かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

炭谷茂さん

2007年12月06日 | Topics
”女子の本懐”で、防衛省のM氏と対象的に書かれている炭谷さんの話を聴く機会があった。今は、休暇村協会理事長(税金は使っていないと強調されていた)だが、前環境事務次官として、小池さんと二人三脚で、日本の環境行政を支えて来た人だ。残念ながら、小泉政権の競争重視の考え方の下、また、京都議定書が米中に無視される中、孤軍奮闘の感もあったが。

お話をうかがっていると、本当にこの人次官だったのだろうかと思うほど、弱者の視点から物事をご覧になっている。ほとんど、ボランティアか、NPO的な、物の見方だ。炭谷さんの考え方の面白いところは、環境と、福祉を表裏一体と捉えるところ。環境保全を訴えても、福祉をおざなりにすると、生きるために、環境を破壊する者があとを絶たない。両面から対策を打たないと、堂々巡りは続くという考えだ。

環境については、この前の山本さんの話の内容とほぼ同じ。このまま炭酸ガスを放出し続けると、地球はもたない。排出量を、数十年以内に、今の半分にする必要がある。ところが、発展途上国に対しては、最低限の排出量の増加は認めざるを得ないから、先進国は、7-8割排出量を減らす必要があるというのが、骨子だ。そのためには、ライフスタイルを変えることと、技術革新のセットで、対策を講じる必要がある。そこで、炭谷さんらは、環境税を提言したが、賛成してくれたのは、小池さんだけだったという。不都合な真実には、どうしても目を背けたくなるし、選挙を勝ち抜かなくてはならない政治家としては、なかなか積極的になれないのが本音だろう。

国民が、この事実を認識し、逆に、環境に配慮しない政治家を排除するという行動にでない限り、なかなかいい循環にはならないような気がする。来年の洞爺湖サミットに向け、どれだけ、世論を盛り上げていくことができるのだろうか。ヨーロッパは、ライフスタイル面でも、技術の面でも、随分先を行っているように見える。省エネをここまで、徹底できた日本であれば、方向さえ出せれば、この流れのリーダーシップをとれる潜在的な力は、あるうように思う。

我々庶民のレベルでは、まず3R (reduce、reuse、recycle)を徹底的に行う習慣を身につけることだろう。横浜市のゴミ削減、分別強化により、ゴミ焼却炉をいくつかクローズできたのは、目に見える成果だった。総合的なメリット、デメリットについては、まだ議論もあるようだが。

ということで、環境と福祉が、これからの世界のキーワードになっていくのかもしれない。
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YOKOHAMA UPDATE

2007年12月05日 | Yokohama ( Japan )

12月は、忘年会&クリスマスパーティシーズン。11月だとその雰囲気にならないし、暮も押し迫るとそれどころではなくなるから、今週、来週に集中しがち。

ホテルに行く機会も増える。ホテルニューグランドは、80周年を記念して、リノベで、随分きれいになった。芸術的ですらある。超豪華ホテルが次々オープンする中、頑張ってほしい。
数々の有名カクテルを生み出したバー・シーガーディアンのコースターも、80周年記念バージョンだった。



80周年というと、文明開化の横浜の割には、意外と若いな?と感じる向きもあるかもしれないが、関東大震災で、一度街が壊滅した後にできたホテルだ。その前には、グランドホテルというホテルが近くにあったらしい。だから、このホテルの名もニューグランドというのだろう。ホテルの前に広がる山下公園は、大震災で崩壊した建物の瓦礫でできた。

みなとみらい線では、デザイン一日乗車券が発売された。5000枚の限定。みなとみらい線の場合、元が割高なこともあり、この一日乗車券は、割安感がある。2回ちょっと乗れば元がとれる。インフラ整備には、どうしても、お金がかかるが、みなとみらい線のケースを見ると、着実に、街づくりに貢献しているように見える。乗客数も、想定を上回って推移しているそうだ。コスト VS リターンという算式に当てはめると、元をとるのには、まだまだ時間がかかるのだろうが。

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女子の本懐

2007年12月04日 | Books

小池百合子さんの”女子の本懐”という本を読んだ。この本は、比較的新しい、というよりも、安倍さんの突如の辞任や、防衛省の騒ぎで、極めてHOTな本になってしまった。

本の中身は、小池さんの防衛大臣だった55日間の出来事を中心に、日記風にまとめたもので、まだ先がある(と思われる)政治家である小池さんにとっては、やや大げさな題名という感じもする。
久間騒ぎを他人事と思って見ていたら、急に自分が当事者になって、防衛大臣として着任。漏洩問題や、参院選の遊説、自民党惨敗を経て、大臣として諸国歴訪、そして、守屋氏更迭にかかるごたごたで、組閣を機に、実質辞任。一言で言って、とんでもない55日間。
そこまでならまだしも、その後、結果的には、安倍さん辞任、守屋スキャンダルにつながった。防衛大臣として、自ら防衛省改革をできなかったのかとも思いたくなるが、本を読むと、そのまま持論を通そうとしても、回りサポートが得られる状況ではなかったようだ。そして、この55日間で、小池さんが感じたことが、事実となった。いわば、よそ者(新入り)が2ヶ月足らずで感じたことが、正しかったのだ。

