佐々木大地七段の封じ手は、端に角を打つ手だった。対して藤井聡太王位も1時間以上の考慮で銀を上がる。
佐々木七段は歩の合わせから歩得を果たし、ABEMA AIではわずかに佐々木七段が指しやすくなった。
そこで藤井王位が5筋に角を据えたのが、私的には好手に見えた。8筋からの殺到が、後手は分かっていても防げないのだ。
佐々木七段は5筋の歩を伸ばし角を詰ましたが、藤井王位はと金を作り、6筋の銀を取る。これが▲5二銀までの詰めろになっていて、佐々木七段はここで後手を引いたのが痛かった。「居玉は避けよ」の格言は令和の現代では疑わしいが、今回に限っては、居玉の弊害が出てしまった。
と、藤井王位は5筋の歩を取る。これも私が感心した一手で、忙しいときにじっと手を渡す呼吸が、アマにはなかなかできない。
もっとも藤井王位は別の構想を描いていて、藤井王位はその空間に玉を上げ、後手の角筋から逃れた。いつもながら弾力性のある藤井玉。「玉さばき」では木村一基九段に定評があるが、藤井王位のそれも絶品だ。
AIの評価も藤井王位に傾いた。将棋には、形勢が逆転しやすい形とそうでない形があるが、本局は明らかに後者である。この差は縮まらないな、というのが衆目の一致するところだった。
果たしてここからは、両者の形勢が徐々に離れていった。
最後は藤井王位が、質駒の金を飛車で取りに行き、ABEMA解説の勝又清和教授が「七番勝負が終わっちゃうんですね」と嘆息した。6月5日から始まったダブルタイトル戦も、終わろうとしているのだ。
果たしてこの局面で、佐々木七段が投了した。藤井王位、勝利の飛車切りだった。
終わってみれば、藤井王位の4勝1敗。もう、ただ一言、「強い」しかない。もっとも藤井王位に言わせれば、全局難しい戦いだったのだろう。だけど星の上では、余裕の防衛だった。タイトル戦17回全勝は、理解不能の快記録である。
佐々木七段も敗れはしたが、勝った2局は快勝だった。藤井王位・棋聖と9局もタイトル戦を指し、得るものは大きかったと思う。またのタイトル戦登場を、心から期待している。
そして改めて、藤井七冠である。七冠の保持が確定し、八冠目のタイトル戦がすぐそこ。これは、羽生善治七冠の瞬間最大風速を上回ったことになる。もうなんだか、藤井七冠の戦績が人間離れしていて、これは現実のことかと思えてくる。藤井七冠がいなかったころが、懐かしくさえ思えてくるのだ。
と、感傷に浸っていてもしょうがない。31日からの王座戦五番勝負を楽しみにしようか。
佐々木七段は歩の合わせから歩得を果たし、ABEMA AIではわずかに佐々木七段が指しやすくなった。
そこで藤井王位が5筋に角を据えたのが、私的には好手に見えた。8筋からの殺到が、後手は分かっていても防げないのだ。
佐々木七段は5筋の歩を伸ばし角を詰ましたが、藤井王位はと金を作り、6筋の銀を取る。これが▲5二銀までの詰めろになっていて、佐々木七段はここで後手を引いたのが痛かった。「居玉は避けよ」の格言は令和の現代では疑わしいが、今回に限っては、居玉の弊害が出てしまった。
と、藤井王位は5筋の歩を取る。これも私が感心した一手で、忙しいときにじっと手を渡す呼吸が、アマにはなかなかできない。
もっとも藤井王位は別の構想を描いていて、藤井王位はその空間に玉を上げ、後手の角筋から逃れた。いつもながら弾力性のある藤井玉。「玉さばき」では木村一基九段に定評があるが、藤井王位のそれも絶品だ。
AIの評価も藤井王位に傾いた。将棋には、形勢が逆転しやすい形とそうでない形があるが、本局は明らかに後者である。この差は縮まらないな、というのが衆目の一致するところだった。
果たしてここからは、両者の形勢が徐々に離れていった。
最後は藤井王位が、質駒の金を飛車で取りに行き、ABEMA解説の勝又清和教授が「七番勝負が終わっちゃうんですね」と嘆息した。6月5日から始まったダブルタイトル戦も、終わろうとしているのだ。
果たしてこの局面で、佐々木七段が投了した。藤井王位、勝利の飛車切りだった。
終わってみれば、藤井王位の4勝1敗。もう、ただ一言、「強い」しかない。もっとも藤井王位に言わせれば、全局難しい戦いだったのだろう。だけど星の上では、余裕の防衛だった。タイトル戦17回全勝は、理解不能の快記録である。
佐々木七段も敗れはしたが、勝った2局は快勝だった。藤井王位・棋聖と9局もタイトル戦を指し、得るものは大きかったと思う。またのタイトル戦登場を、心から期待している。
そして改めて、藤井七冠である。七冠の保持が確定し、八冠目のタイトル戦がすぐそこ。これは、羽生善治七冠の瞬間最大風速を上回ったことになる。もうなんだか、藤井七冠の戦績が人間離れしていて、これは現実のことかと思えてくる。藤井七冠がいなかったころが、懐かしくさえ思えてくるのだ。
と、感傷に浸っていてもしょうがない。31日からの王座戦五番勝負を楽しみにしようか。