付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「サマーウォーズ」 蒔田陽平

2009-09-05 | VRMMO・ゲーム世界
「こういうのは勝ちそうだから戦うとか、負けそうだから勝てないとかじゃないんだよ。負け戦だって戦うんだよ、ウチはな。それも毎回」
 武田軍団の末裔、内科医の陣内万作の言葉。岩井版とのわずかな差を、なぜ違うのか、どう違うのか、考えてみるのも面白そうです。でも「勝てない」はミスのような気がします。(映画でも「負けそうだから戦わないとかじゃないんだよ」といってました。原則としてシナリオ通りの本なので入力ミスだと思います。09.09/05)

 国境のない電脳仮想空間OZ。ジョンとヨーコに見守られたこの世界で、世界中の人々はつながった。だが、それで本当につながったといえるのだろうか。人と人とのつながりはそんなに簡単で便利なものなのだろうか?
 ハッキングAIに浸食された仮想空間が現実世界を混乱に陥れたとき、1人のおばあちゃんが立ち上がった……。

 世界の危機に挑んだ家族の絆の物語。
 細田守監督の映画『サマーウォーズ』を、NHKドラマ『ちゅらさん』や韓国ドラマ『魔王』などのノベライズを担当している蒔田陽平がノベライズしたもの。20冊以上もノベライズを著している作者だけに、ツボはきちんと抑えています。映像となったセリフやシーンは可能な限り1つも落とさず、あくまで映像を見た人がその記憶を反芻できるようなものに。映画のノベライズを期待するなら、買うのはこちらでしょう。
 とはいえ角川つばさ文庫は、これから読書体験を深めていく小中学生向けの入門シリーズ。「ボク、夏希ちゃんとやっちゃいました」なんてセリフを残しておいて良いのかと思わないでもありません。うーむ、これはなー。(09/08/14)

【サマーウォーズ】【蒔田陽平】【細田守】【貞本義行】【杉基イクラ】【ボーイ・ミーツ・ガール】【花札】【家族】
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「サマーウォーズ」 監督:細田守

2009-09-05 | VRMMO・ゲーム世界
 ちくしょーっ、負けた!!

 観終えた最初の感想がこれ。
 ストーリーについての事前情報は宣伝用プロローグ・コミックくらいしか観ていなかったけれど、なるほど『ぼくらのウォーゲーム!』に雰囲気は似ているし、先の展開もだいたい読めてしまって、そんなに意外な展開というものはない。上品に配置はされているけれど、フラグが立つのが見えるような話。けれど面白い。すべて承知でドキドキハラハラして、最後には涙ぐんでしまうんだよね。
 深夜11時に上映が終わったとき、さすがにその時間では次の予定もないのだろうけれど、誰も席を立たずに最後まで見終えてしまい、どやどやと劇場から出て行くときに前を歩いていた大学生らしい2人連れが「もう、最後のエンディングで拍手しようかと思った!」「ちょー良かった!!」と興奮して語り合っていたけれど、同感だなあ……。

 学校のアイドル、あこがれの夏希先輩に頼まれたアルバイトは、先輩の田舎へ一緒に行ってフィアンセ役を演じることだった……。

 負け戦に挑み続けること400年という信州上田の旧家に集まった老若男女が、世界滅亡の危機に挑んだ3日間+1日の物語。
 よくある田舎の大家族に紛れ込んだ、数学だけが取り柄という少年の物語……じゃないよねえ。主要キャラだけでも29人という話だけれど、主役はまず数日後に90歳になるという栄おばあちゃんです。お年寄りが元気で逞しくしっかりしている話は面白いですよ。それから、格闘ゲーム界の世界チャンプでもある佳主馬。まあ、考えなしのように見える夏希もちゃんとヒロインっぽいバトルしてますし、所属はいったいどこなんだ!?という理一おじさんもなかなか怪しいぞ。健二くんも頑張って、いろいろやっているし見せ場もあるけれど……最後までパッとしないなあ……。まあ、これから大変だろうが頑張れ!
 とりあえずサントラは注文済。DVDは出たら買おうと思いました。(09/08/08)

 週末に10人ほどが遊びに来たら半分くらいが観てました。
 そのときの感想は、1.文句なく面白い!、2.でもメインキャストの声が合ってない。監督は声の演技を絵と同じくらいには重視すべき。3.小惑星探査機の設定についてはツッコミどころはあるけれど作品の面白さとは関係ないから追求しない。4.佳主馬はやっぱり胸のない女の子に違いない。絶対そうだ。それ以外認めない。
 小説版はリアル書店を数軒回っても見つからなかったのでインターネット書店に注文。サントラCDは今日到着しました。(09/08/08)

