今日は、初打ち。
良くもなく、悪くもなく。
お屠蘇と、お雑煮をいただいた。
本書は、本屋で見つけた。
このような本が存在するとは。
戦前に、高楠さんという学者が著した。
本書は復刻版になるのだが、良書だった。
まず面白いのは、漢字の使い方。
最近は、カタカナや、横文字で表現される固有名詞が当て字も使った漢字で表現されていて、本書を味わい深いものとしている。
もう一つの特徴は、仏伝には、あえりえない話が含まれているが、バッサリ削ぎ落として、あったかもしれない現実的な話をまとめている。
その結果、原始仏教で、根幹をなす逸話も欠落しているが、真の釈迦の姿に迫るという目的からということで、確信犯。
日本の記紀においても、ありえない話がたくさんある。
ただ、その裏に、何かあったのではという議論が続いている。
そのような側面が仏伝にもあっていいのではないかと思う。
例えば、生老病死を認識した部分が本仏伝では省略されているが、出家したきっかけとして、極めて重要なものだったのではないか。
当時のバラモン教の神様の登場についても、その神様たちの導きによって、祖先を敬ったり、布教を思い立ったり、重要なきっかけになっている。
そのトリガーがないと、お釈迦様が、自ら、自発的に推し進めたことになるが、全体の流れからすると、ちょっとイメージが異なる。
いろんな意味で、面白い本だった。
また挿絵に使われている資料群がすばらしい。
当時、素材も限られる中、厳選して使われた様子がよくわかる。
考古学的発見がまとめられる前に著された本書の価値は大きい。