付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「殺竜事件」 上遠野浩平

2009-09-24 | ミステリー・推理小説
「いつでもどこにでもチャンスは転がっている。賭けるべきときは賭けてみるのが人生ということか」
 レーゼ・リスカッセの賭けっぷりにあてられたゲオルソンの反省。 

 辺境の独立都市ロミアザルスから慌ただしく出立した3人の旅人があった。
 EDこと戦地調停士エドワース・シーズワークス・マークウィッスル、風の騎士ヒースロゥ・クリストフ少佐、カッタータのレーゼ・リスカッセ大尉。彼らの使命は1ヶ月以内に、誰にも殺せるはずのない竜を殺した犯人を解明し、戦争を終結させることだった……。

 剣と魔法が息づく世界を舞台としたミステリー。探偵は停戦交渉と戦後処理を職務とする戦地調停士であり、容疑者は世界中に散った王族、海賊の島の長、冒険家、暗殺者、そして英雄。
 プロローグの戦闘シーンがすごく説明的な台詞の連続で興ざめ。また呪術的な物と軍用兵器を融合させることで現実世界の戦闘とも、ありきたりの異世界の戦闘とも違うところを出そうとしているのだろうけれど、そうするとどうしても古橋秀之の『ブライトライツ・ホーリーランド』での機甲折伏隊縁起を連想してしまうので点が辛くなってしまいます。
 キャラクター的に面白いので次巻に期待。

【殺竜事件】【上遠野浩平】【金子一馬】【カジノ】【暗殺】【多重隣接世界】
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「マリア様がみてる/くもりガラスの向こう側」 今野緒雪 23

2009-09-24 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 祐巳が瞳子に拒絶された前巻のクリスマス会から続くエピソード。確かにダメージは大きかったけれど、『レイニーブルー』の頃と比較すると芯がしっかりしてきた分だけ立ち直りも早いようです。

 祥子が山百合会のメンバーに新年会の招待状を出した。
 みんなそれが祐巳のためであると承知して集まり、百人一首やスゴロクに興じて楽しい一泊二日を過ごす。だが、瞳子が曇りガラスの向こうに佇んでいる初夢を見た祐巳は、彼女と今後どう接していくべきか迷ってしまう……。

 ストーリー的には大きな進展はないけれど、このエピソードが間に挟まることで祐巳と瞳子の成り行きを見守りながらも一息つくことができました。心あたりのない差出人からの年賀状に、祐巳や祐麒が本人たちの想像以上に人気があることをうかがわせます。
 そして、祥子と柏木さんの婚約問題もあっさり解決。良いのか!?と思いつつ、これで良いんだよなと最後は納得。きちんと娘たちのことを考えている御両親でした。済んでしまえばあっけない話。こういうオチの付け方は好きです。

【マリア様がみてる】【くもりガラスの向こう側】【今野緒雪】【初詣】【新年会】【フーテンの寅さん】【人間スゴロク】【破談】【部屋の増築】【なかきよ】【目玉焼き】
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