一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2月4日の4時から男(中編)

2018-02-08 00:11:18 | 新・大野教室
2局目はKom姉さんと。手合いが分からないが、平手にした。将棋はKom姉さんの居飛車に、私の四間飛車。
2つ隣の盤では、Kaz―U戦が行われており、これはおもしろい取組だ。
Kom姉さんは棒銀。私も何となく形通り指し、Kom姉さんは仕掛けてきた。

第1図以下の指し手。▲3五歩△3二飛▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲8八角△3五歩▲3三角成△同桂(第2図)

Kom姉さんは▲3五歩。私はこんなもんだろうと受けたが、この形は△1二香が疑問手になっていて、おもしろくなかったかもしれない。

第2図以下の指し手。▲6六歩△4六歩▲同歩△2七角▲2八飛△5四角成▲6七金右△4九角▲3七銀△2五桂▲4八銀右(第3図)

Kom姉さんは▲6六歩と穏やかに突いたが、別に角の睨みがあるわけではないので、必要なかった。ふつうに▲3二飛でよかったと思う。
私は△4六歩と突き捨て、△2七角~△5四角成。5筋不突きの場合、ここに馬が作れれば大きい。
私はカサにかかって△4九角。Kom姉さんは▲3七銀~▲4八銀右と、いい辛抱だ。この2手を指せる女性はなかなかいない。
Kaz―U戦は、Kaz氏が投了した。さっきは優勢に見えたのだが、何があったのだろう。

第3図以下の指し手。△2七角成▲同飛△同馬▲3二飛△4三銀▲1二飛成(第4図)

Kaz―U戦は、△2九にいたKaz氏の竜が、▲6五角~▲2九角で取られてしまったらしい。
Kaz氏らしからぬポカで、そのまま投了というわけだった。
第3図では、△6七角成▲同金△2七金か、本譜の順か迷った。前者は先手玉を薄くはできるが、結局手駒を持たせるだけだ。それで、ふつうに角を成った。
Kom姉さんは▲3二飛の反撃だが、△4三銀に▲1二飛成は意外。▲3五飛成と引き付けられる方がイヤだった。
数手進んで第5図。

第5図以下の指し手。△4九馬▲2五竜△5八銀▲同金△同馬▲4八銀打△同馬▲同銀△同竜▲6八金△5七金(第6図)

ここに至るまで、先手は▲6九香の受け過ぎがあったが、まだいい勝負である。
第5図で私は△4九馬と突っ込んだが、やや危険だった。△2六馬と我慢すべきだったか。
▲2五竜に△5八銀がダサイ攻めで、あまり自信はなかった。
▲同金△同馬に、Kom姉さんは熟考して▲4八銀打だが、これは二枚換えになってありがたかった。
△4八同竜に▲6八金も薄く、ここは▲6八銀と入れるところと思う。私は△5七金と打ち、これは何とか寄せきれそうに思った。

第6図以下の指し手。▲9五歩△6八金▲同香△6九銀▲7七玉△8八銀▲同玉△6八竜▲9七玉△9五歩▲8六玉△8四香▲8五桂△同香▲同竜△7三桂▲2五竜△9四桂▲9五玉△8四金(投了図)
まで、一公の勝ち。

Kom姉さんは▲9五歩。私は△6八金から△6九銀だがやや雑で、△6八金では△6七銀とかぶせるべきだった。
最後は偶然寄っていた感じで、私もこんな手を指しているようでは、大会では勝てない。

感想戦はOg氏を交えて行われた。
いわく、第2図からの▲6六歩は、この手もある、とのこと。
そして第4図の▲1二飛成は当然▲3五飛成とするところで、次に▲2五竜や▲3四歩などを狙えば、先手も十分戦えたという。
さすがに元奨励会の意見は私たちとは一味違って、いろいろな変化がポンポン飛び出してきて、とても勉強になった。
Kom姉さんはちょっと受け過ぎで、どこかで反撃に転じていれば、十分勝機はあっただろう。
3局目は少し間が空いたが、常連の女性と指すことになった。
彼女は初心者なのだが、努力の甲斐あって、徐々に棋力を伸ばしつつある。今日も私の五枚落ちで、左桂を落とした。
私は△2二銀~△3二金。左の金銀がない場合、下手はスズメ刺しの要領で1筋を攻めて来るが、上手の対応は2つに分かれる。ひとつは「適当なところで1筋を明け渡す」。もうひとつは「全力で受ける」で、私はこちらを採る。すなわち右の金まで動員して、誤魔化しにかかるのである。
これで容易に潰れないが、そこで下手に9筋方面の攻めをやられると上手はもたないのだが、下手はそこまで目がいかないことを私は知っている。
本譜は1筋の攻めがうまくいかず女性も困惑気味だが、五枚落ちのハンデは大きく、まだまだ上手は楽にならない。
私は右の桂を跳び、△9八歩からと金を作る。さらに成桂を活用し、これは上手ペースになった。
9筋のと金は下手の金銀と交換になり、さすがに勝負がつきかけた。
が、そこで私はプレイバック。またもや難しい戦いになった。
私が△5六歩と垂らすと、女性は▲4八銀と受けようか迷って、別の手を指す。しかしここで△5七歩成と金取りに成っては上手勝勢なので、ここも「▲4八銀」を教える。
こうしてみると、私も存外優しいのだ。
しかしこれだけ緩めているとさすがに形勢も接近してきて、最後は一手争いの終盤になった。

このあたりから観戦した大野八一雄七段が
「正確に指せば上手が勝ちますが…。でも無理かなあ。▲4一馬と寄ってください」
とモロに正着を言い、私はまずい形勢になった。
私は△4五銀と逃げ道を開ける。
大野七段「玉に(4四~5五と)逃げられたらヤバイですからね」
女性はしばらく考えて、▲5五銀(第2図)と待ち駒をした。

これにて上手玉は必至。大野七段も安心してその場を離れたが、私はどこまでも諦めないのである。
私は△3七成桂から、下手玉を追う。数手後、△2六桂と王手飛車取り。これに女性は、▲2八玉、と寄ってしまう。これでは△1八桂成と飛車を取りながら王手できるので、大逆転だ。
(つづく)
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2月4日の4時から男(前編)

2018-02-07 01:01:42 | 新・大野教室
小泉今日子の誕生日である2月4日は、「大野教室」に行った。といっても、今回も「4時から男」である。
駅を出て教室に行く途中で、スタッフのW氏と会った。何かの買物らしい。
ほぼ入れ違いで私が入室すると、大野八一雄七段はすでに指導対局を終えていた。その大野七段が来て、18日(日)に行われる支部対抗戦埼玉県予選の出場選手一覧を見せてくれた。
これは私も出場する予定で、この時点ではFuj、Shinチームに入るらしかった。
奥の和室からS君が顔を出した。大野七段によると、前日の奨励会で5級に昇級したという(飯塚祐紀七段門下)。それは素晴らしい。
私も一声かけたが、S君はあまりうれしそうでない。棋士になるにはまだまだ先が長いわけで、1つ上がったくらいでは喜べない、というところか。奨励会は恐ろしい世界だと改めて思う。
そのS君に教えていただくことにする。時刻はまだ3時50分だが、10分は大目に見てもらおう。
和室には常連の女性がいて、Og氏が教えていた。さらにHon氏、Taga氏、Kom姉・弟らの姿があった。
そちらがいっぱいなので、私たちは洋間で指す。盤に対峙したが、S君が動かない。私が「王」を取るのを待っているらしい。奨励会員はほぼプロだから、堂々と「王」を据えればいいと思う。
私の先手で、▲2六歩△3四歩の出だしから横歩取りとなった。アマチュア時代のS君は、対振り飛車は居飛車穴熊、相居飛車は矢倉を得意としていたが、S君のセンスのよい指し回しは、急戦将棋にこそ光ると思っていた。そのS君が横歩取りの将棋を指し始めたのだから、これはもう鬼に金棒だ。

第1図以下の指し手。△8六歩▲同歩△同飛▲3五歩△8五飛(第2図)

第1図からS君は△8六歩と合わせ、△8五飛と引く。

第2図以下の指し手。▲7五歩△7四歩(途中図)

▲8六歩△7五飛▲7六歩△2五歩(第3図)

4時過ぎにKaz氏が来た。彼が「4時から男」とは珍しい。しかしまだW氏は戻っていないので、手合いが付けられない。
局面。よく分からないが、私は▲7五歩。これにS君が熟考して△7四歩。その4手後は△2五歩と打った。いかにもプロっぽい手で、私は感心してしまった。
その第3図で私は▲2五同飛と取ったのだが、失着。▲3六飛と寄るべきだった。
本譜は以下も難しい局面が続いたのだが、私が駒損になり、やや不利な局面で第4図。

