第64期王位戦第5局である。ここまで藤井聡太王位の3勝、佐々木大地七段の1勝。佐々木七段は前局に引き続き後がないが、本局を取れば、ひょっとしたら…という展開になる。
いっぽうの藤井王位はまだ余裕があるが、この31日から第71期王座戦の挑戦手合いが始まる。藤井王位としては、その前に王位戦を片付けておきたいところだ。
対局開始。藤井王位は飛車先の歩を突く。対して佐々木七段は角道を開けた。これは横歩取りのニオイである。最近はどこもかしこも相掛かりか角換わりで食傷気味だから、この選択はまだ新鮮味がある。果たして本譜も、横歩取りに進んだ。これは目先が変わって面白い。
もっとも王位戦では第1局で横歩取りが出現し、先手の藤井王位が制勝している。それも含めて、佐々木七段は対藤井戦の後手番で5連敗中である。つまりふつうの指し方をしていては負ける。同じ横歩取りでも、佐々木七段がどんな趣向を見せるか。それが興味の焦点となった。
佐々木七段は角を換わり左金を立ち、相手の手に乗って向かい飛車にした。ちょっと阪田流向かい飛車の味もあるが、これが佐々木七段の回答で、前例のない戦いになった。
ABEMA AIは藤井王位が2~3%よいが、これは互角の範囲。藤井王位の飛車は外側からぐるっと回り、8九に落ち着いた。ちょっと異色の相向かい飛車である。
藤井王位、4筋の歩を突く。この時点で、藤井王位のほうが56分多く消費している。藤井王位に勝つには、終盤までより多く、持ち時間を残しておくことだと思う。これから山あり谷ありの終盤戦に突入するが、そこで持ち時間に余裕がないと、藤井王位のスーパーコンピューターには勝てない。
ところが、ここで佐々木七段の手がピタリと止まってしまった。まあたしかにこの局面は候補手が山ほどあり、それを枝葉末節まで読んだら、時間がいくらあっても足りない。だが、読めば読むほど面白く、時間が経つのを忘れる局面でもある。そして、それを読みつぶすこと自体が、強者の証明でもある。
結局、佐々木七段は封じ手までなだれ込んでしまった。まあ確かにここまで来たら、おのが読みの結論を披露するより、最後までシークレットにし、藤井王位にその応手を朝から考えてもらったほうがよい。
佐々木七段、124分の大長考で封じる。関係者もおのおの封じ手予想をしたが、皆さん手が違う。私は、ここまで佐々木七段が考えたのだから、攻めの△3五歩と予想するが、どうか。
いずれにしても、2日目も、アツい戦いとなる。
(つづく)
いっぽうの藤井王位はまだ余裕があるが、この31日から第71期王座戦の挑戦手合いが始まる。藤井王位としては、その前に王位戦を片付けておきたいところだ。
対局開始。藤井王位は飛車先の歩を突く。対して佐々木七段は角道を開けた。これは横歩取りのニオイである。最近はどこもかしこも相掛かりか角換わりで食傷気味だから、この選択はまだ新鮮味がある。果たして本譜も、横歩取りに進んだ。これは目先が変わって面白い。
もっとも王位戦では第1局で横歩取りが出現し、先手の藤井王位が制勝している。それも含めて、佐々木七段は対藤井戦の後手番で5連敗中である。つまりふつうの指し方をしていては負ける。同じ横歩取りでも、佐々木七段がどんな趣向を見せるか。それが興味の焦点となった。
佐々木七段は角を換わり左金を立ち、相手の手に乗って向かい飛車にした。ちょっと阪田流向かい飛車の味もあるが、これが佐々木七段の回答で、前例のない戦いになった。
ABEMA AIは藤井王位が2~3%よいが、これは互角の範囲。藤井王位の飛車は外側からぐるっと回り、8九に落ち着いた。ちょっと異色の相向かい飛車である。
藤井王位、4筋の歩を突く。この時点で、藤井王位のほうが56分多く消費している。藤井王位に勝つには、終盤までより多く、持ち時間を残しておくことだと思う。これから山あり谷ありの終盤戦に突入するが、そこで持ち時間に余裕がないと、藤井王位のスーパーコンピューターには勝てない。
ところが、ここで佐々木七段の手がピタリと止まってしまった。まあたしかにこの局面は候補手が山ほどあり、それを枝葉末節まで読んだら、時間がいくらあっても足りない。だが、読めば読むほど面白く、時間が経つのを忘れる局面でもある。そして、それを読みつぶすこと自体が、強者の証明でもある。
結局、佐々木七段は封じ手までなだれ込んでしまった。まあ確かにここまで来たら、おのが読みの結論を披露するより、最後までシークレットにし、藤井王位にその応手を朝から考えてもらったほうがよい。
佐々木七段、124分の大長考で封じる。関係者もおのおの封じ手予想をしたが、皆さん手が違う。私は、ここまで佐々木七段が考えたのだから、攻めの△3五歩と予想するが、どうか。
いずれにしても、2日目も、アツい戦いとなる。
(つづく)