付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「15×24(6)~この世でたった三つの、ほんとうのこと」 新城カズマ

2010-01-04 | ミステリー・推理小説
「怪獣と少女は常に正しい」
 老人はたわごとしか言わないが、たわごとにはたわごとなりの効用があると相馬老人。

 大人がどんなに理想を語ろうと、子供は大人のやることを見て育つ。
「ほんとうの大人ってのは……他人のために覚悟を決められる奴のことだよ」
 そしてタイムリミットが近づき、少年少女たちは集結する……。

 24時間の物語にもついに終わりの時が近づきます。
 しかし、それはすべての終わりではなく、ただのピリオドにすぎません。
 なんというか、「自殺したいという誰か」と「一緒に死んであげるよという少年」の物語については決着しましたが、最後に指摘されているとおり、すっきりと整理されていないパーツは幾つも残っています。ただ、この作者のことですから、これらのパーツがすっきり収まる説明がちゃんと用意されているような気がします。もう一度最初から、要点をチェックしながら再読していけば、きっとヒントが隠されているんじゃないかと疑っています。あるいは、読者が勝手に推理してあれこれ予想するのをにやにや見ているのかな。
 まったく不思議な話でした。まさにミステリー。



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「赤毛のアン/翼よ、あれがパリの灯だ/白鯨 …他」 少年少女世界の名作18

2010-01-04 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「神、天をしろしめし、世はすべてよし」

 アメリカ編といいつつカナダの話あり、ブラジル民話ありの「アメリカ大陸編」です。
 そのカナダの話である『赤毛のアン』は新潮社版と同じく村岡花子の文章です。まあ、小学生の頃は少女小説などというのは女の子向けの話で自分が読むような本ではない!……と思っていました。ところがこうした全集だとイヤでも読んでしまうんですね。それで読んでしまうと、やはり名作と言われるものはそれなりに面白いんですよ。『赤毛のアン』しかり『若草物語』しかり『少女パレアナ』しかり。

 それから初の大西洋単独無着陸横断を成し遂げたチャールズ・リンドバークの『翼よ、あれがパリの灯だ』。パイロット2人による無着陸横断は1919年6月に成功していて、その8年後の話だと知ると感動もちょっと冷めますが“ひとりぼっち”であり、なおかつニューヨーク=パリという大都市間を飛びきったところが重要です。
 『白鯨』はイメージばかり先行し、きちんと読んだことがなかったのをここで初めて読みました。それ以来、読んだことはありません。
 『ティンガリン物語』は馴染みがありませんでしたが、怪物に立ち向かう巨人タリリラを助ける小さい仙女ティンガランの物語。敵は怪物といっても、やはり巨人のようなんですけどね。
 『なぞのマヤ発見記』はジョン・ロイド・スチーブンスとフレデリック・キャザーウッドによる伝説の都コパン探索記。ちゃんとエドワード・トンプソンによるチチェン・イッツァの「聖なる泉」探索まで言及されています。

『ティンガリン物語』原作:F・R・ストックトン/絵:赤坂三好
『赤毛のアン』原作:L・M・モンゴメリ/絵:谷俊彦
『翼よ、あれがパリの灯だ』原作:C・リンドバーク/絵:古賀亜十夫
『ブラジル民話』文:槇本ナナ子/絵:山本忠敬
『なぞのマヤ発見記』文:白木茂/絵:梁川剛一
『白鯨』原作:ハーマン・メルビル/絵:中西立太

【ワイドカラー版少年少女世界の名作18】【アメリカ編8】
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