第4図以下の指し手。▲3六角△2八歩成▲5四角△同歩▲4八銀△2七角▲7四歩△4九角成(投了図)
まで、S奨励会5級の勝ち。

私は秒に追われて▲3六角と打ったのだが、S君に涼しい顔で△2八歩成とされ、クサッタ。
私は飛車を取ったものの、次に▲2八銀は△5五角があり、不可。仕方なく▲4八銀と上がったが、そこで△2九とと駒得するS君ではなく、△2七角と据えた。
△3八とを守る術もないので私は▲7四歩だが、S君に△4九角成(ウッカリ)とされ、投了。何ともひどい結果になってしまった。

「難しかったと思いました」
とS君。しかし勝者は敗者を慮るので、この感想はアテにはならない。
早い終局に、大野七段とOg氏が意外そうな顔をする。
まだ難しかったでしょう、と大野七段。「(△5四の)飛車を取ってもしょうがない」。
私が(第4図で)▲4六桂でしたか、と聞くと、それでいいでしょう、と大野七段。
たしかに▲4六桂は△5五角も防ぐ一石二鳥の手で私も第一感だったのだが、打ったあとこの桂がややボケると思い、指し切れなかった。
しかしこの桂は後に▲3四桂と跳べる。十分に働いていたのだ。
ちなみに▲4六桂以下は△2四飛▲3八金△2八歩成▲同銀△2七歩▲同銀△6四飛で、次に△4九銀がS君の狙い。
これは下手がおもしろくなさそうなので、△2七歩には▲3七銀と躱す。
そこでS君は△2八銀を示したが、▲2五歩(参考図)に動かなくなってしまった。

これなら下手もまずまずで、まあ実戦ではこうはならぬが、本譜があまりにもアホすぎた。もう少しS君を困らせたかったのだが、これが私の実力である。
横歩取りを指したのは久しぶりだったが、読みの時間は楽しかったので、それで佳しとしよう。
(つづく)
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藤原七段の順位戦復帰の目も考える

2018-02-06 00:05:53 | 目を考える
棋士は順位戦や竜王ランキング戦で上級に行くほど評価が上がる。これは分かりやすい。
しかし順位戦がC級2組でも、降級せずに踏ん張れば、それなりの評価は得られるのだ。古くは田辺一郎七段や武市三郎七段などがそうだ。
そして藤原直哉七段もそうである。藤原七段は1989年4月デビュー。以降、昇級には絡まず、何度か降級点を取りながらも踏ん張った。しかし2017年3月、棋士生活28年にして、ついにフリークラスに降級してしまった。
しかし藤原七段は、フリークラス1年目の今年度、頑張っている。
まずは勝敗を記そう(○●は藤原七段から見たもの)。

4月11日 第67期王将戦一次予選2回戦 ●澤田真吾六段
5月11日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦1回戦 ○豊川孝弘七段
6月5日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦2回戦 ○浦野真彦八段
6月21日 第3期叡王戦予選1回戦 ○高田尚平七段
6月21日 第3期叡王戦予選2回戦 ○堀口一史座七段
7月6日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦3回戦 ○小倉久史七段
7月12日 第89期棋聖戦一次予選1回戦 ○小林健二九段
7月27日 第89期棋聖戦一次予選2回戦 ●西川和宏六段
7月30日 第26回銀河戦予選1回戦 ○東和男八段
7月30日 第26回銀河戦予選決勝 ○北浜健介八段
8月21日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦4回戦 ○神崎健二八段
8月24日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○伊奈祐介六段
8月24日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ○阿部隆八段
8月31日 第59期王位戦予選1回戦 ○東和男八段
9月5日 第3期叡王戦予選3回戦 ●小林裕士七段
9月12日 第26回銀河戦本戦トーナメント1回戦 ○上田初美女流三段
9月12日 第26回銀河戦本戦トーナメント2回戦 ●渡辺正和五段
9月15日 第11回 朝日杯将棋オープン戦一次予選3回戦 ●宮本広志五段
9月20日 第66期王座戦一次予選1回戦 ○伊藤博文七段
9月26日 第59期王位戦予選2回戦 ●都成竜馬四段
10月11日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦5回戦 ●脇謙二八段
10月17日 第66期王座戦一次予選2回戦 ○今泉健司四段
12月21日 第66期王座戦一次予選3回戦 ●大橋貴洸四段
1月16日 第44期棋王戦予選1回戦 ○伊藤博文七段
1月25日 第31期竜王ランキング戦6組1回戦 ○島本亮五段
1月31日 第68期王将戦一次予選1回戦 ●大橋貴洸四段

