本書は、出たばかり。
題名を見て、即ゲット。
内容は、???だった。
前段で、日本語の期限について、北方起源説、北方語と南方語の重層説、チベット・ビルマ語起源説、タミル語起源説、日本語古層説が紹介される。
私が認識している範囲では、タミル起源説については、???だったが、他の諸説は、一部そうかなと思われるものがあったりするが、全てを説明できる説はない。
本書は、それらの説と全く異なる上古漢語発音説を唱える。
それを、辞書のように、新書一冊に収まる範囲で解説してある。
いうまでもなく、漢字には、音読みと訓読みがあって、音読みは、呉音から来ており、訓読みは、日本語読みだ。
その訓読みが、古い漢語の発音から来ているというのが本説になる。
その漢語は、単なる熟語ではなく、熟語が2つも、3つも、重なっているという。
たとえば、クジラの語源は、
海(ク)獣(ジ)類(ラ)で、この海獣類は海獣と、獣類の2つの熟語の合成となる。
この例では、発音が、イメージしやすいが、上古漢語の発音が、発音記号で、表記されており、どの程度、日本語の発音と近いのか、イメージが湧きにくいケースは多い。
最後の章は、古事記に出てくる神々の名の語源について考察している。
例えば、天照大御神は、遠(オン)照(セウ)臨(リム)政(シャウ)柄(ヒャウ)用(ユウ)兵(ヒャウ)権(ゴン)となるのだが、なかなかすっと来ない。
まずこの日本語読みがあって、そこに天照大御神という漢字を当てたということになる。
太安万侶の遊び心?
それよりも、単純に疑問に思うのは、上古漢語を使える人が、日本語の起源を作ったというのであれば、当然、人の行き来があったことが前提になるが、その時、なぜ、漢字と共に伝えなかったかということだ。
この上古漢語の読みは、漢字との1対1対応になっており、その人々は漢字を使えたはずなのに、発音だけ伝えたというのは、あまりにも不自然ではないかといのが、率直な感想だ。
漢字が日本に伝えられたのは、もっと後で、それも、かなり最初は、稚拙だった。
この説がどの程度他の研究者から支持されているのかわからないのだが、クジラのケースのように、そうかな?と思える事例もあり、やはり日本語の起源は、様々なケースが入り混じっているような気がする。