。ただ、本局は紛れもない名局である。藤井竜王・名人がほかの棋士より香一本強いから、その藤井竜王・名人を負かすような展開になれば、必然的に名局のレベルに達するのだ。本局の観戦記者は、これだけの名記譜を与えられたわけで、名文を書かねばならない。
さあ、藤井竜王・名人が王座戦に登場である。1年間で8つのタイトル戦登場はもちろん初めて。そして獲得となれば、21歳での八冠王となる。そしてそれには、あと「3勝2敗」でいいのだ。これはいよいよ、私たちは歴史の目撃者になるのか。
ああ、王位戦を忘れていた。