付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「泣き夜叉」 高橋義夫

2009-09-02 | 時代・歴史・武侠小説
 幕末から明治維新を生き抜いた遊び人辰五郎の生き様を描く……というほど立派な人物でも無し。小悪党ってやつですね。貧乏長屋で呑んだくれ、博奕ですってんてんになっては誑かした女を売り飛ばし、盗みに入っては失敗し……という人間のクズですが、運に恵まれたことからいっぱしの男と売り出して……というか周囲が勘違い。おりしも風雲急を告げる幕末の江戸で何をしでかす!?辰五郎?

 ……いや、てきとーにその場その場をやりすごしているだけなんですが、何が面白いかよくわからなかったな。共感できないもん。
 まあ、小悪党にも小悪党なりの人生があったっつぅことで。

【泣き夜叉】【高橋義夫】【大政奉還】【雪子】
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「さよならの次にくる(新学期編)」 似鳥鶏

2009-09-02 | 学園小説(ミステリ)
「(子供が)いなくてもいいと思う人はいるだろう。だが失っていいと思う人はいない」
 伊神進の言葉。

 ちょっと女の子みたいな優しい顔の少年が主人公。とても推理が得意な先輩が卒業してしまったんだけれど、今はたった1人で美術部を守って後輩が入ってくるのを待っているのね。ところが、ふとしたことから小柄な1年生女子が飛び込んできて部員になるのだけれど、どうやらその少女は少年に恋しているみたいなんだな……とあらすじを紹介していたら、高校生の長男が「それ、なんていう“文学少女”外伝?」というツッコミをいれてきた。
 確かに自分でも説明していてそう思ったし、読んでいてキャラのイメージが交錯してしまって苦労したけれど全然違う話です。

 謎の1つ1つはそんなにすごくはありません。最初のトリックは『刑事コロンボ』の「魔術師の幻想」と同じネタだし。ただ、それらを二重三重に組み合わせ、物語を二転三転させて最後まで予断を許さなくしているところが巧さです。しかもこうして読むと、意味不明だった前編「卒業式編」の断章もすんなり収まってしまいます。
 デビュー作、『理由(わけ)あって冬に出る』ではちょっと唐突感があったラストの二転三転も、この『さよならの次にくる』前後編ではうまくストンと落ち着いて、良い感じのオチになっていました。
 柳瀬さんもけっこう鋭いし、野暮天なのは葉山くんだけかもしれません。そもそも可愛い子を見ての感想がまず「描きたい」という時点で健全な高校生失格です。新キャラ佐藤希ちゃんに葉山くんはなんと思われているのでしょうか?
 愛学シリーズが次に来るような気もするし、続編が出ることを期待して待ちたいです。

【さよならの次にくる】【新学期編】【似鳥鶏】【toi8】【曲がり角で】【ストーカー】【エロDVD】【声年齢チェンジ】【ピッキング】【愛心学園】【男の伝統的妄想】
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