 小学生の次男を連れて2度目の劇場へ。
 夜8時45分の回は50人ほどの入り。なぜか親子連れが目立ちます。それもおばあちゃんに娘夫婦というように、小さな子供のいない家族連れが目立ちます。あとは男同士女同士の友人グループとか50代くらいのおばちゃんグループが声をあげて「温泉、温泉よ!」などと楽しそうに笑いながら観てました。笑いあり涙あり、昔ながらの大家族(親族郎党含む)を描くと同時に最先端の科学トピックもネタとして組み込んでいるというドラマの王道パターンです。
 理屈をこねず、素直に観て楽しむが正解! (09/08/24)

 観に行こうと思っていた『南極料理人』は近くで上映していないので断念。代わりに、長男と次男を連れて『サマーウォーズ』の3回目です。
 だいたい2年か3年に1回くらいしか劇場に足を運ばない私ですが、『破』も何度か行きましたので、今年はその計算で行くと15年分くらいは映画を観てます。こんなに劇場に通ったのは、『カリオストロの城』の公開以来かも……。
 さて、公開から1ヶ月以上になりますが、土曜夜のレイトショーはかなりの入り。あいかわらず老若男女が見に来ていて、7割の入りというあたりかな。ざっと100人くらい。

・佳主馬のこもっていた納戸の本は教育心理学とファーブル昆虫記、児童文学、それに写真アルバム。栄おばあちゃんが国語教師だったという説に納得。
・キスシーンで、篠原夫妻はニコニコ。それでいいのか。雰囲気的には自分たちの若い頃を回想している感じ。へたれた健二に注がれる佳主馬の冷たい目もすてき。
・応援しながらおたまふりまわす奈々さんがかわいい。
・やはり映画の中では、夏希が遺書を持って走り出した理由も、ジョンとヨーコがアイテムを渡した理由も説明無し。 映画は勢いで愉しんで、細かいところが気になったらスニーカー版で補完するのが正解。
(09.09/05)

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「世界のミリメシを実食する」 菊月俊之

2009-09-05 | 食・料理
 類書は多いのだけれど、このムックの特色はカラー図版が豊富なことと歴史的な変遷やエピソードにも紙幅を費やしていることが特徴です。独立戦争から現代までアメリカ軍や各国のレーション(戦闘糧食)がどう発展してきたか、各国のレーションや菓子類の比較、戦場でのレーション以外の炊事スタイルの研究まであれこれ載っているムックなので、暇なときにパラパラ読むには最適。 
 陸自の野外炊事についての資料も充実しているので、「野外炊具1号」を知らない人は写真で確認してみましょう。

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「ツマヌダ格闘街(4)」 上山道郎

2009-09-05 | スポーツ・武道
「すごい人と知り合えたからって、自分自身はすごくもなんともなってない」
 だから、せめて努力は続けようと、ひとりマラソン練習を続ける御名本柚香の言葉。
 自分は虎の威を借りているだけではないかと疑念を持ったときから自己改革は始まります。足が速いとか遅いとかケンカが強いとか弱いとか、それは生まれつき決まっているものではないのです。

【ツマヌダ格闘街】【上山道郎】【ストリートファイト】【ドラえもん】【オバケのQ太郎】【忍者ハットリくん】
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「嵐の中の動物園~三日月小学校理科部物語(1)」 川端裕人

2009-09-05 | 時間SF・次元・平行宇宙
「理科する心とは、冒険する心。冒険する心は、たくさんの不思議を引き寄せてしまう」
 森久保ルナ先生の言葉。

 三日月小学校は創立105年の伝統校。5年生のリョータ、翔、ケンシローの3人が遅刻した朝、学校の階段で水に濡れた不審な足跡が発見された。
 環境保護部、通称エコ部の七実と共に足跡の追跡をするリョータたちは、やがて謎の多い第二理科室の理科部に辿り着くのだが……。

 「SFマガジン」の09年8月号にレビューが掲載されていたけれど、『夏のロケット』の川端裕人が書いた学園タイムスリップ小説というところがポイントであって、理屈っぽいSFではなく児童ファンタジー。メアリー・ポープ・オズボーンの『マジック・ツリーハウス』シリーズと同じ傾向の作品です。小学生向きのつばさ文庫ですし。
 天気図作成が趣味のリョータ、お屋敷に住んでいて町の歴史に詳しいケンシロー、運動神経が良い翔という3人の個性はよく出ていて、それが活躍につながるのだけれど、エコ部の七実は典型的なヒールになっているのが気の毒。環境保護を最優先するあまりに視野狭窄に陥り、自分が仲間から聞いた伝聞以外は信用せず、科学そのものに不信感をいだいていて頭から敵視し、人に指図するだけで自分はほとんど動かない女性エコロジスト……って、読めますよね? まあ、包丁で傷だらけになるところは「やれることはやっているんだな」と思いますが、それも他の人の方が上手だったりしては立つ瀬がありません。
 まだまだ話は続き、科学部や顧問教諭の謎については語られそうですが、くれぐれも「頭でっかちなエコロジストが改心して科学技術のすばらしさに開眼する」という話にはなりませんように。

 そういや、うちの次男が『マジック・ツリーハウス』が好きだったから、ちょっと読ませてみよう。

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