付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「先輩とぼく」 沖田雅

2009-09-13 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「この世に等しいものなどそうそうない。だから迷った時はその選択で得るものから失うものを引いた時、プラスになる方を選べばいい。マイナスでないということは失っていないということだ」
 平賀つばさ先輩のことば。

 わが家の最近のスマッシュヒットは『先輩とぼく』。美人で頭が良いけれど性格が悪くて変わり者の先輩と、優しくて料理上手な後輩の話。宇宙人とか幽霊は出てくるけれど、ネタ自体は取り立てて珍しいものは無いし、某ハルヒみたいにストーリーの構造的にスゴイというところもないのだけれど、なんか終始にやにやしながら読んでしまうタイプ。
 登場するキャラもクセがあるけれど、嫌悪感を抱くタイプじゃないのがいいんだな。唯我独尊とかオタクなキャラって、往々にして鼻につくじゃない?(2007.8/25)

 先輩は凰林高校一番の美少女だけれど変人としても有名で、かくしてぼくは聖夜だというのに先輩とふたりきりでUFOウォッチングに励むことに。
 それで甘い展開でもあればいいのに、いきなり宇宙人に誘拐されてしまい、その上宇宙人のミスから脳みそが入れ替わってしまうことに!
 「先輩がぼくでぼくが先輩で」という状況に、家族も学校のみんなも意外にあっさり慣れてしまうのだけれど……。

 文学少女の太宰治篇ではありませんが、この話の「先輩」も人としての感情が欠落しているタイプ。ただ、それを抱え込んで苦しむのではなく、客観的に観察対象として愉しんでしまうところがマッドサイエンティストの資質ありというところでしょうか。先輩の巻き起こし拡大させる騒動に振り回される元・少年には気の毒な話ですが、「先輩が好き」という点に代わりはありませんし、むしろ他人にはどうにもできない固い絆ができたのは幸運……だったのかな……。(2009.5/16)

 表紙イラスト他追加。(2009.9/13)

【先輩とぼく】【沖田雅】【乳酸菌飲料】【人格交換】【おたく】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「サマーウォーズ公式ガイドブック」 角川書店

2009-09-13 | VRMMO・ゲーム世界
「(日本テレビ所属のプロデューサーの)伊藤くんのように実写もアニメも見る人が、しかも彼は中身を知っていても、5回も泣いた」
 高橋プロデューサーの証言。

 さすがにこれまでは買うつもりはなかった。
 フィルムストーリーに、キャラクター設定集に、スタッフインタビュー……。昔でいうところのロマンアルバム。劇場で買ったパンフレットが物足りなかったり、イラストを描くのに急いで資料が欲しいというなら別だけれど、そうでないなら半年先だか1年後に出るであろうDVDを待った方が絶対におトクだ。
 でもさ、行きつけの書店に「これがおすすめ!」とかポップ付きのスタンドで陳列してあるやつがいつまでも売れ残っていたら、誰かが買うしかないじゃないか! そうだろ!? あんたならどうする?

……などと開き直って購入した税別1600円のムックです。まあ、フィルムストーリーにこまごまと書き加えられていた解説は面白かったです。それから1つだけ気がついたのは、巻末に映画のエンドロールそのままに出演やスタッフなどの一覧が掲載されているのですが、劇場では取材協力あたりに名前が載っていた「防衛省 防衛研究所」がすっぽり落ちています。そこだけ気になりました。

 さて、民主党を核とした連立政権樹立で大騒ぎの9月9日。三流スポーツ紙が民主党の鳩山代表が夫人との映画デートで『サマーウォーズ』を観てきたと報じており、ご丁寧にも「なぜアニメ映画なのか。政治家が観る映画といえば、ヒューマンドラマか歴史スペクタクル、国家危機の絡むハリウッド映画とだいたい相場が決まっている」という永田町関係者のコメント付き。その記事のお馬鹿さ加減に笑わせてもらいました。実写映画だろうがアニメだろうが歌舞伎やミュージカルだろうが、良い物もある……けれど悪い物もあるんですよ。
 物事を表面的な枠組だけで考えるような人では、これからの政治経済は語れませんよ?

【サマーウォーズ公式ガイドブック】【サマーデイズメモリー】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「メグレ警視の料理」 西尾忠久・内山正

2009-09-13 | 食・料理
「ご飯として炊いたほうがおいしいお米を、どうしてパイ地なんかに包んでしまうのか、いまだにわからないわ」
 ベルギー人の好きな米のタルトについての日本人の感想。

 フランスを代表する名探偵「メグレ警視」とその生みの親である作家ジョルジュ・シムノンの足跡を、料理をキーワードに追っていく旅行記。著者自身によって収蔵品が寄贈されたシムノン図書館を皮切りに、リエージュからアルデンヌ、リンブルグ、ナント、メグレの勤務地であるパリ、ブリュッセルと、シムノンやメグレ警視の故郷、通った学校、住んでいた街、買い物をした通り、引退した後の住まい屋などを見て回り、彼らが食べたであろう料理を食べて回ります。
 彼らの好物、お気に入りの酒、生の白アスパラガス、腸詰めソーセージは葡萄の枝で焼いて、手作りチーズや山ウズラのひな料理で悪魔ビールやシャンペンを楽しみます。
 原作からの引用も多く、カラーイラストも豊富で、なんて愉しく美味しそうな旅行記でしょうか。

【メグレ警視の料理】【西尾忠久】【内山正】【シムノン】【ベルギー料理】【シグネチャー誌】【パリ警視庁】【愛川欽也】【市原悦子】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする