かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

葬られた王朝

2010年08月08日 | Books


4月の島根探訪を終えて、本屋に行ったら、この本が平積みになっていた。あまりのタイミングにびっくり。梅原猛さんの書きおろし。古代出雲王朝について論じている。

驚いたのは、それだけではない。梅原さんは、本書のために出雲を訪れており、その時の訪問場所が、ほとんど私の訪問場所とかぶっていて、写真まで載っている。
この本を読んでから行ったら、完全カバーも可能だったぐらい。

梅原さんにとっても、近時の出雲での諸発見は、想定外のものだったようだ。
梅原さんの本は、中学時代に結構読んだ。”水底の歌”とか、”隠された十字架”とか、”黄泉の王”とか。歴史書というより、推理小説の趣だった。

本書によると、梅原さんは、当時、出雲王朝の存在を否定していたそうだ”神々の流れ攅竄(るざん)”。確かに、出雲王朝は、古事記にふわっと描かれ、日本書紀には、触れられていない謎の王朝だ。出雲国風土記の内容ともかなり異なる。大和王朝の権威付けのためにでっち上げられたとされてもおかしくない。津田左右吉の思想の流れを汲む考えだ。
しかし、これだけ、いろんなものが見つかると、相当の権力が、出雲(または、出雲を中心とした日本海)に存在したと認めざるをえなくなり、懺悔の旅?に出たという訳。

それにしても、同じものを見ても、そこから得られるものは、桁が違う。年季が違うといってしまえばそれまでだが。面白味も百倍。

さらに話は進み、古事記を著わした稗田阿礼は、藤原不比等ではないかと論じている。二人は、年齢的にほぼ一致し、古事記は、神々(当時の豪族代表の重臣)の評価をし、結局藤原氏がNO1という結論になっていることからの主張だ。
竹取物語においても、かぐや姫から、いろんな宝を持参するよう言われた五人の登場人物は、当時の実在の重臣に当てはめられるのだという。そして、その中で生き残るのは、藤原不比等のことと考えられる”くらもちの皇子”だ。

やはり、梅原氏の著作は、歴史書というよりは、推理小説に近いような気がした。だから、面白い。物的証拠がなければ、後は、どう推理しようと勝手だ。わからないのだから、あとは、推理するしかない。

コメント
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