以上、17勝9敗と、素晴らしい。特に5月から8月までは絶好調で、13局指して12勝1敗だった。もっとも藤原七段はフリークラス1年目なので、順位戦復帰規定のひとつ「良い所取りの成績が30局以上で勝率6割5分」は関係ない。やはり「年度18勝12敗」の条件に落ち着く。
では、残りの対局予定を見てみよう。

第31期竜王ランキング戦6組2回戦 久保田貴洋アマ
第44期棋王戦予選2回戦 畠山鎮七段
第68回NHK杯テレビ将棋トーナメント予選

これらの棋戦で1勝すれば、早くも順位戦復帰となる。
なお、久保田アマは元奨励会2級で、何と藤原七段の弟子である。これは勝っても負けても味が悪いが、さてどうなるか。
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タイトル戦のこの組み合わせが珍しいトップ10

2018-02-05 01:14:37 | ランキング
第3期叡王戦は、今期からタイトル戦(序列3位)に昇格。決勝に残った2人が七番勝負を争うことになった。
その2人は、金井恒太六段と高見泰地五段(現六段)に決まった。C級1組とC級2組の対戦で、棋士名はともかく、この段位とこのクラスの組み合わせは、誰も予想しなかっただろう。
金井―高見のタイトル戦は、これが最初で最後だろう。そこで今日は、私が珍しいと思ったタイトル戦の組み合わせトップ10を記す。

第1位
桐山清澄棋聖(3勝)VS西村一義八段(0勝)(第50期棋聖戦・1987年)
西村現九段は1969年の第10期王位戦以来、18年ぶりのタイトル戦登場。相手の桐山棋聖は当時、タイトル戦の常連ではあったが、それでもこの顔合わせは珍しかった。

第2位
内藤國雄王位(2勝)VS高橋道雄五段(4勝)(第24期王位戦・1983年)
高橋五段が当時の最低段記録でタイトル戦に登場。無口の高橋五段相手に内藤王位はやりにくかったらしく、タイトルを明け渡した。

第3位
山田道美棋聖(3勝)VS中原誠六段(2勝)(第11期棋聖戦・1967年)
大山名人の名がないタイトル戦は1956年以来、11年ぶり。山田棋聖は36歳で急逝したが、中原十六世名人とのタイトル戦があるのは素晴らしい。
当時の中原六段は弱冠20歳。このタイトル戦ではあと一歩で敗れたが、翌期リターンマッチし、見事初タイトルを獲得した。

第4位
南芳一棋王(3勝)VS大山康晴十五世名人(0勝)(第15期棋王戦・1990年)
大山十五世名人は66歳でのタイトル戦登場。これだけ息が長いと、「花の55年組」とのタイトル戦も実現する。南棋王は現在でこそC級2組だが、55年組の中では出世頭だった。

第5位
南芳一棋聖(2勝)VS田中寅彦八段(3勝)(第52期棋聖戦・1988年)
田中八段がタイトル戦初登場。フルセットで棋聖を奪取。このころが田中八段のピークだった。

第6位
米長邦雄名人(2勝)VS羽生善治四冠(4勝)(第52期名人戦・1994年)
中原十六世名人は引退会見で、羽生竜王とタイトル戦を戦えなかったことが心残りだと述懐した。その羽生竜王と米長名人が、名人戦で交えていたとは、感慨深い。

第7位
中原誠棋聖(3勝)VS屋敷伸之四段(2勝)(第55期棋聖戦・1989年)
屋敷四段はデビューから1年2ヶ月・17歳で中原棋聖への挑戦を決めた。当時の新進四段から見たら、中原棋聖は雲の上の人。屋敷四段自身も将棋ファンも、この顔合わせが信じられなかったことだろう。屋敷四段は惜敗したが、翌期はリターンマッチで棋聖を奪取した。

