付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「飛べ!ぼくらの海賊船」 鷹見一幸

2009-09-15 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「人間ってのはね、じぶんの知らなかったことを知る、わからなかったことがわかる、そういうときに喜びば感じるようにできているとよ」
 荻平地区歴史民俗博物館の“センセイ”の言葉。

 小学6年の夏休みに東京から九州の山奥にやってきた少年が見つけた、隠された海賊船の秘密とは?

 『銀河乞食軍団黎明篇』や『でたまか』の鷹見一幸初のジュブナイル小説です。いや、油断ならないぞ。
 話としてはオーソドックスなジュブナイル小説。子供が元気なのはもちろん、登場する大人も一見怪しげにみえても根っこのところは良識ある社会人なので、安心して子供たちの冒険を追いかけられます。結果的に命令無視の独断専行がベターな選択だったとしても、最初から無謀ありきな話ではがっかりしてしまいますから。

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「月は無慈悲な夜の女王」 ロバート・A・ハインライン

2009-09-15 | バイオシップ・人工知能
「人間というのものは、わかっている危険に立ち向かうことができる。だが、不可解なものには慄え上がるのだな」
 ベルナルド・デ・ラ・パス教授の言葉。革命の正否は仲間同士の意志の疎通をいかに図るかにあり、情報の流れを統制できる方が勝つのだ。

 文庫版で588頁というのは刊行当初は超大作という感じだったけれど、今となっては並サイズ。発表スタイルの変化と原稿料の支払いシステムのせいもあるだろうけれど、最近の作品はとにかく長すぎ。

 2076年、資源採掘と流刑の地として発展してきた月世界が、ついに地球政府に対して独立を宣言した。しかし、彼らは兵器らしい兵器を保有していない。
 知る者は多くなかったが、この反乱が成功するか失敗するかの鍵を握るのは、自意識を持った巨大コンピュータ<マイク>だった……。

 革命は始めることより、続けることの方が難しいのです。そして、革命そのものはあっさり終わるけれど、そのあとの内政や外交の方が難問山積みで、結局は事実上の独立戦争に突入してしまうという話でした。
 ハインラインが有名にした言葉「タンスターフル(There ain't no such thing as a free lunch)」が登場する作品です。タイトルは「月世界は厳格な女教師だ」という主旨の教授の言葉ですね。愚か者や卑怯者は生き残れないという話です。「mistress」は女教師と女王のどちらでも訳せます。意味的には「女王」より「女教師」の方が正確なのだけれど、そうするとまったく別の本みたいになってしまいますので、無慈悲な女教師……にしなかった訳者と編集部の選択は正解です。

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