付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「石の花/金星探検/ふしぎの科学/アファナーシェフ童話 …他」 少年少女世界の名作38

2010-01-13 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 グリム童話とアンデルセン童話の違いは、グリム兄弟が民話や説話を収集して編纂したのに対して、アンデルセンの作品は創作童話がメインであるということ。
 このソビエト編5はグリム・タイプの作品が目立ちます。
 『アファナーシェフ童話』もロシアの昔話を編纂したもので、金のガチョウの変形で兄弟の遍歴物語「金のたまごをうむカモ」、ほら男爵の冒険の元ネタになっただろう「空をとぶ船」、正直男の投資話「三つの銅貨」、豆から生まれた子供が鉄の蛇と戦う「パカチガローシコ」、貧乏な男が悪魔を欺す「シャバールシャ」の5編。
 バジョーフの『石の花』もウラル地方の伝説をまとめたうちの1編。カーチャが石を切る姿に萌えたのだけれど、今考えれば、この話は山の女王と若き天才石工ダニールシコ、そしてダニールシコの許嫁カーチャの三角関係にすぎない気がしなくもありません。そう思うと、山の女王ってイイヒトですよね。
 ロケットの父『ツィオルコフスキー』の伝記は、フォン・ブラウンやコロリョフの話を読む前に基礎知識として読んでおきたい一編。私が最初に読んだのはゴダードの伝記でしたけれど。
 ウラジミール・イワノヴィッチ・オルロフの『ふしぎの科学』は影や泡などをテーマに奔放に繰り広げられる科学コラム集。緯度によって影のできかたが変わるから彫刻の様式も変わるとか、ヘッドライトの位置を上にしたら夜間走行できなくなった戦車の話とかいろいろ面白いエピソードが満載。ただし解説でも著者の経歴は不明とのことで、今ネットで検索しても翻訳された『ふしぎの科学』もしくは『科学のふしぎ』の著者として書誌的に名前がひっかかるだけです。ロシア語で検索すると、科学エッセイストでイズベスチヤ紙の科学部長を務め、レーニン勲章をもらったらしい……くらいまでは分かりますが。
 そして最後は『ドウエル教授の首』で有名な“ソ連SFの父”ベリャーエフの『金星探検』。世界中で恐慌が起こり革命の嵐が吹き荒れている中、金持ちたちがロケット<箱船号>で地球脱出を試み金星に不時着する話ですが、昭和初期の作品だけに有産階級と勤労階級の対立が強調されています。そのあたりがソ連的ですね。でも、缶詰の質が悪すぎです。

『アファナーシェフ童話』原作:A・H・アファナーシェフ/絵:小野かおる他
『ツィオルコフスキー』文:瀬川昌夫/絵:伊藤展安
『石の花』原作:パーベル・バジョーフ/絵:中山正美
『ふしぎの科学』原作:B・オルロフ/絵:若月てつ
『金星探検』原作:アレクサンドル・ベリャーエフ/絵:武部本一郎

【ワイドカラー版少年少女世界の名作38】【ソビエト編5】
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「デュラララ!!×7」 成田良悟

2010-01-13 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『鉄が固いか脆いか確かめるのに、粘土を叩きつけても意味などないのだ』

 名古屋地方でも今週からテレビ放映が始まる『デュラララ!!』の最新刊ですが、今回はインターミッションの日常篇。日常篇の方が安心して読めます。面白いとかつまらないとかではありません。ジェットコースターは3分で満足するものであって、丸一日乗り続けるものじゃありません。そういうようなことです。乗用車を蹴り転がすバーテン服の静雄が日常に融け込んでいる世界ですから、刺激が強すぎます。
 男を巡って狂気の戦いを繰り広げる女2人の物語とか、小学生の女の子が「ころしあいができるようになりたい」と言い出す話とか、チャカポコ馬車でキャッキャウフフの旅行をすることになった闇医者と首なし騎士の道中記とか。
 ヴァローナもかわいいけれど、やっぱりセルティのあたふたするところがいいなあ……首がないのにかわいいよ。

【デュラララ!!×7】【成田良悟】【売人】【借金取り立て】【妖精】【盗聴器】【露西亜寿司】【電撃】
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