この本を読んで感じるのは、小池さんのシンプルなひたむきさと、全体感を保ちながらの筋を通す信念、邪念のない(ように見える)潔さだ。
もちろん、政治家の中には、もっと知識経験豊かな人、それを背景に高い実行力を持つ人が多くいるのだろうが、安倍政権の末期のような、常識からかけ離れた事象を立て続けに見せつけられると、小池さんのようなわかりやすさ、ひたむきさが、今の世の中大事なのではないか。
とにかく、この半年近く、全く政治が機能していない。

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半島を出よ

2007年12月03日 | Korea
昨夜は、思わず日本対韓国戦を最後まで、見てしまった。最後まで、ちゃんと放送してくれて、最後まで放送した甲斐のある見ごたえのあるGAMEだった。両チームの必死さが、ガンガン伝わって来たし、何よりも最後ちゃんと勝った。選手メンバーの交換で、韓国の後出しジャンケンがあったようだが、そのハンディを見事跳ね返した。韓国では、どう報道されているのか知らないが、もし、それを当然(または、報道しない)というような風潮であれば、ちょっと残念だ。後出しジャンケンは、ビジネスの世界でも、もっともがっかりする情けない手法だと思う。

韓国といえば、村上龍さんの、”半島を出よ”も文庫化されたので読んでみた。力作だ。マニアックなところもあるし、奇想天外なところもあるし、たっぷり楽しめる。

いかに情けない日本政府でも(特に、このテーマだと、今話題の外務省と防衛省が主役になる)、さすがにここまでひどいとは思わないが、あり得そうな侵略?ストーリーに、感心してしまう。



マニアック度は、武器類についての記述や、建物爆破の方法についての記述などで顕著だが、日本と朝鮮の文化の違いについての記述も面白かった。
埋葬方法の違いについて、コリョの人たちが戸惑う場面がある。昨年夏に韓国に行った時に、高速道路から多数見える、丘の上の眺めのいい所にある土饅頭に、こっちの方が驚いた。儒教の国韓国では、火葬は一般的ではない。祖先を一番いい場所に自然に埋葬するのが、一番重要なことだ。火葬は、死んだ方に対する冒涜になってしまうらしい。グローバルなコミュニケーションにおいては、文化、宗教の違いの理解は欠かせない。
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国家の罠

2007年12月02日 | Books

文庫化されたので、早速、”国家の罠”を読んでみた。
佐藤優さんの本については、別の対談ものを何冊か読んでいたので、内容についての推測はできたが、それにしても、緻密に、客観的(に見えるように?)に書かれている。少なくとも、佐藤さんが対露外交の(実務上の)第一人者であったとは、言えるだろう。

私は、この事件の時、シンガポールにいたので、主な情報源は、NHKとメジャーな新聞だった。民放や、スポーツ紙や、週刊誌の雑音もなかった。それでも、鈴木さん、佐藤さんというのは、とんでもない奴だとすっかり思い込んだ。だからといって、彼らと対立する田中さんも、めちゃくちゃだと思い、正直外相が変わってほっとした。当時のシンガポール大使、インドネシア大使が、おかげでころころ変わったり、空席が続いたりして、はっきり言って、東南アジアの国々を無視した茶番が日本で繰り広げられたのだ。少なくとも、田中さんには、大使を更迭するということが、いかに重要なことなのかを理解していたとは思えない。

この本の趣旨は、題名が見事に表している。裁判所も、最終的には、佐藤さんの論理を認めながら、結論は変わらずの裁判になっているようにも見える。これこそ国策捜査の典型的なケースなのだろうか。
”時代のけじめ”をつけるための捜査だという下りが多くあるが、”時代のけじめ”をつけるために、組織の中で、必死に仕事をしている人の行動が白になったり、黒になったりしたらたまらない。そのために、法律があり、その運用ルールがあるはずだ。この本を読むと、三権分立は、大丈夫なのだろうかと思ってしまう。

外交官として、対ロ外交の最前線にいた佐藤さんの言葉には重みがある。
本書によれば、ナショナリズムについて、いくつかの非合理的要因があるという。
ひとつは、『自国・自民族の受けた痛みは強く感じ、いつまでも忘れないが、他国・他民族に対して与えた痛みについてはあまり強く感じず、またすぐに忘れてしまう』という、認識の非対称的構造だ。また、もうひとつ特筆すべきは、『より過激な主張がより正しい』という法則である。確かにそうだなと思ってしまう下りだった。

今話題の防衛省の汚職事件も、佐藤さんの事件と似たような報道のされ方をしているが、もっと単純なようには見える。奥さんも逮捕されたのは、びっくりしたが。
国益という観点から見ると、今回の事件と、佐藤さんの事件とは、180度異なるのではないか。今回の防衛省の件の中には、国益を考えた行動は、ひとかけらもない(ように見える)。佐藤さんの件は、(少なくとも佐藤さんは)国益にかなうと信じて行ったことのようだ。

もちろん、佐藤さんの動きが本当に国益にかなっていたかは、今後の日露関係がどう動き、その際佐藤さんらの行動がどう影響を与えたかで、評価が定まってくるのであろうが。
ロシアとは、昔戦争をしたぐらいだから、国益では、対立する可能性が高い国と言える。特に、昨今の資源高で、ロシアの国力は、驚異的な回復を見せて、昔の共産主義時代をひきずったロシアではない。
このロシアと対等に交渉できる人が、日本側にどれくらいいるのだろう。プーチンさんは、ほとんど絶対的権力を握りつつあるように見える。

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