中津には思い出がある。小学校の修学旅行で別府一泊、その帰路に福沢諭吉宅に寄った。そのころなどはなにがなんだか判るわけもない。中津がどの付近にあるのかも知らなかった。ましてや興味など沸くわけもない。
それがである。高校受験に合格し自転車を手に入れた。そう、十六の春である。昭和44年4月20日(西暦1969)。今から39年前自転車で中津城まで走ったのである。これがその時の記録である。ここから私の自転車旅行好きが芽生えたと言っていい。
国道10号を往復するといっただけだ。道は現在も殆ど変ってはいない。
そのときの光景など殆どと言っていいほど憶えてはおらんが、朝日に向って走っているのであまりにも眩しい。とそのなかに9600型(蒸気機関車)が逆光の中を貨物を牽引し、煙を吐いて軽やかに走る姿を見た。まさに目に焼き付くとはこのことであろう。
中津城にはあまりにも早く着きすぎた。母が弁当を持たせてくれたので目の前の公園で食べ、登城してからすぐ帰路に着いた。(入場料は50円)
街中をポタリングしてみようなどという気が起こらなかったのは今思えば至極残念である。