かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

逆説の日本史16 江戸名君編

2013年06月19日 | Books



逆説の日本史16の文庫版が出た。
出版社には悪いが、本シリーズは文庫化されてから、読むことにしている。
話は、江戸の中期。

いつものように、全く気づかなかった宗教が、様々な歴史の背景にあることを気づかさせてくれる。
特に、この時代、陽明学、朱子学が、武士の世界に影響を与えていた。この辺の感覚は、今となっては、まったくわからない。
時代背景により、歴史上の人物は、いい者になったり、悪者になったりする。楠木正成などは、好例だ。
上杉鷹山の改革に反対した人たちは、とんでもないとしか思えないが、これも、当時の武士の考え方を理解すると、強ち、とんでもないとも言い切れない。

そして、後半は、江戸の文化の話。これが、かなり面白く、これも、今の感覚からはわからなかったことばかり。
例えば、俳句。短歌と同じような芸術と思っていたが、芭蕉が出るまでは、俳諧と言って御ふざけの世界だった。
歌舞伎は、浄瑠璃の実写版で、将軍殺しのテーマを、いかにご法度にならないように、物語にするかに精力が注がれたという。
仮名手本忠臣蔵も、赤穂浪士の討ち入りの話とばかり思っていたが、実は、将軍殺しをテーマにした物語を、討ち入りの話にした物語という。

識字率の高さをよく言われるが、平家物語の存在が大きかったとする。この物語が琵琶の伴奏と共に歌われることにより、読み書きのみならず、様々な知識を、江戸の庶民は、身につけることができた。
落語のスタイルができたのもこの時代。

今の文化の基礎は、江戸の太平の時代に確立したと言える。
そのありがたい文化を、我々は、エンジョイさせてもらっている。

本シリーズは、まだ完結していないが、井沢さんは、デリバティブ本も出し始めている。まずオリジナルを完結してから、デリバティブにしてくれないかな?

コメント
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