付け焼き刃の覚え書き

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「奇厳城/ペロー童話/紙カヌーの冒険/ガルガンチュア物語 …他」 少年少女世界の名作22

2010-01-07 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「天の火、山のあらしよ。わたくしのあいする友、この古いかしの木をきずつけないでおくれ。わたくしがおまえをあいしたように、子どもたちがいつまでもおまえをあいしてくれますように」
 エンミの祈り。

 さあ、フランス編です。
 フランスの作品なんてデュマ以外は馴染みがないと思いきや、ルブランのアルセーヌ・ルパンものがありました。忘れちゃいけませんね。名編『奇厳城』です。
 紀元前のガリア戦記の時代からフランスに秘かに受け継がれてきた謎を巡って怪盗ルパンが暗躍し、イギリスの名探偵シャーロック・ホームズ(オリジナルではエルロック・ショルメ)、宿敵パリ警視庁のガニマール警部、そして高校生探偵イジドール・ボートルレがルパンと対決するというもの。で、こちらは悲劇的な結末のクライマックスをすっぱりカットしたハッピーエンド版。これを思うとホームズが独身を貫いた形になっているのは正解だと思います。

 それから、巨人の代名詞ともいうべきガルガンチュアが登場する『ガルガンチュア物語』。ただし、その息子である快傑パンタグリュエルにまでは届かず。
 ペローからは「長ぐつをはいたねこ」「サンドリヨン」「ほうせきひめ」「おやゆびこぞう」の4編。「サンドリヨン」は「灰かぶり」でシンデレラのことですね。よく知った有名な話ばかりです。
 『田園の保安官』はファーブルによる小品で、ふくろうの生態を語ったもの。
 500才の樫の木とブタ番の少年エンミの物語『ものいうかしの木』は、フェミニズムの旗手である女流作家サンドの作品。どろぼう村や森の描写が面白くて、意外と夢中になって読み返した記憶があります。
 そして、紙製のカヌー<キビブー号>でヨーロッパの河川1万キロを旅した著者ボーガン自身の記録である『紙カヌーの冒険』は、この本以外に情報がみつからず、本当はどうだったのかしらと思うことしきり。      

『ペロー童話』原作:シャルル・ペロー/絵:赤坂三好・多田ヒロシ・高橋真琴 他
『ガルガンチュア物語』原作:F・ラブレー/絵:村上勉
『田園の保安官』原作:アンリ・ファーブル/絵:藪内正幸
『ものいうかしの木』原作:ジョルジュ・サンド/絵:上田武二
『紙カヌーの冒険』原作:T・ボーガン/絵:依光隆
『奇厳城』原作:モーリス・ルブラン/絵:柳柊ニ

【ワイドカラー版少年少女世界の名作22】【フランス編3】
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