第36期竜王戦挑戦者決定戦第1局が7月31日に行われた。対局者は永瀬拓矢王座(1組3位)と伊藤匠六段(5組優勝)。
永瀬王座の挑決進出は当然考えられることだが、伊藤六段のそれは快挙だ。なにしろ、ランキング戦5組在籍で挑決進出は初。5組だから決勝トーナメントも最下位からの勝ち上がりで、5勝を要した。
伊藤六段は2020年10月、17歳で四段デビュー。当時から大器と期待され、実際に勝ってはいたのだが、藤井聡太竜王・名人の活躍がケタ外れで、相当陰に隠れていた。
しかし伊藤六段は今年度に入り爆発し、この対局の前まで15勝2敗。通算成績も104勝30敗(.776)は驚異的な数字だ。伊藤六段は、挑決に進出するべくして進出したのである。
そして永瀬王座との対戦成績だが、伊藤六段の2勝0敗。C級棋士がA級のタイトルホルダーと対戦すること自体が難儀なのだが、腰の重い永瀬王座に2戦2勝は、それだけで大器といえる。
ちなみに1局目は第63期王位戦予選で、伊藤四段が2勝したところで、運よく永瀬王座と当たった。これに勝った伊藤四段は、そのままリーグ入りした。
2局目は第48期棋王戦で、伊藤五段は予選で5連勝したあと、本戦トーナメントで1勝し、永瀬王座に当たった。これがふつうで、このくらい勝たないと、タイトルホルダーとは当たらないのだ。
注目の挑決第1局は伊藤六段の先手で、角換わりになった。ただし、永瀬王座が一手損角換わりに出た。一手損をしても、角換わりの将棋に持ち込みたかったのだろうか。
その後は相腰掛け銀になり、お互い飛車を引く例の形になった。将棋はもっといろいろな戦法があるのだが、まあ仕方ない。
その後、伊藤六段が右桂を跳ねたが、歩で取られてしまった。俗に「桂馬の高跳び歩の餌食」というが、格言は時代とともに変わってくる。本局は純粋な桂損になったが、相手玉の頭に風穴を開け、桂損でも釣り合いは取れているという読みなのだろう。ただ、私には理解できない。
伊藤六段は飛車を6筋に回す。永瀬王座は角を受けたが、5手後にその角を別の筋へ飛び出してしまった。これが予定の行動なら異能の極みで、超一流棋士の考えることは皆目分からない。
伊藤六段はよろこんで?角を打ち、6筋突破に成功。これは負けられない戦いになったのではないか。
そして伊藤六段は、銀を犠牲に飛車成りを急ぐ。この展開も理解不能だが、この取引も、伊藤六段がポイントを挙げたように思える。
実際そうだったようで、この後伊藤六段はいったん受けに回り、永瀬王座の突撃を受け切り、一手のスキを衝いて華麗に収束したのだった。一局を通じ、伊藤六段が落ち着いて指しているように思えた。
いやはや、気鋭の20歳がついに、檜舞台まであと1勝となった。出る棋士出る棋士、みんな藤井竜王・名人に負けて、もうキャラクターがいないと思っていたが、とんだ隠し玉があった。もう、永瀬王座には王座戦に専念していただいて、竜王戦は伊藤六段でどうだろうか。
注目の第2局は、14日(月)である。
永瀬王座の挑決進出は当然考えられることだが、伊藤六段のそれは快挙だ。なにしろ、ランキング戦5組在籍で挑決進出は初。5組だから決勝トーナメントも最下位からの勝ち上がりで、5勝を要した。
伊藤六段は2020年10月、17歳で四段デビュー。当時から大器と期待され、実際に勝ってはいたのだが、藤井聡太竜王・名人の活躍がケタ外れで、相当陰に隠れていた。
しかし伊藤六段は今年度に入り爆発し、この対局の前まで15勝2敗。通算成績も104勝30敗(.776)は驚異的な数字だ。伊藤六段は、挑決に進出するべくして進出したのである。
そして永瀬王座との対戦成績だが、伊藤六段の2勝0敗。C級棋士がA級のタイトルホルダーと対戦すること自体が難儀なのだが、腰の重い永瀬王座に2戦2勝は、それだけで大器といえる。
ちなみに1局目は第63期王位戦予選で、伊藤四段が2勝したところで、運よく永瀬王座と当たった。これに勝った伊藤四段は、そのままリーグ入りした。
2局目は第48期棋王戦で、伊藤五段は予選で5連勝したあと、本戦トーナメントで1勝し、永瀬王座に当たった。これがふつうで、このくらい勝たないと、タイトルホルダーとは当たらないのだ。
注目の挑決第1局は伊藤六段の先手で、角換わりになった。ただし、永瀬王座が一手損角換わりに出た。一手損をしても、角換わりの将棋に持ち込みたかったのだろうか。
その後は相腰掛け銀になり、お互い飛車を引く例の形になった。将棋はもっといろいろな戦法があるのだが、まあ仕方ない。
その後、伊藤六段が右桂を跳ねたが、歩で取られてしまった。俗に「桂馬の高跳び歩の餌食」というが、格言は時代とともに変わってくる。本局は純粋な桂損になったが、相手玉の頭に風穴を開け、桂損でも釣り合いは取れているという読みなのだろう。ただ、私には理解できない。
伊藤六段は飛車を6筋に回す。永瀬王座は角を受けたが、5手後にその角を別の筋へ飛び出してしまった。これが予定の行動なら異能の極みで、超一流棋士の考えることは皆目分からない。
伊藤六段はよろこんで?角を打ち、6筋突破に成功。これは負けられない戦いになったのではないか。
そして伊藤六段は、銀を犠牲に飛車成りを急ぐ。この展開も理解不能だが、この取引も、伊藤六段がポイントを挙げたように思える。
実際そうだったようで、この後伊藤六段はいったん受けに回り、永瀬王座の突撃を受け切り、一手のスキを衝いて華麗に収束したのだった。一局を通じ、伊藤六段が落ち着いて指しているように思えた。
いやはや、気鋭の20歳がついに、檜舞台まであと1勝となった。出る棋士出る棋士、みんな藤井竜王・名人に負けて、もうキャラクターがいないと思っていたが、とんだ隠し玉があった。もう、永瀬王座には王座戦に専念していただいて、竜王戦は伊藤六段でどうだろうか。
注目の第2局は、14日(月)である。