
古事記が編纂されてから、今年は、1300年(と伝えられている)。
先般、浅野温子さんの、読み語りを満喫した話はしたが、関連本も、ちょこちょこGET中。
本書は、その1300年に便乗して(本人も、1300周年を意識したと言っている)、出たばかりの本。
三浦さんは、私も読んだ口語訳古事記を著した方だが、その本が、正統派の本の中で、今一番読みやすい古事記かもしれない。
本書は、古事記の中でも、一番ファンタジーな神代篇(上巻)と、中巻の最初の部分、つまり一番おいしい部分の、あらすじを紹介し、解説を加え、新たに撮った美しい写真をセットにした、まさに古事記入門者に打ってつけの本になっている。
前読んだ古事記を旅するもセットでお勧めできる。
筆者の三浦さんは、いろいろ古事記に関する本を書く毎に、理解が深まったり、考えが少し変わって来たりしているという。
古事記の話は、荒唐無稽に見えるが、一つ一つに物語の背景は、推測できる。
ただ、歴史の事実との関連づけは、かなり難しい。
三浦さんが、今考えているのが、古事記は、今の天皇家につながる北方系の天と地で語られる王権神話と、出雲に関連すると思われる南方系の、水平的な神話が、入り混じっているということだ。
いずれにしても、日本の始まりを解く鍵が隠されていることには、間違いない。
本書は、ファンタジーのみではなく、そういった歴史的興味にも応えてくれる。