付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「NOVA1」 編:大森望

2010-01-20 | その他SF(スコシフシギとかも)
 大森望によって編纂された、日本作家によるSF短編集。
 テーマの決まってない短編集というのは苦手なんですね。普段なら読まないだろう面白い作品に巡り会えるかも知れない反面、明らかに好みではない作品を読まざるをえないからです。でも、食わず嫌いを言っていてはいつまで経っても世界が広がりませんから、たまにはエイヤッと見知らぬ本に手を出すのです。
 これは作家の名前からたいてい予想できる範囲の内容でしたが、巻末に掲載されていた伊藤計劃の未完小説のイントロ部分がいちばん面白かったのです。死者を蘇生させて使役するのがあたりまえになっているヴィクトリア朝ロンドンで、謎の事件解明のため政府の秘密機関に徴用される軍医ワトソンの物語。続きが気になって仕方がないのです。これからどう展開するのか興味津々。なんてこったい、これが絶筆か……。

 いろいろバリエーションは考えているようなんだけれど、後半になって「言語による認識が現実をも左右する」というモチーフの作品が目立ちました。1つ1つは面白いし、それぞれ料理法は変えているのだけれど、まとめて読むとちょっと飽きます。あと、グロとクソ話は苦手。

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「十三番目のアリス(2)」 伏見つかさ

2010-01-20 | 超能力・超人・サイボーグ
「『負ける』って、そういうことじゃないわ。貴女は、一人で勝手にあたふたと走り回っていただけ。『負けた』なんて言葉を使っていい段階じゃない」
 だから正面から敵を見て、戦い、勝てと告げる母ラミアの言葉。

 三番目を撃退したものの、それが平穏な日々が訪れることを意味してはいなかった。
 転校してきた美少女リリス・グラムに誘惑されるかの鬼百合三月の言動に、気にせぬフリをしていても婚約者である九条院アリスは気が気ではない。そんなアリスとリリスの関係は一触即発だが、その頃、月城町に奇妙な二人連れが姿を現す。
 この老紳士然とした口調の青年と大食いのドジっこメイドこそ第十研究室の室長、<縫合義体>アレク・フランケンシュタインと彼の生み出した十番目の殺戮人形・悠里であった……。

 ツンデレすぎて単に「性格悪い」でひとくくりにされそうな主人公アリスと、純朴なのはいいけれど何が良くてアリスに付き合っているの?と思いたくなる婚約者三月。それって「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」と「どM」ってだけでないの?とツッコミたくなります。
 ドジで大食いで怪力なメイド型戦闘ロボというのもなかなかお馬鹿で良いですが、あまりに直球勝負なのでもう少しひねってもいいんじゃないかと思いました。

【十三番目のアリス】【伏見つかさ】【シコルスキー】【ゴシックロリータ】【メイド】【大食】【プール】【ぺたんこ】【ロケットパンチ】
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