第8位
谷川浩司棋聖(3勝)VS郷田真隆四段(1勝)(第60期棋聖戦・1992年)
郷田四段がタイトル戦初登場。四段での挑戦は3年前の屋敷四段以来だ。この五番勝負では敗れたが、続く王位戦(第33期)で谷川王位に挑戦。何とタイトルを奪取してしまった。
現行では、四段がタイトル挑戦を決めた時点で五段に昇進するので、四段タイトルホルダーの記録は永遠に破られない。

第9位
米長邦雄九段(0勝)VS島朗六段(4勝)(第1期竜王戦・1988年)
この組み合わせもかなり珍しい。米長九段は実力を出し切れず、シティーボーイ・島六段はマイペースを貫き、初代竜王に就いた。

第10位
中原誠名人(4勝)VS大山康晴十五世名人(1勝)(第44期名人戦・1986年)
大山十五世名人が63歳で名人戦に登場。「名人」同士の対戦は空前絶後。相手はもちろん中原名人で、名人戦でこの対決がまた見られることを、嬉しく思ったものだった。
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中尾五段の順位戦復帰の目を考える・3

2018-02-04 00:05:19 | 目を考える
フリークラス10年目の中尾敏之五段は今年度好調で、1月まで15勝7敗。3日は竜王戦で所司和晴七段と戦い、見事勝利した。
では、今年度の成績を記そう(星の○●は中尾五段から見たもの)。

5月9日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦1回戦 ○木下浩一七段
6月1日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦2回戦 ○堀口弘治七段
6月8日 第89期棋聖戦一次予選1回戦 ●小林宏七段
6月14日 第3期叡王戦五段戦1回戦 ○金沢孝史五段
7月24日 第30期竜王ランキング戦6組昇級者決定戦3回戦 ●牧野光則五段
7月30日 第26回銀河戦予選1回戦 ○室岡克彦七段
7月30日 第26回銀河戦予選決勝 ●村山慈明七段
8月1日 第3期叡王戦五段戦2回戦 ●高見泰地五段
8月9日 第59期王位戦予選1回戦 ○室岡克彦七段
8月31日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○上田初美女流三段
8月31日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ○野月浩貴八段
9月5日 第59期王位戦予選2回戦 ●佐々木勇気六段
9月11日 第66期王座戦一次予選1回戦 ○木下浩一七段
10月3日 第66期王座戦一次予選2回戦 ●高野秀行六段
10月19日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選3回戦 ○門倉啓太五段
11月14日 第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選決勝 ○高橋道雄九段
12月14日 第31期竜王ランキング戦6組1回戦 ○香川愛生女流三段
12月21日 第11回朝日杯将棋オープン戦二次予選1回戦 ○佐藤康光九段
12月21日 第11回朝日杯将棋オープン戦二次予選決勝 ●高見泰地五段
12月25日 第44期棋王戦予選1回戦 ○川上猛七段
1月11日 第68期王将戦一次予選1回戦 ○中座真七段
1月23日 第44期棋王戦予選2回戦 ○飯塚祐紀七段
2月3日 第31期竜王ランキング戦6組2回戦 ○所司和晴七段

以上、16勝7敗である。順位戦への復帰規定はいくつかあるが、今の中尾五段に該当するのは、
「年度に『参加棋戦数+8』勝以上の成績を挙げ、勝率6割以上」
で、この計算だと18勝12敗、すなわち残り2勝5敗で昇級となる。
やや引っ掛かるのが竜王戦で、今年度は第30期と31期、2つ指しているが、この扱いはどうなのだろう。同様のケースだった熊坂学五段の時は1棋戦で計算したので、今回もそれに倣っているのだが…。
今年度の残りの対局は以下の通り。

第31期竜王ランキング戦6組3回戦 牧野光則五段
(準決勝までに負けた場合)6組昇級者決定戦
第68期王将戦一次予選2回戦 宮田敦史六段
第44期棋王戦予選3回戦 日浦市郎八段or真田圭一八段
第68回NHK杯テレビ将棋トーナメント予選

世間は藤井聡太五段の昇級昇段で沸いているが、その陰で誰にも注目されることなく、小便をチビる思いで順位戦復帰を目指している棋士がいる。私には彼の勝敗を見届けるほうが、よほどエキサイティングである。
ガンバレ、中尾先生。あと2勝である。
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