かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

異端の思想 経済ナショナリズムとは何か

2012年05月27日 | Topics

sun今日も、すばらしい天気だった。先週、今週と、五月を満喫してる。
ゴルフ二連荘だったが、やはり二日目の方がいつもよい。普段何にもやってないから当たり前か。
今日は、ドライバーがいまいちだったが、寄せとパットがまずまずで、踏みとどまった。なぜ、全部調子がまずますということがないのだろう。別に、大技、小技と二律背反ではないと思うのだが。

note先週、TPP亡国論で、話題の?、中野剛志さんの話を聞く機会があった。
お題は、”異端の思想 経済ナショナリズムとは何か”。
何の話なのか、行く前はわからなかったが、講演をお聞きし、何となくわかった。
切れ味鋭いというのは中野さんのことを言うのでは?と思いたくなるぐらい。質疑応答の時間もあったが、澱みもなく持論を展開された。
といってもあくまでも持論であり、題名のとおり、現在の日本においては、異端の思想なのかもしれない。

ざっと内容をご紹介。

まずは、ナショナリズムって何でしょう?
何となく、右翼っぽい響きもあるが、中野さんによれば、とんでもない。
NATIONは、国民のこと。NATIONALISMは国民主義になる。
混同しがちなのが、ETHNICITY(民族主義)や、STATE主義(国家主義)。
特に、国家主義との混同は、気をつける必要がある。国民主義は、中をとれば、民主主義。
民主主義というと、個人の意見を尊重という響きがあるが、国民の意見を尊重と理解すべき。
そして、経済領域における国民主義を、経済国民主義(経済ナショナリズム)と定義する。

経済学の系統は、アダムスミスの、経済自由主義、マルクスのマルクス主義(統制経済)、そして、経済ナショナリズムの3つの系統に分けることができるという。
経済ナショナリズムは、イデオロギー的なものがないため、蔑視や、軽視されがちだったが、80年代以降、現実の経済の動きから、見直されているのだそうだ。
この辺は、中野さんの”国力”という本でも触れられていたように記憶する。

経済ナショナリズムは、元々は、ドイツのリストさんが、提唱し、ビスマルクが実践し、成功したという。
それまで、ドイツは、領主国の集合体で、領主国間の取引には、関税をかけ、産業革命が成功したイギリスからの輸入には、関税をかけなかったため、富が、ドイツからイギリスへ流出していたというが、逆の仕組みにして、強固なドイツの基礎を作った。イギリスに対する関税は、ドイツとイギリスの力が対等になったら、撤廃するとしていたため、保護主義とは異なる手法だ。
国力を巡る政治経済学を、経済ナショナリズムと考える。

重商主義、保護主義、排外主義、国家資本主義などとは、違う考え方なので、留意が必要。
一方、経済自由主義とも違う。存在するのは、個人ではなく、国民であり、関心は、富の配分の効率性ではなく、富を生み出す力(国力)だからだ。
経済自由主義では、富の配分は効率化はなされるが、富の絶対額の増加には、結びつかない。

では、ナショナリズムと民主主義の関係はどう考えるのか?
字が示すとおり、民主主義は、国”民主”義であり、近代民主主義とナショナリズムは同時発生している。フランス革命を思い起こせば理解できる。
民主主義を定義するには、政治参加の主体の定義が必要であり、それが、国民であるという考え方になる。
民主国家が最強国家になる。フランスも、王政時代よりは、フランス革命後の方が、強力になった。
国力は、国民が協力・連帯して行動することから生じる力であり、国民国家(=民主国家)が、最強になるのである。
ただ、もちろん、極端に運用すると、独善的な動きをとるなど、弊害の方が大きくなるので、要注意。

そのような民主国家を作るためには、国民自決権が必要であり、これが民主主義の理想であることは、疑いないが、それを侵害するものが数多くあり、国家安全保障が国民自決権を確保するためには、必要になる。

安全保障は、ナショナルな条件を制約を受けざるを得ず、国それぞれ違う条件の下に、検討される。特に、国民性があるのは食料。国それぞれ需要は異なり、供給のコントロールも難しい。

翻って、日本の現状は、とんでもない状況になっている。

食料に止まらず、エネルギー、防衛など、安全保障のポイントになる分野すべてで、日本の状況は、かなりたいへんな状況である。
だから、国力を発揮するための条件としても、国力を防衛するための防衛線としても、まずは、安全保障が大切になり、この観点から、経済ナショナリズムを常に、年頭に置く必要があるのである。

もちろん一度聞いただけですべてわかるわけもないが、中野さんの書も数冊読んだことがあるので、何となくおっしゃりたいことは分かったように思う

質疑応答で面白かったのは、TPPの議論での民主党反対派の動きに対する考え方。私からは、茶番に見えたのだが、中野氏によれば、まさに、議会制民主主義がWORKしている実例という。この辺、マスコミの威力は凄い。世論は、マスコミに作られると言っても、過言ではない。
中野氏の持論によれば、TPPは日本の市場をオープンにするGIVEのみで、安物の流入によりデフレを深刻化させ、安全保障の基本である農業を破滅させる。
補助金を与えなければ、生き残れない零細農家を保護するのは、非効率ではないかとの質問が出たが、アメリカは、まさにその非効率を、伝統を残す観点と、安全保障の観点から、堂々と行っているのだという。農業は、安全保障の観点からも、ナショナルの定義の観点からも、別格なのである。
ハーバード白熱教室の、マイケルサンデル教授も、同じ系統の考え方なのだそうだ。

原発については、再開容認派。これも、エネルギーの安全保障の観点が理由になる。確かに、原発のリスクをゼロには、できないが、原発をなくした場合、エネルギーを原油、天然ガス等にすべて依存せざるを得なくなるが、これが、安全保障上耐えられるかというリスクと天秤にかけた場合、すぐに全廃という結論は出しえないという。

切れ味鋭い話を、久々に聞いた。

コメント
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